ピアノを小さい頃から習わせたいと思われている親御さんには色々な理由があると思うのですが、将来ピアニストにさせたいと願っていらっしゃる方というのはほんの一部だと思います。

多くの場合が「日常とは違う指の動かし方をすることで脳の活性化が見込めること」や「発表会などの本番を経験することで精神面を強くすること」、「楽譜を読めるようになって欲しい」というのが主な理由ではないでしょうか。

他にも保育士や小学校の先生などピアノを弾く必要がある職業を選択した場合に苦労しないためにという理由もあるかもしれませんね。

子供でも大人でも何が自分に合っていて、何が楽しいと感じるのかは本当に人それぞれなので、習ってみないとわからないところはあるとは思います。

ピアノを習わせたい(または習いたい)とは思っているけど、ピアノに向いているのか、続けていけるのかと悩まれている方は結構いるように思います。

今回はピアノを弾くためにはどんなことが必要なのかということやどんな素質や性格の人が長く続けていけそうなのかということについて私なりの考えを書いていきたいと思います。

■ 目次

音楽をする上での素質とは


音楽をする上でまず大切なことは当たり前のことですが「音楽を嫌いではないこと」が重要です。音楽と深く関わっていなければ、好きかどうかはまだわからないかもしれませんが、嫌いじゃなければ好きになる可能性は十分にあります。

音楽を聴いてどんな些細なことでもいいので何かを感じることができる人であれば、楽器を演奏することを楽しめるのではないかなと私は思います。

音から何かを想像したり、感じ取ることができたりする感受性豊かな人も楽器の演奏を楽しめる要素を持った人ではないかなと思います。

それぞれの楽器には特徴があって、音の出し方や奏法が全く違ったり、ト音記号、ヘ音記号などの譜面の読み方が違ったりするので人によってはこの楽器は向いている、または向いていないということはあると思います。しかし楽器はたくさんあるので自分に合っている楽器というのを探していけば、必ずしっくりくる楽器が見つかるのではないかなと思います。

電子楽器はとても進化しているようで、パッドにいろんな楽器の音を当てはめていき、それをたたいていくだけで音楽が作れるそうです!


これだと楽譜も読まなくても大丈夫ですし、楽器を演奏する必要もありません。操作方法をしっかり学んで、リズムを刻めばいいということです。

すごい進化ですね!いろんな楽器の素材さえあれば演奏できてしまいますし、組み合わせは無限大なので今までに聴いたことない楽器の組み合わせや音の組み合わせを簡単に作り出すことができて、とても面白いなと思います。

このような特殊なものではなく、身近にある楽器というとやはりピアノなので、皆さんまずはピアノから習おうと思われるのだと思います。そのため、ピアノは習い事のランキングの中に今現在でも入っているのではないかなと思います。

音楽を楽しいと感じることができて、感受性が豊かであれば音楽をする素質はあると思います。しかし、素質があれば全てが上手くいくというものでもありません。

感受性が豊かで、音楽は大好き!音感もよくて、ピアノを弾く事も大好き!だけど練習は嫌いというのではなかなか上達はしません。やはり練習という努力をしてこそ上手になっていくんです。素質よりもむしろ努力の方が大切かもしれません。

ピアノに向いている手について

ここからは音楽や楽器全体のことではなく、ピアノのことについて書いていきます。

ピアノを弾くには小さな手よりも大きい手の方が有利だということはよく言われますが、手が小さいからピアノが弾けないかというとそうでもありません。

私の場合で言うと身長が低いので、手も大きくはありません。しかしオクターブがたくさん出て来る曲も弾きますし、迫力のいる曲も弾きます。(繊細な曲よりも、むしろそっちの方が好き!)


手の大きさや指の長さ、開き具合は人によって様々です。私のように手のひらは大きくないという方でも他のところで小ささをカバーできれば、全く問題ありません!(手のひらは大きいけど、指が短いという方も全然OKです!)

