映画を観るときに、カメラワークって意識しますか?
「ここでカメラがパンして、手もとにズーム!?一体何が!?」みたいな感じでしょうか?

私には無理です。笑
見づらくてしょうがないですよね。
カメラワークは、気にならない方がいいんです。

私は、長いこと演劇に携わってきたせいか、「映画」と言えば、その「演技」や「リアリティ」にばかり目がいっていましたが、「カメラワークの基本」を知ってからというもの、映画に集中していたはずなのに突然、そのカメラワークに「ハッとする」という体験が続いているんです!

今よりもうちょっとだけ映画が豊かになるような、そんなカメラワークの基本をご紹介します!

■ 目次

カメラワークの基本はただ一つ!

「カメラを動かさない」
コレだけです。ふふふ。

カメラを三脚などでしっかり固定して、バシッ!と撮る。
動くのは、映画の中!俳優さんとか、車とか、葉っぱとかの仕事です。

構図を決めて、照明を決めて、役者さんの動きを決めて、

「よーい、アクション!」

「カーーーット!」

ここまでを、ワンショット(ひと続きの映像)と呼ぶみたいですね。

あとはその繰り返し。ずっと同じ構図じゃつまらないので、役者さんの動きや場面に合わせて、カメラの「向き」や「位置」を変えて、見上げるように撮ったり、反対側から撮ったり、遠くから撮ったと思ったら、近づいてみたり。

ほとんどの場面が、この「固定のワンショット」の積み重ねでも、
ため息が出るほどの「めっちゃいい映画」は撮れちゃうんです!

ワンショットと、カット割り


必要があれば(本当に必要があればですよ!?)私たちが首を動かすみたいに、撮りながらカメラを動かすこともできます!
画面に収まりきらないものを、カメラを動かしながら撮影したり、動いているものを、カメラで追いかけながら撮影したり。

「固定のショット」の中で、街の人々が行き交っているのなんかを、「良いなぁ」
と思えたら、カメラが初めて動いたときに、「わぁ♪」ってなると思いますよ!

「固定のショット」がバシッ!と撮れず、カメラを一生懸命動かして、
「盛り上げよう」というのもよく見かけますが、、、
役者さんの周りをぐるぐるまわるカメラ、、、おばけ視点です。笑

それだけ「固定のショット」は大変なんですね。
自分で何気なく撮った動画なんて、背景は斜めだし、人物を追っかけるのに精いっぱいで、
構図も何もあったもんじゃありません。
映画の大画面にはとても堪えられない。(←一番大事)

「カメラを動かすなんて野暮だ!」と、とりあえず(本当にとりあえずですよ!?)
思っておきましょう。

撮影をスタートして、ストップがかかるまでが「ワンショット」
画面が切り替わるのが「カット割り」

「カット」というのは、編集で使う言葉で、そのまま「切る」ことです。
カットしようと思えば、ワンショットをあとからいくらでもカットできちゃいます。
すごいですよね!そのカットしたものをくっつけると、一つの場面になるんですよ!
どうして、カットがかかると思いますか?

それは、一本のフィルムが、10分程度しか撮れないからです。笑

今は、デジタルやなんやありますが、もともとは長い映像を撮ることは、とても大変だったみたいですね。(そのお陰で、いろんな手法が生まれたんですが!)

場面の見え方は?


カメラワークは他にもいっぱいあるのですが、基本は「固定」で撮って、
その「ショット」を編集でつないだものが映画です。

「家々が並ぶ、薄暗い小さな路地が、画面の奥に向かって伸びている」
これだけで、なんだかドキドキしてきませんか?

「画面手前の右側、引き戸かなにか、突然、ガラガラっと開いて、女性が飛び出してくる」
映画では、画面の外側、見えない所から色んなものがやってきます!

「画面の中央辺りで立ち止まり、戸の方をチラっとうかがいつつ、その場にへたり込む」
この時、カメラには斜めに背を向けていて、顔は少し見える程度。

何が起こったのか?顔を追いかけるのは、ニュース映像です。
映画は違います!

確かな位置から、確かなサイズ、確かな長さで。

映画と、日常

映画を見たあとだったでしょうか。
早朝。駅の方に向かって道坂を上っている時、視線の先を自転車がスッと横切りました。
学校へ急ぐ子供が、自分を追い抜いていきます。その向こうのベランダには、まっ白い洗濯物が揺れていて、角をふっと曲がると、そこにも道が続いている。

そんなことが、突然、途方もないことに感じられたんです!
(いつもじゃないですよ!?)

映画のように見えたってわけじゃなくて、なんて言うか、
目の前で起きていることに、驚いてしまったんだと思います。


Third picture By Forsaken Fotos (Own work) [CC BY 4.0], via GATAG.

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