昔は女の子の習い事と言えば「ピアノ」という時代もあったようですが、現在ではたくさんの習い事がありますね!
多くの習い事では発表する機会を先生方などが作って下さっていると思います。ピアノだけでなく、例えば書道などでは作品を展示して見てもらう、サッカーなどスポーツでは試合を見てもらうなどの機会があると思います。
団体で行うものと個人で行うものとでは気持ちが少し違うかもしれませんが、人前でパフォーマンスをするというのは自分自身の技術を磨くと共に精神が鍛えられると思います。
それはコンクールのような審査されるものだけでなく、発表会でも鍛えられます。
ピアノソロの場合、舞台に立ったら1人きりで誰も助けてくれません。多くの人達の視線が全て1人に向けられるというのはなかなかないことです。
今回はそんな貴重な経験ができる発表会で弾くおすすめの曲について書いていきたいと思います。
■ 目次
発表会に選ばれる曲とは
発表会で選ばれる曲というのは「過ぎない」というのがポイントではないかなと思います。
「難し過ぎない」、「簡単過ぎない」、「長過ぎない」、「短過ぎない」etc…
この他にも「単調過ぎる」曲は弾いている人も聴いている人も面白くないので選ばれにくいと思います。
場面の展開がありメリハリのある曲や曲想をつけることでメリハリが出る曲、リズムがおもしろい曲、華やかな曲、一般的によく知られている曲などが発表会で弾かれる作品だと思います。
たくさんの曲がありますが、中級レベルや初級レベルでこのような条件に当てはまる作品というのはそれほど多くはありません。特に初級レベルの人の場合、できることに制限があるので選曲が本当に大変です。
短過ぎる曲や単調な曲だけど、その子に合っている曲だから発表会でどうしても弾かせたい場合は別の曲とセットにするという方法を取ることもあります。
例えば「ゆっくりの曲×速い曲」、「暗い曲×明るい曲」、「メロディックな曲×リズミカルな曲」というように対照的な曲を組み合わせてそれぞれの曲同士でメリハリをつけるようにします。
上級レベルの方達はこれらの条件から外れても自らの技術で人に聴かせられる演奏にすることができると思います。例えば簡単過ぎる曲でも音楽的に弾くことができるでしょうし、単調な曲も素敵に聴かせられるでしょう。
発表会で弾く曲を選ぶのはとても大変
ピアノを習っている人は幼稚園児(または保育園児)、小学生、中学生、高校生、大学生、大学生以上の大人と様々です。レベルも様々なので、同い年だから同じ曲が弾けるかというとそうでもありません。
皆さんそれぞれピアノを始めた時期が違いますし、手の大きさなども違いますからこの年齢や学年になったらこの曲が弾けると決めつけることはできません。
幼稚園児の場合、その子によって理解度が全く違います。何でもすぐに理解する子もいれば、集中できなかったり、歌ったりリズムをたたくのは好きでも弾くのはあまり好きではない子も中にはいます。そのため、幼稚園児の場合は他の学年の子達よりもより慎重に曲選びをしなくてはいけません。
レッスンの時に弾く曲では何回かのレッスンで合格して次の曲に進むと思いますが、発表会で弾く曲は何か月かかけて仕上げていきます。
幼稚園児の場合は難しい曲は弾けませんので、どうしても簡単な曲になってしまいます。何か月も弾いていると飽きてしまうので発表会で弾く曲を上げるタイミングを考える必要があります。
小学生以上の場合も早く仕上がってしまうとその状態をキープするのが大変です。慣れてくると適当に流して弾いてしまう子が続出するのです。仕上がりの時期をコントロールしなくてはいけないのがとても大変です。
曲を上げるのが遅すぎると仕上がらない可能性があり、早く上げすぎると良い状態を保てない…この見極めにいつも苦労します。
皆さんが習われている先生もこのようなことを考えて発表会の曲を決めたり、弾き始める時期を指示されたりしていらっしゃると思います。
生徒さんの方から弾いてみたい曲があると言われることもあります。その曲が弾ける範囲の曲なら良いのですが、中には難しい曲を言われることがあります。
弾きたい曲を見つけることはピアノを続ける上で大切なことです!目標を持つことはとても素敵なことですが、今の自分のレベルにあった曲なのか、今回の発表会で弾くことが可能な曲なのかは先生の判断に任された方が良いと思います。
難しい曲に挑戦すれば今よりも確実に成長はするでしょう。しかし、その曲を弾き切れるまでのレベルになっていないのに挑戦すると曲の仕上がり具合はただ弾くだけになるかもしれません。
発表会で弾く曲は今弾いている曲よりも少し難しい曲というのが良いのではないかと私は思います。
発表会で弾くのは避けた方がいい曲
発表会で弾くのは避けた方がいい曲というのもあるのではないかなと思います。例えば一般的によく知られている「乙女の祈り」、「クシコスポスト」は私なら発表会の曲としては選びません。その理由はオクターブがたくさん出て来てはずしやすいからです。
「乙女の祈り」は連符も多く出てくるのでこれもオクターブと同じくはずしやすいです。そして「乙女の祈り」は少しずつ変化はしますが曲調がほぼ変わらないので退屈に聴こえがちな曲なんですよね…。
有名な曲はダメと言っているわけではありません。憧れの曲や気に入った曲は少しくらい大変でも頑張れると思います。
