音楽療法に興味があるけれど、あまり周りで実践している人がいないし、教えてくれる人もいない。施設で音楽療法をやれば、お年寄りや子どもたちが楽しんでくれそうだけれども、どんな楽器を演奏できれば音楽療法士になれるのかがわからないという方もいるはず。
私は長年施設で介護職として働きながら音楽療法を実践してきました。そんな私はピアノを長年習ってきましたが、センスがまるでなく、苦労してきました。
でも音楽療法に使われる楽器はなにもピアノだけではありません。
どんな楽器が演奏できれば音楽療法ができるのか紹介していきたいと思います。
まずは定番のピアノ
定番というかよく使われる楽器の一つがピアノをはじめとする鍵盤楽器です。
ピアノは大きい楽器ですし、施設や教室にあるとは限りません。
なので、キーボードを使ったりアコーディオンを使ったりします。
音楽療法の世界では、音楽療法を受ける人のことをクライエントと呼ぶのですが、ピアノを弾きながら振り向いてクライエントの表情を確かめて、自分の声を届けるのは、ただ弾くことよりも技術が必要になりますよね。
その点、キーボードやアコーディオンであればクライエントと向かい合って演奏することができます。アコーディオンに関してだけ言えば、クライエントの近くまで行って演奏することもできて、より多様性があります。
小さいころピアノを習っていたけれども、もうずいぶん前に止めてしまっているし弾けなくなっているという方って結構たくさんいると思います。
そんな方が、ある日突然、演奏しながら歌を歌って、さらにクライエントの表情や反応を観察するなんてできそうにもないですよね。
ハードルが高すぎると始める気も失せてしまいそうです。
そんな方はとりあえず、一曲だけ弾けるように練習してみてください。
音楽療法では5~7曲くらいの楽曲で1セッションを組み立てるのですが、そのセッションの中で1曲を弾けるようにがんばるんです。
その際は、だれか他の人に協力してもらって、自分の代わりに歌を歌ってもらったり、クライエントの反応を見てもらったりするといいですね。
それ以外の曲は、音楽療法用に作られているCDなどを利用するといいですね。
そうやって、徐々にレパートリーを増やしていきましょう。
ギターを演奏できる人も
ピアノの他に、ギターでセッションをする人もいます。
こちらも鍵盤楽器と一緒で、弾きながら歌を歌ったり、クライエントの様子を見たりすることができますよね。
でも、「ギターなんて弾けない...」という方も多いはず。
私もギターは弾けません。
大学時代に授業でギターを習ったのですが、授業が終われば弾き方も忘れてしまっていました。
でも挑戦してみる価値はあるかもしれません。
私には兄がいるのですが、兄はギターが弾けます。
しかも、大人になってから独学で弾けるようになっていました。
兄は小さいころ歌うのは好きでしたが、何か楽器を習うなどしてきたわけではありません。
そんな兄がギターに目覚めたのは社会人になってから。完全に独学ですが、色々な曲が弾きこなせるほどになっています。
はじめは簡単に弾ける曲からでOKです。
ピアノと同様一曲からはじめてレパートリーを増やしていってください。
練習次第で上手になれますよ。
タンバリンなどの打楽器も
音楽療法ではタンバリンなどの打楽器もよく使われます。
これは、クライエントに使ってもらうのが主になってくる楽器です。
なぜ打楽器なのかというと、簡単に音が出せるからなんです。
タンバリンはただ手で叩くだけで音が出ますよね。自分がタンバリンを持って、叩く面をクライエントの手のそばに持っていけば、たとえ小さな音であっても鳴らしてもらえます。
そうやってクライエントに叩いてもらうことで「自分も参加している!」という気持ちを持ってもらうんです。そうすることで、その後のセッションがより活気のあるものになりますよ。
打楽器には、タンバリンだけではなく、他にもバチ一つで鳴らせるたいこや、振ったら音が出るマラカスも活用できます。
打楽器は「もし自分が鳴らして変な音が出たらどうしよう」という心配をしなくてもいい種類の楽器です。クライエントも安心して参加してもらえますよね。
ただ、打楽器の演奏ができるからと言って、明日からすぐに音楽療法がはじめられるというわけではありません。やはり、打楽器の類はクライエントが演奏してくれるものだからです。ご自身は、なにか他の、セッションをリードできる楽器を演奏できるのが望ましいですね。
まとめ
1.定番はピアノなどの鍵盤楽器。難しいけれども、まずは1曲、がんばって練習。2.ギターもおすすめ。簡単にアレンジされている楽譜を使えば、はじめの一歩はうまくい く。その後も努力でカバーを。
3.タンバリンなどの打楽器はクライエントに演奏してもらって、場を盛り上げてもらって!
楽器を弾くのは難しいですよね。
でも最近は簡単に弾ける楽譜も数多く出版されています。ハードルは低くして、はじめてみてくださいね。
お年寄りや子どもたちと、一緒に音楽を楽しんで、ご自身を含むみんなが笑顔になれるといいですよね。