8月といえば夏本番の季節です。療育を受ける重症心身障害児にも、音楽療法を通じて夏を感じてもらいたいものです。

そこで今回は、子どもが盛り上がる8月の歌についてご紹介したいと思います。

■ 目次

重症心身障害児の療育に取り入れられる音楽療法


療育とは、障がいのある子どもに対して行われる治療や教育のことです。小児科医などによる診察の他に、理学療法・作業療法・言語療法や心理療法などが行われます。
そのプログラムの中に芸術療法として音楽療法が取り入れられることがあります。

音楽療法は、重症心身障害児の自己表現やコミュニケーションを助ける役割を果たします。また子どもたちはセッション活動を通じて、満足感を得ることができたり情緒を安定させることもできます。その他にもリラクゼーションを目的としている場合もあります。

何を目的としているかは、個人個人異なります。

個人の状態から目標を設定したうえでプログラムが組まれ、その中に音楽療法が取り入れられるのです。

療育に用いられる8月の歌

8月といえば夏真っ盛りですよね。四季を感じてもらうためにも、夏にまつわる曲を何曲か取り入れましょう。

夏を感じさせてくれる子ども向けの曲はたくさんあります。

童謡の「うみ」(海は広いな大きいな)は夏の定番曲です。

「うみ」を歌う際にはオーシャンドラムを用意するといいかもしれません。オーシャンドラムを使用して、波の音を奏でることで、より海を意識してもらうことができます。また比較的軽いものもあり、セラピストが手を添えれば子どもも簡単に波の音を表現できる点でもおすすめです。

外での水遊びが難しい子とは「みずあそび」(童謡)の歌を歌って水遊びをしている気分を味わってもらうのもいいでしょう。

使用楽器のおすすめは、レインスティックです。レインスティックで表現できる音は雨ですが、水遊び中の音を表現する方法としても十分利用することができますよ。

「アイスクリームの歌」(童謡)も夏らしい気分を感じることができる、子どもが盛り上がる曲ですよ。

アイスクリームの歌の歌詞には『僕は王子ではないけれど』や『私は王女ではないけれど』という部分があります。

僕や私の部分を子どもの名前に置き換えて歌ってみてください。歌の主人公になれた気分になってもらえて盛り上がりますよ。

療育に使用されるのは既存曲だけではない


子どもの音楽療法では既存曲だけではなく、即興曲もよく利用されます。

既存曲だと自分を表現しきれない子どもでも、即興曲では自分を表現し楽器の演奏に加われたという満足感を味わってもらうことができます。

即興の方法の1つは、子どもたちにただ自由に楽器を演奏してもらうというもの。もう1つは、テーマを提示して楽器の演奏をしてもらう方法です。

どちらも、子どもたちに音を奏でてもらい、音楽療法士がそれに音を重ねることで音楽を作り上げます。

そこで夏に関するテーマとしておすすめしたいのが「花火」です。線香花火などの手持ち花火から打ち上げ花火まで様々な音を出す花火を楽器で表現してもらうのです。
花火の音なら鍵盤楽器での表現が難しい子どもでも、打楽器で表現することが可能です。

ドンという花火が打ち上げられた際の音やパチパチという散っていく際の音などを、個々に表現してもらいましょう。

中には、ヒューという打ち上げられる最中の音を表現してくれる子もいるかもしれませんよ。

どんな音の表現が生まれるかは子どもたち一人ひとり異なります。

即興演奏が苦手な音楽療法士にとってはそれに応えて音楽を作るのが難しく感じるかもしれません。そんな時は、事前にいくつかのパターンを想定して、それに合わせて練習しておくとスムーズな演奏につながります。

まとめ

  1. 音楽療法は重症心身障害児の療育に取り入れられつつあります。
  2. 療育に用いられる8月の歌には「うみ」「みずあそび」「アイスクリームの歌」などの夏らしい曲があります。
  3. 療育に使用されるのは既存曲だけではなく、即興曲を積極的に取り入れることで、子どもの自己表現の場を作ることができます。

重症心身障害児にとって、音楽療法のセッションは数少ない自己表現の場です。また音楽を通じてコミュニケーションをとる経験を重ねられる場でもあります。

季節の歌をとりいれ、四季を感じながら楽しめるセッションにできるといいですよね。


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