音楽療法が行われている現場は、病院・高齢者施設・障がい者施設などです。
このうち多くの音楽療法士が働いているのが、これまで記事でもよく取り上げてきました高齢者施設と障がい者施設です。

では医療現場で音楽療法はどのように活用されているのでしょうか?
今回は、医療現場での音楽療法の現状についてご紹介します。

医療現場で音楽療法の対象となる疾患や状態とは?


医療の現場で音楽療法を行う際に、その対象となる疾患や状態は様々なものがあります。

まずは認知症。

多くの介護施設で認知症の方に対する音楽療法がおこなわれているのと同じように、病院でも、入院している認知症患者さんに対する音楽療法がおこなわれています。

そして、高次脳機能障害や言語障害などのリハビリテーションにも利用されています。

高次脳機能障害とは、脳にダメージを受けたことの後遺症として現れることがある症状です。

記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害が、脳の損傷部位によって特徴的に出現します。

脳にダメージを受ける原因は、脳卒中などの病気や交通事故などのけがによるものです。

歌手のKEIKOさんに介護が必要であると話題になった際に、介護が必要になっている原因の一つが高次脳機能障害だと説明されていましたよね。

KEIKOさんの場合、くも膜下出血が原因で高次脳機能障害になってしまったそうです。

KEIKOさんは音楽に興味を示さなくなったようですが、障がいを受けた部位によっては、音楽が有効に働くことがあり、その場合、音楽療法を活用することができます。

また、統合失調症の方に対しても音楽療法は行われます。

音楽療法は、心の健康な部分に働きかけることで、統合失調症の方が社会復帰を目指す際に、ソーシャルスキルの一つとなるとなると考えられ、リハビリテーションに用いられています。

そして、緩和ケアに取り入れられ、精神的・身体的苦痛を取り除く方法としても、音楽療法は活用されています。

あくまでも補完的な役割の音楽療法

様々な疾患や症状に対して行われる音楽療法ですが、あくまでも補完代替療法の一つとされています。

補完代替療法とは、手術や薬物治療といった医療的な処置を補ったり、それに代わる療法です。

健康食品やサプリメント、鍼灸、運動療法などがこれに含まれます。

お薬を飲んだうえで、さらに健康な心身状態に近づけてくれるもの、一連のリハビリテーションの一部として取り入れることで、さらに回復への効果を高めてくれるものが音楽療法なのです。

医療現場で音楽療法を行う人が持つ資格とは?


医療現場で音楽療法を行う人が持つ資格は、もちろん音楽療法士ですが、音楽療法は音楽療法士の資格がなくても行えるセラピーでもあるため、他の資格を持ち、音楽療法を勉強して実践している方もいれば、他の資格と音楽療法士の資格を併用して活動されている方もいます。

例えば、精神科医。
精神科のお医者さんの中には音楽療法士の資格を持っている方が何人かいます。

そういった方々が、自分の患者さんに対して音楽療法を行い、その効果についての研究も行っています。

そして、作業療法士の中にも、作業療法の一環として音楽療法を取り入れ実践している方がいます。

作業療法とは、精神や身体的に障がいがある人に対して生活していくために必要な動作や社会に適応するための能力の回復を目指して行われる治療です。

その治療には様々な作業や手工芸が使われるのが特徴的で、その一環として音楽療法が利用されます。

また介護福祉士も、医療現場で音楽療法を行う人が持っていることの多い資格です。

介護士として働きながら、音楽療法士として働いている方も多くいます。

まとめ

1.医療現場でも活用される音楽療法は、認知症や統合失調症、高次脳機能障害などのリハビリテーションに用いられています。
2.音楽療法は医療的処置の補完的な役割を果たしています。
3.医療の現場では、音楽療法士の資格を持った精神科医や作業療法士、介護福祉士が音楽療法を実践しています。

医療の現場では、まだまだ用いられることの少ない音楽療法ですが、その効果に関する研究は進められており、今後が期待されているセラピーでもあります。

音楽療法士が医療系の他職種と連携し、音楽療法を受けたいと思う誰もが、医療機関での音楽療法を、気軽に受けることができるようになるといいですね。