高齢者の音楽療法の現場は、介護施設であったり、地域の公民館であったりと多岐にわたります。

打楽器など、クライエントに演奏していただきたい曲を選ぼうと思っても、実施場所に楽器が用意されていなかったり、数が足りなかったりすることがありませんか?

そのような時に活躍してくれる手作り楽器について、実践例をご紹介していきたいと思います。

なぜ手作り楽器なの?

いざ施設などで楽器を使った演奏を行うプログラムを考えようと思ったとき、その楽器がないことはよくあります。
楽器がないから音楽療法ができないと思っている施設の方もいるでしょう。

その場合は音楽療法士が持っている楽器を使用したり、施設側に用意していただいたりするのですが、予算の問題もあり、限りがあるのが普通です。

そこで活躍してくれるのが手作り楽器です。もちろん本物の楽器が用意できるに越したことはないのですが、そうではない場合、手作り楽器でカバーするのもひとつの手ですよ。

また可能であれば事前のレクリエーションなどでクライエントと一緒に作ってみるのもいいでしょう。
そうすることにより、音楽療法への参加意欲が高まるという効果が期待できますよ。

高齢者とのセッションに使われる手作り楽器の種類

たかが手作りですが、されど手作り。手作りでも様々な楽器を作る事ができます。

よく手作りされるのが、マラカス、鈴、カスタネット、ギロ、太鼓などの打楽器。
それから、カリンバ、レインスティック、カホンなどの民族楽器。
ギター、木琴、ラッパなど、正確に音を出すのが難しかったり、音を出す事がそもそも難しい楽器はあまりセッションには向きません。

マラカス、鈴、カスタネットなどは少ない材料で簡単に作れるので人気です。
またマラカス、鈴に関していえば、片麻痺の方でも簡単に音が鳴らせる点もいいですね。

例えば握りやすい太さの20㎝程の棒の先に市販の鈴をつけてあげると、スレイベルのような楽器になります。このような形状の方が鳴らしやすいという方もいらっしゃいますよ。

マラカスも一工夫。マジックテープなどがついたベルトなどを用いて手に固定できるようにすると、握力が低下していても使用できます。

民族楽器に関しては、本物を一つ用意して、本来の音と聞き比べてみるのもいいでしょう。
その違いを楽しんで、話題作りをするのも、セッションを盛り上げる一つのコツですよ。

私は竹を使ってレインスティックを手作りしましたが、本物にも負けず劣らずの音を出す事ができましたよ。

マラカス、鈴、カスタネットを使って演奏されている赤鼻のトナカイの映像がありましたので参考にしてみてください。



手作り楽器を使用できる曲と実際に使った際のクライエントの反応

私は手作り楽器を使ってセッションを行ったことが何回かあります。
主には介護職として働いていたデイサービスでのセッションでしたので、事前のレクリエーションで楽器を作り、その後、実際に楽器を使って曲の演奏を行う形でした。

その実践例をご紹介します。

よく手作り楽器を使って演奏したジャンルのうちの一つが、ソーラン節やよさこい節などの民謡です。

民謡を歌う際には、クライエントの多くの方が手拍子をしてくれます。この手拍子を楽器に変えるだけなので、楽器演奏をしてもらいやすいです。

ソーラン節ではまずは、何も決めずに歌って楽器を鳴らしていただきました。
曲もよく知っていただいている方が多く、声も出ており、呼吸関連機能の強化が図れたと思います。

そして次に、歌詞の部分で楽器を鳴らしていただく方と、合いの手の部分だけ鳴らしていただく方のグループに分けて演奏しました。
そうすることで、自分が音を鳴らす部分に集中する緊張感が生まれました。

もちろん、歌の部分を演奏した人と、合いの手部分を演奏した人を交代してから、再び演奏しました。混乱してしまった方が、間違って鳴らしてしまうということもありますが、特に問題もなく盛り上がった演奏になりました。

そして、他にもクライエントと一緒に演奏していた曲のジャンルがありました。
それは青い山脈やきよしのズンドコ節などの歌謡曲です。

少しテンポの速い歌謡曲を使うと、高揚感が得やすくなるようです。

きよしのズンドコ節を使う際は、はじめは歌唱のみとし、次にいつも行っている、CDに合わせた体操を行いました。

身体が温まったところで楽器を持っていただき、少しテンポを落として演奏しました。

最後の演奏は、テンポをCDのテンポまであげて行いました。

みなさん積極的に楽器演奏に参加していただいている様子で、体操で行う仕草を楽器演奏時にも行っていただき、おおいに身体を動かしていただいているといった印象でした。

この曲に関しては、高齢者にとっては比較的最近の曲なので、普段から聞きなれていないクライエントが多いと楽器演奏は難しいでしょう。

ただ、私がセッションを行った施設のように、体操で使用しているというところも少なくはないです。
プログラムに取り入れたいと思う時には、事前にリサーチしてみてくださいね。

まとめ

  1. 手作り楽器を使うことで、本物の楽器が足りないことをカバーでき、事前にクライエントと一緒に手作りすることで、音楽療法への参加意欲が高まる。
  2. 高齢者とのセッションでよく使う手作り楽器は、マラカス、鈴、カスタネット、太鼓などの打楽器。作りやすくて鳴らしやすい楽器が便利です。
  3. 実際によく使ったのは、民謡や歌謡曲。クライエントが自然に手拍子してくれるような曲が使いやすいです。

本物の楽器を使うということには様々な良さがありますが、手作り楽器にもそのメリットを活かした使い方があります。

そのメリットを最大限生かして、楽しいセッションの時間が過ごせるといいですよね。


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