私は、食べ盛りだった中学高校時代の6年間をブラジルで過ごしました。
そんな私にとってブラジル料理は、日本食に継ぐ第2の故郷の味です。
今でこそ日本でもブラジル料理を見かけるようになりましたけど、私がブラジルに渡った20年前、どんな食べ物があるのか想像もつきませんでしたね。
そんな予備知識もなかった私にとって、ブラジル料理は新しい味の発見がいっぱいあって、食べる楽しみを広げてくれました。
私を虜にした、とっておきのブラジル料理をご紹介しますね。
■ 目次
シュラスコ (Churrasco)
ブラジル料理の代表格、ブラジル風バーベキューのシュラスコです。
鉄串に刺した、大きな肉の塊に思わず目を見張りますね。
ブラジルに行く前は、肉、特に牛肉は、高級で特別でした。
主菜というより副菜に近いぐらい、ちんまりとした量しか食べたことなかったんですよね。
そんな私に、シュラスコは衝撃でした!
ウェイターは、串をドンと皿の上に立てて、ナイフで削ぎ切りにするんです。
ストップをかけるまで、これでもかこれでもかとやって来るわけです。
最初は戸惑って、美味しい部位にまで行き着かずにギブアップ。
底なしに食べてもOKな人ならいざ知らず、対策を立ててから臨まないと、勿体無い思いをしますよ。
シュラスコを満喫するコツを伝授しますね。
お腹を空かせて行く
例え地元ブラジル人でも、シュラスコのレストランは滅多に行きません。
私達がお寿司や天ぷらを毎日食べないのと同じです。
誕生日とか、家族の集まりとか、特別なんです。
なので、せっかくのシュラスコを十分に楽しむためには、お腹を空かせて行きましょう。
量が半端ないので、消化しにくいディナーより、遅めのランチがオススメですね。
サーブされる前に、好きな部位が来るか確認
ブラジルにあるレストランでは、たとえ事前に確認しても、当日行って、「今日はその部位は入荷してません」なんてことが多々あります。肉が運ばれて来る前に、どんな部位の肉があるのか確かめておきましょう。
自分のお目当てが来るまでは我慢です。
ちなみに私のお気に入りは、定番ですが、ピカーニャ(picanha) 。
日本では、「イチボ」と呼ばれるそうですね。ランプの部位に入ります。
硬いだけでなく、とってもジューシーで、噛み締めるとジュワッと肉汁が溢れます。
基本、岩塩で味付けされているだけなので、濃厚な肉の味がしっかり楽しめます。
それともう1つはコラソン(coração)。鶏肉の心臓ですね。
砂肝のようなコリコリ感が、たまらないんです。
副菜や飲み物はほどほどに
シュラスコのレストランでは、サラダバーが付いてくるのが普通です。野菜を採りながらというのは結構なことなんですが、大ぶりの玉ねぎの輪切りだったり、カロリーが高いポテトサラダとか、それだけでお腹いっぱいになりそうなんですよ。
サラダバーで外せないのは、ヤシの新芽、パルミット(palmito)。
柔らかめの新筍のような、硬めのホワイトアスパラガスのような。
絶妙な食感と、爽やかな味で、思わず食べ過ぎてしまいます。
ファロッファ(farofa)と呼ばれる、トーストされたマンジョッカ(イモの一種)の粉。
これと、コウビ(couve)と呼ばれる葉野菜の炒め物は、とても一般的な肉の付け合わせです。
これもついつい採り過ぎてしまうんですよね。
副菜はなるべく控えめにしましょうね。
せっかくのお肉が食べられなくなってしまいますよ。
シュラスコにはビールも良く合うので、ついつい飲み過ぎにもなりますね。
飲み物も、摂りすぎるとお腹いっぱいになるので、ご注意を。
シュラスコの主役は、何と言ってもお肉ですよ!