私の場合は1と2の指の間が開くことと、5の指が割と長いというところで小ささをカバーできています。他の方がどの程度開くのかよくわかりませんが、1と2の指を鍵盤上で広げると1オクターブ届きます。


こんな弾き方をすることはありませんが、オクターブを弾く時だけでなく、オクターブの中に音2つを入れた4和音を弾く場合などにはこの部分が開くのと開かないのでは違いがあると思います。

もしこの部分があまり開かなくて5の指がもっと短かったとしたら、別の楽器をしていたかもしれません。

子供の場合や初歩レベルではオクターブはあまり出て来ませんが、レベルが上がっていったり難易度の高い曲になっていったりするとオクターブは必ずと言っていいほど出てきます。

オクターブが届けば問題はないのですが、連続してオクターブが出て来るとどうしても力が入ってきてしまうので、弾くのがだんだん辛くなってしまいます。そのため8度(オクターブ)ではなく、欲を言えば9度まで届いた方がいいです。連続でオクターブが出て来ても9度まで届けばそれ程無理することなく弾けます。


私も9度までしか届きません。もう少し手が大きければもっと楽に弾けるのかなと思うことはありますが、この手でも全く弾けないということはありません。力まずに手首やひじを柔軟に使えるような弾き方をマスターできると外しにくくなりますし、響きのないのっぺりとした音になりません。

指の間の開き具合は体のストレッチと同じで、気長に訓練して行けば少しは広がっていくようです。子供の場合は骨や関節などがまだ柔らかいので広がってくれると思います。大人でも効果があるようなのでやってみる価値はありますね!

指を広げるストレッチをするときは手がしっかり温まってほぐれている状態でおこなって下さいね。お風呂で湯船につかってリラックスしている状態でするのがいいかもしれません。力任せに広げないようにして痛くない程度に優しくストレッチして下さい!手を傷めることのないように気をつけて下さいね。

小さな子の場合は成長したらどんな手になるのかまだわからないところもありますが、ピアノを弾いているうちにピアノを弾くのに必要な筋肉がついたり、欠点を他の部分で補ったりしながらだんだん適した手になってくると思います。

手が小さい、または小柄だと大きな響く音が出せないのではないかと思われている方もいるかもしれませんが、全くそんなことはありません。コツは要りますが、手首やひじなど上半身を上手く使って(時には体重もかけて)響かせることはできます。これも訓練です!

ピアノの場合、ソロ曲は自分1人で弾くので他人と比べる必要はありません。ソロ曲の中で自分が弾いているのに他人が混じって演奏してくることはありませんので、あの人はあんな大きな音が出たのに私は出せないなんて思わなくていいのです。通常自分の演奏中は他人の音と比較して聴かれるということはないのです。(コンクールなどで曲が一緒になってしまったなどの場合は別ですが…)

1曲の中でメリハリがつけばいいのですから、自分の最大限響く良い音がどのくらいなのか、または小さな音はどんな音が出せるのかなどを理解して自分なりのバランスを取って行けばいいんです。

手が小さいから、骨格が華奢だからピアノは無理かなとやる前から諦めずに、音楽が好きでピアノを弾いてみたいと思われたらまずは挑戦してみることをおすすめします!弾き方を工夫して努力すればたいていのことは解決できるはずです。

上達する為には


上達するためには先生が指摘して下さったことを正しく理解し、それを弾き表せるように努力することだと思います。ピアノだけではなく楽器の場合は言葉で説明されるだけでなく、先生がお手本として演奏して聴かせて下さると思います。

それを真似することが上手な人というのは、割と上達が速い気がします。真似が上手い人は観察がしっかりできていて音に対しての感覚が鋭い人が多く、どのようにしたら再現できるかというのが感覚的にできてしまいます。

この感覚的にできてしまうというのがとても良いところなのですが、実は少し欠点でもあります。どのように弾いたのかをあまり意識せず感覚的にできてしまうので、すぐに忘れてしまう場合があるのです。

真似が上手な子にレッスンの中で私が弾いてみせて同じように真似してごらんと弾かせてみるとたいていすぐに上手にできます。しかし何回も同じように弾けない場合が多いです。このタイプの生徒さんは具体的に何が違うのかを考えさせて、どうやって弾いたのかをしっかり理解させないといけません。

