ポロネーズというのはポーランドでよく親しまれた踊りの種類の一つです。
ポーランド出身であるショパン。ワルツやマズルカなども数多く作曲していますが、ポロネーズも愛し、たくさん作曲していました。

踊りの曲と言えば明るく陽気なイメージがありますが、この曲は違います。
重苦しい和音から始まったかと思うと、スケールを一気に駆け上がり、どこかもの悲し気なメロディが始まります。

当時の人々は、暗い曲で一体どうやって踊っていたのでしょう・・・。想像がつきませんね(笑)

かと思うと中間のトリオ部分では華やかなメロディが始まり、やっと踊りらしい雰囲気になってきます。 

テンポの指定がありませんが、アンダンテ程度のテンポで弾いてよいかと思います。


難易度は?

全音ピアノピースの難易度に私の感覚で当てはめてみると、B(初級上)といったところかと思います。

難易度で言えば簡単な曲という部類に入ってしまうかもしれませんが、聴かせどころのある曲なので、発表会等で弾くにもおすすめできます。

ショパンの曲は美しく魅力的な曲が多いですが、難しい曲が多いですよね。

私も小さいころからショパンが大好きでした!ショパンの曲に憧れを抱き、ピアノの発表会でショパンが弾けるようになりたい!なんて夢を見ていました時もありました。
そんな私と同じ夢を抱いている方も多いのではないかと思います。

でも、ショパンの曲は難しい。だからどうせ弾けないし・・・。なんて諦める前に、ぜひこの曲に挑戦してみていただきたいです。

決してメジャーな曲とは言いがたいかもしれませんが、ショパン好きの心をくすぐる曲であることは間違いありません(笑)

もの悲し気なポロネーズ

ショパン「ポロネーズ第11番ト短調(遺作)」最初の2小節のピアノ楽譜
最初の2小節は重たい和音から始まりますね。ここは一音ずつペダルを踏みかえましょう。2拍目は8分音符です。
この8分音符はフッと消えるようなイメージで。続く休符をしっかり聴くために、ペダルもしっかり離します。

3小節目はポロネーズ独特のリズムですね。指先に集中し、4小節目の最後まで少々ピリリとした空気を保ちます。
指先を立てないと和音がバラけてしまいますので注意しましょう。
特に薬指や小指は力が弱いため、指先をしっかり意識します。

ここはこのリズムを活かすために、最初の1音だけペダルを踏むとよいかと思います。

ショパン「ポロネーズ第11番ト短調(遺作)」5小節目からのピアノ楽譜
5小節目の一気に駆け上がるスケールですが、一見難しい!と思ってしまいますよね。しかし、よく見るとそうでもありません。

ソ・シ・レを3回繰り返して弾いているだけだと思えば、少し簡単に思えませんか?

ただ、強弱の指定はピアノのままですので、重苦しくならないように弾きましょう。
ここのスケールはこの曲の見せ場でもありますので、右手・左手の動きをスマートに、かっこよく弾きこなしたいですね。

スケール後のメロディの16分音符。こういったところは指がもつれて音の粒が不ぞろいになりがちです。

しっかり弾こうと意識を強くしてしまうと、音まで強くなってしまうものです。最初から早く弾こうとせず、ゆっくり弾いて練習していきましょう。
左手もしっかり伴奏とし軽やかに音を刻みます。

ショパン「ポロネーズ第11番ト短調(遺作)」17小節目からのピアノ楽譜
17小節目からは新たなメロディの始まりです。
右手の高音と低音のメロディの掛け合いを美しく弾きましょう。

ここでも気を付けたいのが音の粒です。
特に17小節目は装飾音符に気を取られてレガートの切れ目をないがしろにしてしまったり、急いで弾いてしまったりしてしまいがちになりますので、弾いている音をよく聴いて1音1音丁寧に。

明るく華やかなトリオ部分

ショパン「ポロネーズ第11番ト短調(遺作)」23小節目からのピアノ楽譜
23小節目からのトリオ部分は明るく華やかに。しかしながら強弱記号はピアノですので、強さにはご注意を。

16分音符で駆け下りてきた後のメロディは響きを大事にしていただきたいです。
24小節目、26小節目の頭に向かっていくことを意識してみましょう。

ショパン「ポロネーズ第11番ト短調(遺作)」27小節目からのピアノ楽譜
27小節目からは左手も16分音符で伴奏が始まりますね。

注意していただきたいのが29小節目の3拍目です。
右手がターン(ここの場合はソファミファと弾きます。)した後の16分音符は左手と合うはずなのに、ずれてしまいがちです。
ここは右手も左手も16分音符。両手がしっかり合うように弾きましょう。

ショパン「ポロネーズ第11番ト短調(遺作)」31小節目からのピアノ楽譜
31小節目の8分音符でのメロディはレガートを意識!音を弾くというより、音を押えるというイメージで。

35小節目からは23小節目からのメロディと同じものですが、強弱記号の指定がフォルテになってとても盛り上げる部分ですね。
左手も、小節の1音目は重みをもって弾きましょう。

そして一番最初に戻り、12小節目のフィーネで終了です。

まとめ

1、スケールで駆け上がる部分は見せ所!しかし重くならないようにスマートに!
2、16分音符のメロディは音の粒を揃えて引く!
3、トリオ部分は美しく・華やかに踊りの音楽らしく!


いかがでしたか?短い曲でさほど難易度を要求される曲ではありませんが、とても弾きごたえのある曲だと思います。
ショパン初心者の方にもお勧めですので、ぜひ挑戦してみてくださいね。



「ポロネーズ第11番」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1949年にポーランド音楽出版から出版されたパブリックドメインの楽譜です。


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