フェイジョアーダ (feijoada)
水曜日と土曜日のランチの定番なのが、豆を煮込んだ料理、フェイジョアーダ。
小豆に似たフェイジャン(feijão)と呼ばれる黒インゲン豆を、豚の脂身、干し肉などと煮込んで、これをご飯と一緒に食べます。
シュラスコ同様、ファロッファやコウビが付け合わせの定番ですね。
はっきり言って、初めてトライした時は、相当抵抗がありました。
見た目が雑煮っぽく、それに豚肉がゴロゴロ入っているわけです。
罰ゲームかと思いましたね。
しかも、豚肉の中でも、耳や鼻、足など、本来なら捨てられる部位ばかり。
この料理は、アフリカから連れて来られた奴隷が作ったという説があって、残った部分しか使えなかったんでしょうね。
味はしょっぱくて、かなりこってりしています。
お世辞にも、「美味しい!」と感嘆する味ではないんですが、不思議とまた食べたくなるんですよ。
肉が入っているボリュームタップリのフェイジョアーダは、滅多に食べませんでしたが、肉なしのフェイジャンの煮物は、学食にも必ずあったので良く食べてました。
今でも、たまに無性に恋しくなる時がありますね。
パステウ (Pastel)
ブラジルでは、毎日どこかしらでフェイラ(feira)と呼ばれる朝市が開かれます。
そこでの定番スナックが、このパステウです。
四角い餃子の皮を大きくしたような生地に、具を入れて揚げた一品です。
肉やチーズなどおかず系もあれば、甘い具材を入れたスィーツ系もあるんですよ。
私のオススメは、パルミット(ヤシの新芽)の入ったパステウですね。
両手でしっかり持たないといけない程の大きいパステウ。
そのまま食べてもいいんですが、トマトと玉ねぎのサルサや、チリソースをかけると、アクセントが効いてより美味しいです。
ブラジルでの食生活に慣れると、「意外と油っぽくないし、ペロリといけるね」となりますが、初めは2人でシェアとかがいいと思いますよ。
古い油を使っていたりして、油当たりをし易いので、なるべく人気のありそうな所を選んで下さいね。
色んな市場に行って、お気に入りのパステウを見つけるのも楽しいですね。
立ってアツアツを頂くので、人懐こい店主やお客さんとおしゃべりが弾みますよ。
ポンデケージョ (pão de queijo)
日本のパン屋でも、普通に見かけるようになりましたね。
小さいボール型をした、名前の通りチーズ(queijo)のパン(pão)です。
外はパリッとしていて、中は弾力のあるモッチモチの生地です。
小麦粉ではなく、キャッサバ粉が原料なので、小麦粉で作るチーズパンとは全く違いますね。
ブラジルでは、家庭で作るのに、「ポンデケージョの粉」が売ってあります。
小さい割には、食べ応えもあってお腹にたまるので、小腹が空いている時に丁度いいですよ。
ボリーニョ・デ・バカリャウ (bolinho de bacalhau)
ブラジルの市場やスーパーで見かける、一際匂いの強い白い物体。
「バカリャウ」と現地で呼ばれる、鱈の塩漬けの干物です。
塩抜きして色々な料理に使われますけど、一番ポピュラーでオススメなのが、このボリーニョですね。
じゃがいもと混ぜて、パン粉をまぶしてある一口コロッケです。
程よい塩加減の鱈とじゃがいもが、相性バツグンなんですよ。
外はサックサクで、中はしっとり。
前菜の定番の一皿ですね。
ブリガデイロ & ベイジーニョ (brigadeiro & beijinho)
パーティーが大好きなブラジル人。
誕生日会などで呼ばれると、必ずあるのがこの2つのお菓子です。
「ブリガデイロ」は、ブラジル風トリュフチョコレートです。
コンデンスミルクとココアパウダーを混ぜて、最後にチョコスプレーをまぶしてあります。
