音楽療法士の資格を取りたい人にとって、もっとも気になる事柄のうちの一つが、楽器演奏の技術に関することですよね。

音楽療法に使われる楽器として代表的なのはピアノですが、どのようなレベルの曲を弾けることが望ましいのかについてご紹介します。

高齢者の音楽療法を行う際には歌謡曲を弾く技術が必要


まずは、高齢者の音楽療法を行う場合です。

高齢者の音楽療法では、童謡や唱歌、歌謡曲を使用して、セッションが行われます。

このうち、ピアノで弾く際にもっとも技術が必要なのは歌謡曲です。

歌謡曲の中にはリズムが複雑なものがあります。

クラシック曲に長年親しんできた人には、歌謡曲のリズムに慣れることが難しい場合があります。

歌謡曲を弾くことが難しいと感じる場合、何度もその曲を聞いて、耳を慣らしていくことから始めてみましょう。

また、高齢者の音楽療法では、移調奏の技術や伴奏付けの技術が必要とされることがあります。

既存の曲を歌ってもらう際には、高齢者にとってキーが高いことが多いです。

そこで高齢者の声域に合わせて移調を行うのです。

また、特に歌謡曲の楽譜には、メロディとコードのみが書かれた楽譜しかないことがあります。

そんな時は、自分で伴奏を考えて演奏する必要があります。

ただし、どちらも、セッションの場で行う必要はなく、事前に準備ができることです。

移調や伴奏付けをしながらの演奏には、高いピアノ演奏のレベルが必要ですが、自信がない場合には、事前の準備に時間をかけて、移調し伴奏を書いてある楽譜で練習することで、問題はクリアできますよ。

児童の音楽療法を行う際には即興演奏の技術が必要


児童の音楽療法の場面では、即興演奏の技術を用いることがあります。

例えば、コミュニケーションを取ることが苦手な子どもがクライアントだった場合、ピアノを通してコミュニケーションを体験してもらうことがあります。

子どもに自由にピアノを弾いてもらって、音楽療法士が即興演奏で応えます。

そのやり取りをしていくうちに、子どもは音楽療法士の音を意識し、それがやがて、音楽療法士を意識することに変わり、他者を感じるようになります。

また、子どもが弾く音楽に合わせて音楽療法士が曲を作っていくので、子どもは自分の音で音楽が出来上がっていくという達成感を味わうことができます。

そのことが、コミュニケーションを取ることへの楽しさにもつながっていくのです。

このように、児童の音楽療法では、即興演奏を用いてのセッションが行われることがあります。

即興演奏と聞くと、難しいこと、センスを必要とする技術だと感じるかもしれません。

ですが、音楽療法の即興演奏には、少なからずコツがあり、それを学び、何度か実際に実践してみることで身についていくことでもあります。

はじめは、ある程度の例譜を基に即興演奏を行ってみましょう。

また、身近にいる、普段ピアノを弾かない人に協力してもらい、一緒に音楽を作って楽しんでみるという手もありますよ。

高齢者にも児童にも共通して必要なのはクライエントの様子を見ながら弾く技術

音楽療法のセッション中に、音楽療法士が行うことは、セッションの司会進行、伴奏のほかに、クライエントの様子を見ていくことが挙げられます。

せっかく音楽療法を行っているのに、クライエントがどのような表情でセッションに参加してくれているのか、歌を歌ったり楽器を演奏したりするときの様子はどういったものなのかを確認できないのでは、セッションを行う意味がありません。

ですから、音楽療法士は、楽譜や歌詞幕を凝視しながら音楽療法のセッションを行うわけにはいきません。

ある程度、事前に暗譜し、伴奏中も、視線をクライエントさんに向けられるようにしておきましょう。

セッションで使用する曲が決まったら、十分に弾きこみ、視線を楽譜や鍵盤以外に移す練習をしておくといいですね。

まとめ

1.高齢者の音楽療法を行う際には歌謡曲を弾く技術が必要です。移調奏や伴奏付けの技術を求められることがありますが、それは事前の準備でカバーできるでしょう。
2.児童の音楽療法を行う際には即興演奏の技術が必要です。即興演奏に苦手意識のある方は多いですが、コツを勉強し、場数を踏むことで慣れることができていくでしょう。
3.クライエントの様子を見ながら弾く技術は高齢者にも児童にも共通して必要です。楽譜や鍵盤以外に視線を移せるように、事前に練習を重ねてください。

音楽療法士に必要なピアノのレベルというのは、クラシック曲の中級とされる以上の曲が弾けたら大丈夫などの基準では表すことができません。
音楽療法を行う上での特別な技術が必要になるからです。

クラシックを何年も続けてきて、素晴らしい曲を弾きこなせる方が、音楽療法を簡単には行えない理由はそこにあります。
逆に言えば、難易度の高い曲を弾く必要はないのです。

音楽療法のための技術を身につけることで、素敵なセッションの時間が持てるようになれるといいですよね。


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