5月といえば、こどもの日があったり、母の日があったりと行事に関する話題には事欠きません。
音楽療法のプログラムを作成する際も、季節の曲を選ぶなら、いくつか該当する曲があり困ることもありません。

でも、いつも季節の曲ばかりでマンネリ化してきた、と感じている方もいるはず。
そんな時にヒントにしていただきたい、季節の曲以外の視点で作成したプログラム例をご紹介します。

季節の曲を選ぶ意味


音楽療法では季節の曲が多くのプログラムで選ばれています。

もちろんそれには意味があります。

その一つが、施設の中で暮らしている方々に、四季を実感していただきたいという思いです。

施設では、外出企画でお花見に行ったり、花火大会を見学したり、地域のお祭りに参加したりなど、四季折々の行事を計画していることがあります。

そういった工夫を行うことで、施設の中だけで過ごしがちな方々に、四季を感じていただくのです。

音楽療法でも、季節の歌を歌い、その歌に関する話をすることで、少しでも四季を感じていただきたいとの思いから、季節の曲を選びます。

また、季節の曲を選ぶことは、現実見当識訓練のためでもあります。

現実見当識訓練とは、認知症が原因で、日付や場所がわからなくなる見当識障害に対して行われる訓練です。

ご本人の名前や年齢、時間、場所、日時など、繰り返し質問することで現実への認識を深めることを目的としています。

日常の中で、何度も繰り返し質問することで効果が上がるとされている訓練ですので、音楽療法のセッション中にも、季節や日付を質問すること、またそれらを感じてもらうことで、認知症の方にアプローチしていくのです。

季節の曲以外のプログラムで脱マンネリ


何度も音楽療法を行ううちに、決まった流れになってしまい、マンネリ化し、盛り上がりに欠けてしまうことがあります。

決まった流れがあることは、決して悪いことではないのですが、セラピストもクライエントも新鮮さを求めることがあるのです。

そんなときは、季節の曲が含まれる、でも、季節の曲だけではないプログラムを用意してみましょう。

例えば、セッションの行われる日に関する曲を集めてみるのもいいでしょう。

これは、難しい日もあれば簡単な日もあります。

セッションをする日が5月5日であれば『背くらべ』(童謡)『こいのぼり(屋根より高いこいのぼり~)』(童謡)『鯉のぼり(甍の波と雲の波~)』(唱歌)とすぐにプログラムの半分近くの曲が思い浮かびます。

また、5月5日に発売された曲を使ったり、5月5日生まれの歌手が歌った曲など、セッション中にクライエントが知らないであろう情報を織り交ぜることで、全体が盛り上がりますよ。

5月の歌を使ったプログラム例

ここでは、私が実際に5月29日に行ったセッションのプログラム例をご紹介します。

1.『雨降りお月さん』(童謡)
2.『赤い靴』(童謡)
3.『青い目の人形』(童謡)
4.『野に咲く花のように』(歌謡曲)
5.『柔』(歌謡曲)
6.『港町十三番地』(歌謡曲)

7.『みかんの花咲く丘』(童謡)
8.『あの町この町』(童謡)

実はこの曲はそれぞれ、5月29日に生まれた人に関する曲なんです。

この日に生まれた人として、たくさんの童謡や民謡を作詞した野口雨情さんがいます。

また、俳優の芦屋雁之助さん、歌手の美空ひばりさんも5月29日生まれです。

このプログラムの1~3と8は野口雨情さんが作詞した曲です。
1に関しては、もうすぐ梅雨入りという時期でもあるため、季節感のある曲です。

4の『野に咲く花のように』は、芦屋雁之助さんが主演したドラマ『裸の大将放浪記』の主題歌として作られた曲です。

そして、5と6は、美空ひばりさんが歌った曲です。

最後に残った7はというと、私自身に関する曲なんです。

実は私も5月29日生まれ。

生まれ育った地域がみかんの有名な地であることと、ちょうど5月の頃の歌であること、また、美空ひばりさんの曲が難しくて歌えなかったというクライエントもいるため、もう少し簡単な、なじみのある曲でセッションを終わりに近づけたいという意味からも、この曲を選びました。

また、このセッションでは連想ゲームのような要素も取り入れました。

それぞれの人に関するものを登場させて、クライエントに答えてもらったのです。

野口雨情さんに関しては、肖像画を用意しました。

なかなか当たらなかったので、早々と答え合わせをしました。

芦屋雁之助さんを連想してもらう際には、裸の大将を連想させる服装をし、リュックを背負い、手にはおにぎりを持つことで、何人かに答えていただくことができました。

美空ひばりさんの場合は、黒のハットと新聞紙で作ったステッキを持っただけのシンプルなヒントでしたが、連想ゲームは成功しました。
最後に、私に関するヒントとして、幼いころの写真を用意しました。

面影もあまりない写真でしたが、写真がカラー写真であることから、大体の年代を予想し、隣の人や介護スタッフと相談して、見事私の写真であることに気が付いてくれたクライエントもいました。

この連想ゲームの要素を取り入れたことも、他のクライエントや介護スタッフとコミュニケーションをし、場の空気を盛り上げることの助けになりました。

まとめ

1. 季節の曲は、四季を感じていただくことや、現実見当識訓練に役立ちます。
2. 季節の曲以外の曲を取り入れることで、いつもと違う流れを作ることができ、マンネリ化を防ぐことができます。
3. 5月の歌を使ったプログラムには、セッションを行った日である、5月29日生まれの方にちなんだ曲を選びました。

いつも同じことをしていると、飽きてしまうのは仕方のないことです。
それを、伴奏や楽器を変化させることでメリハリをつけることでも、マンネリ化を防ぐことはできます。

でも、たまには曲の選び方も変えてみるのもいいでしょう。
いつもと違うセッションができて、フレッシュな気分を味わえるかもしれませんよ。


 音楽療法の記事一覧