ココアパウダーをココナッツに代えて、チョコスプレーの代わりに粉砂糖、ココナッツにすれば「ベイジーニョ」になります。
てっぺんにクローブを載せてあるのが伝統的ですね。
1つ1つは小さいんですが、大人数の集まりになると、それぞれ100個ぐらいトレーに並べられていて、壮観なんですよ。
どちらもアイスクリームやケーキの名前にも普通に使われるので、「ブリガデイロ アイスクリーム」と書いてあれば、チョコレート味、「ベイジーニョのケーキ」とあればココナッツ味と思って下さいね。
キンジン (quindim)
ブラジルの有名お菓子でもう1つオススメしたいのがこちら、「キンジン」です。
ココナッツと卵黄で作った、硬めのプディングといったところですね。
ツヤツヤな黄色が綺麗ですね。これを大きい型で作って、切り分けて食べることもあります。
とっても濃厚で甘いお菓子なので、カロリーが気になりだした今となっては、食べるのに勇気がいりますね。
このお菓子もそうなんですけど、ブラジルではココナッツを使ったお菓子や料理はとても多いんです。
私はブラジルに行くまでココナッツを食べたことがなくて、初めて食べた時は「こんなに美味しいものがあるんだ!」と感激しましたね。
砂糖を加えず香ばしくローストしたフレーク状のものは、ふりかけのようにご飯にかけると、カレーにぴったりなんです。
濃厚なクリームを使った、ココナッツの棒アイスは、学校帰りに立ち寄るカフェ(駄菓子屋に近いですが)での定番でしたね。
アサイー (açaí)
ここ最近、ヘルシーフードとして世界的にも注目を集めるようになりましたね。
ポリフェノールや鉄分を豊富に含む、アマゾンに原生するヤシの一種の果実です。
今では、ブラジル以外の国でもスーパーで普通に見かけるようになって、ビックリです。
見た目は紫イモをペーストにしたみたいで、ドロッとしています。
それ自体に特に味があるわけでもないので、正直美味しい食べ物とは思っていなかったですね。
今のように、「アサイーボウル」として、フルーツやシリアルなどで上手にアレンジしてあるのは、食べたことなかったんですよ。
オーストラリアに住んでいる時に、家に近くに「アサイーボウル」専門店が出来て、美味しいな、と思うようになりました。
歳をとって健康志向になってきたせいか、「栄養価が高くて、しかも美味しい」食べ物を好むようになってきたせいでしょうか。
ブラジルでもっと食べておくべきでしたね。
ムケッカ (moqueca)
ブラジルで、リオデジャネイロと並んで私が大好きな都市に、バイーア州サルバドールがあります。
世界遺産の街並みと、独特の文化が色濃く残っていて、とっても楽しめる街なんですよ。
そんなバイーア州の代表的郷土料理が、「ムケッカ」です。
エビやタラが入った、トマトベースの海鮮シチューと言えばいいんでしょうか。
「デンデ油」と呼ばれるパーム油を使うので、独特な香りですね。
はっきり言って、日本人の舌には合わないんですが、この地方に行った際には必ず食べてもらいたい一品ですね。
マラクジャ (maracujá )
パパイヤやマンゴーなど、トロピカルフルーツが豊富なブラジルで、私が一番ハマったのが、マラクジャです。
日本ではパッションフルーツとして知られる、酸味の強いフルーツですね。
ブラジルでは、ジュースは勿論、アイスクリーム、ケーキ、ムースなどスィーツの定番の味になっています。
ブラジルのスィーツって、思いっきり甘ったるいんですよ。
でも、マラクジャが使われていると、酸味が味をキュッと引き締めてくれて、脂っぽい料理の後でもスッキリするんです。
デザートを選ぶ時は、大抵マラクジャを使ったものを頼んでましたね。
おまけ 飲み物編
カフェジーニョ (cafezinho)
ブラジルと言えば、もちろんコーヒーですよね。
