12月になると、高齢者施設でも、クリスマス会を行ったり、新年を迎える準備をしたりと、年の瀬が迫るムードが高まります。
そんな中で行う音楽療法でも、師走や冬、年末といった雰囲気を十分に楽しみたいですよね。
高齢者を対象とした12月の音楽療法のセッション案と12月の歌を簡単にご紹介したいと思います。

■ 目次

クリスマスソングは高齢者には向かない?


12月と言えばクリスマスですよね。

季節を感じていただくためにも、盛り上げるためにも、クリスマスソングを選びたくなりますよね。

でも、高齢者にとってクリスマスソングはあまり馴染みのない印象もありますよね。

結論から言いますと、すべてのクリスマスソングが高齢者になじみがないという訳ではありません。

クリスマスソングといえば、『ジングルベル』『あわてんぼうのサンタクロース』『きよしこの夜』『赤鼻のトナカイ』といったところでしょうか。

このうち、『きよしこの夜』『ジングルベル』『赤鼻のトナカイ』に関しては、高齢者うけのいい曲です。
これらの曲は、1950年代~1960年代までには、レコードとして発売されたり、小学校の音楽の教科書に掲載されたりしていたとのことで、高齢者にもなじみのある曲なのです。

一方で、『あわてんぼうのサンタクロース』は、なじみのない高齢者も多く、また子どもっぽい印象を受ける方もいるようです。

導入から展開部

導入部には高齢者に馴染みのある、季節感のある曲を使用します。

おすすめは童謡の『たきび』です。


この曲は多くの高齢者が知っている曲です。
また、歌詞に出てくるたき火を想像していただくことで、暖かさを感じていただくことができます。

気分が暖まったところで、次の曲へと声をかけると、流れが作りやすいです。

もう一曲、季節の曲としておすすめしたいのが『冬の夜』です。


この曲は、明治時代に尋常小学唱歌で紹介されているほど歴史の古い曲で、高齢者にはとても馴染みのある曲の一つです。

歌詞が難しく感じられる曲ですが、口ずさむことはできる曲ですので、歌詞について確認したり、クイズ形式にして答えていただいてもいいでしょう。

次に展開部におすすめの曲です。

展開部では、気持ちも盛り上がり、身体も暖まっているところなので、歌謡曲や演歌など、歌い応えのある曲を選ぶといいでしょう。

『津軽海峡・冬景色』や『北の宿から』、『雪国』、『お座敷小唄』などが喜ばれます。
演歌や歌謡曲に関しては、歌い慣れていないという方もいらっしゃるでしょう。

『津軽海峡・冬景色』や『北の宿から』、『雪国』は、1970年代から80年代にかけて流行した比較的新しい曲ですので、聞いたことはあるけれども歌えないという方もいらっしゃると思います。

歌唱する曲は、全員が必ず知っているものでなければならないということはありません。
知らない曲だった場合は、聞くことを楽しむのも音楽療法です。

聞くことも楽しんで欲しいと伝えた上で、『お座敷小唄』のような、1960年代以前に流行したような、より馴染みのある曲を選んでみましょう。

また『丘を越えて』を歌ってみるのもおすすめです。


冬の曲のイメージもないのに、なぜこの曲なのかと不思議に思われる方もいらっしゃると思います。

でもこの曲、実は12月に発表された曲なんです。

冬だからといって、冬にちなんだ曲ばかりだと、どこかもの悲しかったり、寒々しかったりしますよね。
流れは少し強引でも、気持ち的に明るくなれるような曲を選ぶのも一つの手法ですよ。

そして、クリスマスソングを用いて合奏を楽しむこともできますよ。
『ジングルベル』を歌いながら、鈴を鳴らすのもいいですよね。

クールダウン


クールダウンには、再び歌いやすい短めの曲を歌います。

お正月が近ければ、童謡の『お正月』、また、冬の曲ばかりだったから、春を感じてもらうためにという理由で『春よ来い』を選んでみてもいいでしょう。

歌いやすい歌を選ぶことで、途中で歌えない歌があったとしても、気持ちよく音楽療法の時間を終えてもらうことができますよ。

まとめ

1.高齢者にもなじみ深いクリスマスソングはあり、『ジングルベル』『赤鼻のトナカイ』『きよしこの夜』が好んで歌われます。
2.導入部には冬を感じさせる歌いやすい曲を、展開部では歌い応えのある曲や、合奏などで身体を動かせる曲がおすすめです。
3.クールダウンの曲には、再び短めの歌いやすい曲を選んで、フラストレーションが溜ることのないようにするといいでしょう。

施設を利用し始めてまだ日が浅い方などは、クリスマスに馴染みのない方もいて、子どもが楽しむものと感じる方もいます。
クリスマスソング以外にも楽しめる曲をプログラムに加えることで、そんな方にも喜ばれる時間になるといいですよね。


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