しかし、一般的によく知られている有名な曲は聴いて下さるお客さんも知っている曲ということなので、ミスをしたら確実にバレてしまいます。テンポも書いてある速さで弾かないと違和感を与えてしまいます。
有名な曲に挑戦するのであればそれなりの覚悟を持って練習して下さいね。
発表会でおすすめの曲を紹介
発表会で弾く曲によく選ばれている作品をまとめた楽譜というのがたくさん出版されています。「こどものための発表会ピアノ全集」
「夢みるピアニスト こどものピアノ名曲集」
「ピアノ名曲110選」
「こどものための発表会ピアノ全集」の最初のページには実際に子供の指導をされている先生方が話し合われ、苦労して選曲し、グレードわけされたことが書かれています。(全10巻)
発表会の曲を選曲するのはどの先生もやはり苦労されているようで、特に初級の曲を探すのが大変なので、その手助けになるように作られたのが「こどものための発表会ピアノ全集」のようです。
「夢みるピアニスト こどものピアノ名曲集」もバイエルからソナチネ程度のレベルの子達が徐々に難しい曲が弾けるように選曲されています。こちらは発表会だけでなくレッスンにも活用して欲しいと書いてあります。(全5巻)
このような曲集は先ほど書いた条件をクリアした曲が入っているので選ばれる機会が多いと思います。このような曲集の中に入っている曲ばかりを選曲しているとプログラムがマンネリ化しますので、新たな曲を探さなくてはいけません。
それぞれの生徒さんのことも考えながら、聴いて下さる方々が退屈しないプログラムを作ろうと思うととても大変です。
私は選曲に困ったらギロックの楽譜を見ます。前にギロックの記事を書きましたが、彼はいろんなタイプの曲を書いており、とても簡単に弾ける曲や簡単なのに難しそうに聴こえたり、見えたりするという曲がたくさんあるのです。
ギロックはとてもおすすめの作曲家です。しかしギロックばかりに頼ってもいられません。全部のプログラムをギロックにするわけにはいきませんからね…。
ピアノという楽器自体が西洋の楽器で作曲家ももちろん欧米人が圧倒的に多いですよね。
西洋音楽が本格的に日本に入って来たのは明治時代からでそこから様々な音楽家や教育者の方々のおかげでだんだん西洋音楽が広まり、受け入れられていきました。元々西洋のものなので初めは日本人の作曲家によるテキストというものはなく、バイエルなど欧米のものでした。
初めはそれでも良かったでしょう。しかし多くの子供たちがピアノを習うようになって来た頃、日本にも作曲家はいるのに彼らの作品には子供が弾けるような作品がほとんどないことを残念に思う先生方が出てきました。そのような先生や出版社などの依頼を受けて、中田喜直や湯山昭などの作曲家がこどものためのピアノ曲を多く作曲しました。
日本の作曲家の作品にも素敵な曲がたくさんあります!私が大好きな曲で、発表会で弾いても映えるかなという曲をレベル別にご紹介します。
▼バイエル~簡単なブルグミュラー程度
中田喜直「こどものピアノ曲」から・夕方のうた
・土人のおどり
〔楽譜〕
湯山昭「こどものせかい」から
・おやつのじかん
(1:24から再生されます)
〔楽譜〕
平吉毅州「こどものためのピアノ曲集 南の風」から
・カンガルー一家のピクニック
・骸骨達の陽気な行進
〔楽譜〕
平吉毅州「こどものためのピアノ曲集 虹のリズム」から
・踏まれた猫の逆襲
〔楽譜〕
▼ブルグミュラー~ソナチネ程度
中田喜直「こどものピアノ曲」から・悲しいワルツ
・エチュード・アレグロ
〔楽譜〕
野平一郎「こどものためのピアノ曲集 音の旅」から
・はじまり
〔楽譜〕
湯山昭「ピアノ曲集 お菓子の世界」から
・バウムクーヘン
〔楽譜〕
平吉毅州「こどものためのピアノ曲集 虹のリズム」から
・チューリップのラインダンス
〔楽譜〕
▼ソナチネ~ソナタ程度
三宅榛名「こどものためのピアノ曲集 日本のうた変奏曲集」から・赤とんぼ 変奏曲
〔楽譜〕
湯山昭「日曜日のソナチネ」から
・土曜日のソナチネ 第2楽章
〔楽譜〕
中田喜直「小さい手のためのピアノ曲集」から
・変奏的練習曲
(抜粋)
〔楽譜〕
平井康三郎「幻想曲 さくらさくら」
〔楽譜〕
いかがでしょうか?どの曲も素敵じゃないですか?
曲の特徴はリズムがおもしろかったり、メロディーラインが素敵だったりと曲ごとでそれぞれ違いますが、ピアノを弾くことを楽しんでもらいたい、そして音楽を好きになってもらいたいという作曲家達の思いが詰まっているなと私は思いました。
現代の作曲家たちは調性がわからない、または調性のない曲を書くこともあるでしょうし、私達から見ると難解な曲を普段は多く作曲しているはずです。
そのような作曲家がこどもにもわかる楽しい曲を作曲してくれているなんてすごいですよね。わかりやすさはあるのに作品の中にその作曲家らしさがあるというところがまた素敵なところです。
日本人の作曲家の作品は私自身まだまだ開拓途中なのですが、これからも好きな作曲家や作品を見つけて発表会のプログラムに取り入れたいと思います。
まとめ
発表会でよく弾かれる曲とは◆場面の展開がありメリハリのある曲
◆曲想をつけることでメリハリが出る曲
◆リズムがおもしろい曲
◆華やかな曲
◆一般的によく知られている曲