エスプレッソのように、小ぶりのデミタスカップに濃厚なコーヒーを注ぎ、たっぷりの砂糖を入れて飲みます。
食後に、カフェジーニョは当然のように付いてくるんですが、地元の人が入れる砂糖の量がハンパないんですよ。
同じ様にして飲むと胸やけしてしまいます。
ブラジルのコーヒー豆は酸味が強く、濃く入れると酸味が更に増して、実は苦手でした。
それでも、中高生だった私には、カフェジーニョを飲めることが大人の証みたいで、無理しても飲んでいましたね。
ガラナ (guaraná )
私だけかもしれないんですが、その土地でしか食べない食べ物、飲まない飲み物ってあるんですよね。
気候風土の差だったり、周りの雰囲気だったりするんでしょうか。
全く同じものでも、違う土地だと美味しく感じないんです。
ガラナは、そんな飲み物の1つです。
コーラに似た炭酸飲料で、ブラジルにいた頃は、どんな時でも必ず頼んでいましたが、日本に帰って飲んだら、美味しく感じられなかったんです。
ブラジルにいつか行く機会があれば、真っ先に飲みたい飲み物ですね。
カイピリーニャ (caipirinha)
サトウキビから作ったお酒、ピンガ(カシャッサとも言います)をベースにして、ライムジュースと砂糖を混ぜたカクテルです。
カクテルとは言っても、オシャレにシェーカーを振るんではないんですよね。
カットしたライムをグラスに入れて、ガシガシとスリコギで潰すので、まるでお酒を入れたレモネードみたいです。
アルコール度は25%ほどで、結構強いお酒なんですが、口当たりが良くて飲みやすいですよ。
クラッシュアイスがしっかり入っていて、夏向きの味ですね。
ピンガをウォッカに代えると、「カイピロスカ」というカクテルになって、日本酒に代えると、冗談のような名前「サケピリーニャ」になるんですよ。すごいネーミングですよね。
ココナッツウオーター (água de côco)
リオのビーチで、一番オススメの飲み物は?
私なら迷わず「ココナッツウォーター」と答えますね。
ココナッツのてっぺんを、ナタでザックリ切りおとして、ストローを差して飲みます。
味がもの凄い美味しいという訳ではないんですが、甘ったるいジュースにはない爽やかさがあります。
汗で失われた水分を補給するのにも、普通のお水より吸収率が良くてミネラルをたっぷり含んでいるので、熱中症対策にもバッチリなんですよ。
今住んでいるクアラルンプールでも、ココナッツウォーターを飲むことは出来るんですが、残念なことにリオのビーチがないんですよね。
ブラジルの時に飲んだ方が、美味しく感じましたね。
まとめ
私は、海外暮らし10年以上なんですが、家以外で和食って食べないんです。値段と内容が釣り合わないのが最大の理由ですけど、気候風土が違うと食べたい物が違うんですよね。
ブラジル料理も、現地で食べるからこそ美味しいものばかり。
書いていて、久々にブラジルに帰りたくなりましたね。
そんな思い出のブラジル料理。オススメの有名な食べ物は
1 ジューシーで肉をたっぷり味わえる、シュラスコ
2 ブラジル人の故郷の味 フェイジョアーダ
3 市場での定番スナック パステウ
4 小腹を満たすもっちもちパン ポンデケージョ
5 ブラジル風 鱈のコロッケ ボリーニョ・デ・バカリャウ
6 パーティーの定番スィーツ ブリガデイロ&ベイジーニョ
7 ココナッツの甘味がぎっしり キンジン
8 アマゾン生まれのヘルシー果実 アサイー
9 バイーア州の郷土料理 ムケッカ
10 酸っぱさが病みつきになる マラクジャ
ブラジルならではの飲み物、カフェジーニョやガラナ、カイピリーニャなどと共にお楽しみ下さい。
ビーチでは、ココナッツウォーターで喉を潤しましょう!
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