このように人によって説明の仕方を工夫しないとすぐに忘れてしまったり、正しく伝わらなかったりする場合があるので、教える側も気をつけなくてはいけません。

いろんなタイプの子がいて、先ほどのように弾いているところを見せることで理解できる子もいれば、言葉で説明する方が理解できる子もいます。想像力豊かな子の場合はその場面に相応しいイメージ像を言うこともあります。

目で見たもの、耳で聴いたもの、肌で感じたもの、想像から得たものなど、1つだけの要素ではなくいろんな要素をフルに使って吸収しようとするとより素敵な演奏ができるようになるのではと思います。

ピアノを長く続けられる人はどんな人か


ピアノを長く続けるというのはなかなか大変なことですよね。

習い始めの頃は楽しかったとしてもレベルが上がっていくにつれて、だんだん楽しくなくなったり、練習することが嫌になったりしてしまう方も多くいると思います。

ピアノや楽器だけではなく、他のことも全てそうなのではないかなと私は思うのですが、いろんなことが一通りできるようになってそのことを極めて行こうとする場合には、楽しいことばかりではなく、苦しい時や辛い時、やめたいと思う時がきっと来るはずです。

極めていく状態でもいつも楽しい!という人はどんな状況にも耐えられる超ポジティブな人か、またはそれが本当に好きで仕方がない人なのだと思います。

ピアノはメロディーも伴奏も1人で弾くことができるので、孤独な時間が他の楽器よりも多いと言えるかもしれません。他の楽器の場合は練習する時はもちろん1人の場合が多いでしょうが、ピアノ伴奏がついたり、他の楽器と合奏したりすることで完全な楽曲になる場合がほとんどだと思います。

ピアノは旋律パート、伴奏パートなどいろんなパートを1人で弾き分けたり、バランスを取ったりという他の楽器にはないことをしなくてはいけません。他の楽器に比べると楽譜に書いてある情報量もとても膨大なので、それをしっかり弾き表すにはたくさんの練習をしないといけません。

このことからピアノを長く続けるためには

●同じことを毎日コツコツくり返して練習することができる忍耐力を持っている人
●孤独に耐えられる人
●すぐに結果を求めない人


というのがピアノに向いている性格かなと私は思います。

あまり人に左右されずに自分の決めた目標を達成しようと努力できる人というのがピアノには向いているのではないでしょうか。

弾けない部分や納得がいかない部分があると何度も何度もその部分ばかりを練習しなくてはいけません。1日だけではなく、完璧にできるまで毎日練習を繰り返します。すぐにできるものもあれば、急にはなかなかマスターできないものもあったりするので、無理!と途中で投げ出さない辛抱強さが必要です。

演奏が上手い人はこれができる人です。この繰り返しの練習を辛いと感じず楽しんでできる人がピアニストになった人、またはピアニストになれる要素を持った人なのだと思います。

集中してその時だけすごく頑張るというのも大切なことなのですが、楽器の練習の場合は毎日コツコツずっと続けるというのが上達していくポイントだと私は思います。

毎日コツコツは子供の場合はとても難しいことですが、短い時間でもいいので積み重ねていくということができるように周りが導いてあげられるといいですね。良く弾けたり、集中して練習ができていたりしたらしっかり褒めてあげて、かわいいシールなんかをあげたりするのもいいかもしれません。

私もレッスンの時には上手に弾けていればもちろん褒めますし、あまり上手くいってなかったとしてもその子なりに頑張ったなと感じる点があればしっかり評価してあげてモチベーションを維持できるように工夫しています。

やはり褒められるというのは大人でも子供でも嬉しいことですから、良かった点が少しでもあれば私は伝えるようにしています。

今回はピアノを弾くためにはどんな素質があった方がいいのか、性格的にはどんな人が向いていそうなのかということについて私なりの考えを書いていきました。

素質はないよりはあった方がいいと思いますが、努力できなければ意味がありません。努力を怠らないようにしましょうね。私も日々精進します!

まとめ

◆音楽が好きなことが1番大事
◆ピアノは9度まで届けばほとんどの曲が弾ける
◆同じことを毎日コツコツくり返して練習できる忍耐力を持っている人はピアノに向いている



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