以前ご紹介した、私がピアノを習い始めて最初に弾いてみたいと思っていた有名な曲、堂々第1位のバダジェフスカ作曲『乙女の祈り(Modlitwa dziewicy Op.4)』。1856年に発表された曲です。
あるドラマの中で、ピアノの発表会でこの『乙女の祈り』を演奏しているシーンがあり、そこで初めてこの曲を知りました。
有名な曲なので、もちろんそれ以前にもこの美しいメロディーを耳にしたことはあったのですが、曲名を知ると同時に一瞬にして「弾いてみたい曲第1位」になりました。
とはいえ、楽譜を開いてみると、たくさんのオクターブや10連符に唖然・・・。
「絶対に次の次の発表会で弾いてやる!!」と大きな目標を持って、バイエルか入りたてのブルグミュラー(曖昧な記憶)に励んでいました。
今回は、そんな思い出の曲、『乙女の祈り』の難易度と弾き方をご紹介します!
楽譜は、名曲選集や発表会の選曲用などによく掲載されています。
作曲したのは、ポーランド出身の女流ピアニスト
『乙女の祈り』を作曲したテクラ・バダジェフスカ(Tekla Bądarzewska/1834(or 1838)-1861)は、ポーランド出身のピアニストであり、作曲家でもあります。
よく「バダルジェフスカ」と表記されていることもあります。
『乙女の祈り』はよくオルゴールでも耳にすることがある、とても魅力的で美しい曲なのですが、一方でバダジェフスカ自身が本格的な音楽教育を受けていなかったことから、「素人くさい」とか「時代遅れの曲」と酷評されていたそうです。
私からしてみると、「ただの嫉妬じゃん」と思ってしまうんですが・・・。(ボソボソ)
『乙女の祈り』の難易度は?
全音ピアノピースの難易度表に記載されている『乙女の祈り』の難易度は、中級のCとなっています。
中級のCとは、ショパンの『子犬のワルツ』やシューベルトの『楽興の時』と同じ程度のレベルで、だいたいツェルニー30番の後半から終了程度といったところです。
しかしこの『乙女の祈り』は、オクターブが難なく弾けるということが、演奏のためには必須!
冒頭から華々しくオクターブで始まり、メインとなる旋律や後奏にもオクターブが多いことから、やはり手がそれなりに大きくないと弾くことは難しいかと思います。
私デスカ?
・・・モチロン、頑張ッテ弾イテモ頻繁ニ雑音ガ入ッテマシタヨ。
私が発表会でこの『乙女の祈り』を演奏したのが、小学校の高学年だったか中学校に入学して間もない頃だったと思います。(これまた曖昧な記憶)
当時は、「高校生や大学生になってもう少し手が大きくなったら、もっときれいにこの曲が弾けるはず!!」と思っていたのですが、その当時から手の成長が完全に止まってますよ、ええ。
さらにこの曲を演奏するには、表現力がとても重要!
プロの演奏を聴くと、可憐な少女の繊細な気持ちを表現しているように感じ取れますが、ただ譜面通りに弾くだけだと、「あぁ、この人必死で音を押さえてるだけだな」とすぐにわかってしまいます。
『乙女の祈り』は弾く音のパターンが決まっているので、その点においての難易度は高くはないですし、暗譜も難なくできる易しい曲なのですが、そういった曲こそ高度な表現力が求められることが多いです。
なるべく感情移入して弾くように心がけましょう!
私はこの曲にチャレンジしたのがちょうどお年頃だったこともあり、当時好きだったクラスメイトのN君のことを考えながら弾いていました。まさに乙女(?)の祈り!!
「そのN君が今の私の夫です!」とか言えたら素敵なんじゃけどな~。現実はなかなかうまくいかんよな~・・・。(遠い目)
『乙女の祈り』の弾き方をご紹介!
余談がすぎました。
それでは本題の、『乙女の祈り』の弾き方を解説します!
冒頭は華々しく、また力強く始まります。(動画冒頭~0:13)
しかし、強く弾きすぎないように!
この曲はロマン派の可愛らしい曲なので、聴いている人が思わず「ハッ」とするような弾き始めということだけ意識しておきましょう。
4小節目は、楽譜によってはアルペジオで弾くように指示しているものもあります。
手の小さな人は、堂々とアルペジオで弾いて大丈夫です!
めちゃめちゃ有名な、この曲のテーマです。(動画0:14~)
左手の〇の音を意識して弾き、右手の高音をその左手に支えられるように響かせましょう。
オクターブの弾き方ですが、私はなるべく指を丸めて弾くように気を付けています。
そうでなくてもギリッギリまで開いているので、それだけですでにいっぱいいっぱいなのですが、指を少しでも丸めることで、「234」の指の付け根が他の鍵盤に触れることを防ぎます。
そして常に右手の動きにだけ集中集中!
右手に熱い視線を送り続けてください。
手が大きくて、「オクターブなんか余裕じゃしー!」という人は、「1」と「4」の指で弾くといいかもしれませんね。
そのとき、「1」の動きに集中して、「4」を添える感じで弾いてください。
オクターブを弾くときに開く指の幅は同じなので、「1」「4」の幅は常に固定して弾きましょう。
次のパートでは、あえて7連符ではなく、16分音符の3連符と32分音符4つの組み合わせが出てきます。(動画0:39~)
ここを7連符にしなかったのは、2拍目の前半と後半の弾き方を分けたかったためなのかなぁと思います。
7連符であれば音が7つで1拍とカウントしますが、この場合だと、前半の16分音符の3連符で8分音符1つ分。後半の32分音符4つで8分音符1つ分と考えて練習しましょう。
矢印の音を意識するといいと思います。
次に出てくるのは10連符です。(動画0:45~)
音が多くて大変と思うかもしれませんが、「レ」「ファ」「ラ♭」「シ♭」の音しか弾かないので、音と運指さえ覚えて反復練習をすれば、それほど難しい部分ではありませんよ!
ここで登場する「ターン」という音楽記号では、「ラ」の音にナチュラルが付いているので、「シ♭ドシ♭ラ♮シ♭」と弾きます。(動画1:30~)
ここからは左手を右手の上から交差させて弾きます。(動画1:34~)
手を交差させて弾く曲は、当時の私は『猫ふんじゃった』以外ではこの曲が初めてだったような気がします。(曖昧な記憶part3)
「marcato」は「はっきりと」という意味です。
メロディーをはっきり、そしてゆったりと歌わせてください。
それまでのゆったりした雰囲気とは一変し、少し速く軽快な旋律が登場します。(動画2:04~)
トリルは軽く、粒を揃えて弾くように気を付けましょう。
後奏の部分の右手は、オクターブの連続です。(動画3:01~)
泣きます、ここは本当に。
前半のメインの旋律と同じように、オクターブの音をきっちり弾ける練習に励みましょう。
曲の終わりに向けて盛り上がりを見せます。
〇の部分はスラーが付いていますが、「レ」の音は特にたっぷり弾くことを意識してください。
弾き方のおさらい!
『乙女の祈り』を弾くときのポイントをおさらいします。ポイントは、
- オクターブを弾くときの指の幅を固定し、雑音が入らないように慎重に弾く
- 弾く音自体は決まっているので、10連符も恐れない
- 感情移入をしながら弾く
この『乙女の祈り』が美しく弾けるように、私も祈っています!(子持ちカープ女の祈り)
「乙女の祈り」の無料楽譜
- IMSLP(楽譜リンク)
本記事はこの楽譜を用いて作成しました。ステロフスキー社から出版されたパブリックドメインの楽譜です。
バダジェフスカ「『乙女の祈り』Op.4」の記事一覧
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