バレエ『くるみ割り人形』は最も有名なバレエの演目の一つです。
ですが、そのストーリーはご存知ですか?
言葉のない舞台では、ダンサーたちは身振りや表情だけでストーリーを表現しなければいけませんよね。
その意味を受け取れるのと受け取れないのでは、感動の度合いが大違いです!
だから、ストーリーを事前に知っておくと100倍楽しめるんです。
そこで今回は、むかしクラシックバレエを習っていた私が、『くるみ割り人形』を観る前に知っておくべきあらすじと見どころをご紹介します♪
お友達にバレエの発表会に招待されたとき、有名なバレエ団の公演を観に行くとき…
ぜひしっかり予習していって、公演を楽しんでくださいね!
あらすじ
バレエは演出によってストーリーに多少の違いがありますが、ここでは最もポピュラーなストーリーをご紹介したいと思います。まず、主な登場人物です。
・クララ
主人公の女の子。
・ドロッセルマイヤー
子供たちにクリスマスプレゼントを持ってくる魔法使いのおじさん。
・くるみ割り人形
ドロッセルマイヤーがクララにあげたプレゼント。実は王子が呪いをかけられた姿です。
・金平糖の精
お菓子の国でクララを歓迎する砂糖菓子の精。
さて、気になる物語の方は全二幕です。
第1幕
<第1場>
クリスマスの夜、ドイツのシュタールバウム家はたくさんのお客さんを招待して盛大なパーティを開いています。
そこにドロッセルマイヤーが現れ、子供たちを手品で驚かせたり、様々な人形を踊らせたりしてみんなを楽しませます。
クララはドロッセルマイヤーからくるみ割り人形をもらい、とても気に入ったようです。
しかしクララの兄のフリッツがふざけてくるみ割り人形を壊してしまいました!
すぐにドロッセルマイヤーが直して、悲しんでいるクララに渡すと、クララはそれを大事そうに持って踊ります。
パーティが終わり、一度ベッドに入ったものの、修理したばかりのくるみ割り人形の様子が心配になって広間に見に行くクララ。
突然大時計が夜中の12時を告げると、クリスマスツリーが大きくなり始めますが、実はクララが小さくなったのでした。
すると、部屋の隅からねずみの王様の軍隊が現れて暴れ始めました!
くるみ割り人形が動き出し、おもちゃ兵隊たちを指揮して応戦します。
危機一髪になったとき、クララがくるみ割り人形の手助けをして、おかげでねずみたちは逃げていきました。
戦いの後、くるみ割り人形はなんと美しい王子に変身します!
実は、くるみ割り人形は、ねずみの王様に呪いをかけられていた王子だったのです。
王子は助けてくれたお礼にと、クララをお菓子の国(おとぎの国)へ招待します。
<第2場>
二人は雪の精たちが舞う松林(雪の国とも)を抜けて、お菓子の国へ旅立っていくのでした。
第2幕
お菓子の国に到着すると、王子は金平糖の精をクララに紹介します。
色々なお菓子の踊りで歓迎され、夢のような時間を過ごすクララ。
チョコレートの踊り、お茶の踊り、花のワルツ、金平糖の精の踊り…
ふと気がつくと、クララはもとの広間で目覚めます。
クララはくるみ割り人形を愛おしそうに抱きながら「夢だったのかしら、それとも…」とまどろむのでした。
物語の見どころ
私は以前ヨーロッパを旅行した際、クリスマスイブに『くるみ割り人形』を観に行きました。劇場に入ると、なんとお客さんはほとんどがが家族連れ!
小さい子向けなのかな〜などとちょっと恥ずかしい気もしたんですが、いざ始まるとファンタジーの世界にすっかり引き込まれてしまいました!
近くに座っていた小さい女の子たちも、物語の展開に驚いたりうっとりしたり、もう夢中といった様子で微笑ましかったです。
終演後、恋人同士や友達同士で来ている人たちを見かけて、そうだよね、やっぱり大人も楽しめる素敵なお話だよね〜と一人で納得(笑)
老若男女、誰もが楽しめる演目だと思います。
さて、その見どころは…?
第1幕の見どころ
第1幕はストーリーが展開する場面が多く、踊りももちろんですが、ダンサーたちの表現力を楽しめます。<第1場>
クリスマスパーティの場面の見どころは、子どもに大人気の魔法使いのドロッセルマイヤーでしょう!
人形をあやつったり、魔法で子供達を驚かせたり、不思議な雰囲気の存在です。
彼が繰り出すムーア人、ピエロ、コロンビーヌなどの人形は滑稽なダンスを踊ります。
ゼンマイ仕掛けのような動きや、カクカクとしたコミカルな振り付けは見逃せません!
<第2場>
王子とクララがお菓子の国へ旅立つシーンでは、雪の精のコール・ド・バレエ(群舞)の美しさをご堪能あれ。
群舞では一人ひとりのダンサーが目立つことはできませんが、一糸乱れぬ動きで観客を魅了する、やりがいのある踊りです!
第2幕の見どころ
クララがお菓子の国で色々な国の踊りを楽しむ場面では、異国情緒溢れるダンスがたくさん見られます。
一つ一つの踊りは短めですが、テーマごとの要素がぎゅっと詰め込まれています。
衣装や靴だけでなく、振り付けも民族舞踊の要素をふんだんに取り入れていて魅力的ですよ!
踊りを一覧にまとめてみました。
・チョコレートの踊り – スペイン
スペインらしい真っ赤な衣装でかっこいい踊りを見せてくれます。
フラメンコを彷彿させますね!
・コーヒーの踊り – アラビア
アラブ風の衣装をまとったダンサーがエキゾチックな踊りを披露します。
ちょっと怪しい、大人っぽい雰囲気を楽しめます。
・お茶の踊り – 中国
軽快な音楽に乗って、中国服を着たお茶の精が飛んだり跳ねたりします。
メリハリのある振り付けになっているので見ていて飽きません。
・トレパック(大麦糖の菓子) – ロシア
このお菓子はねじったキャンディーのような飴菓子だとも言われています。
勢いのある音楽とともにダンサーが舞う様子は圧巻です。
・ミルリトン(葦笛) – フランス
ミルリトンはタルトのお菓子の名前で、葦笛の踊りと呼ばれることが多いです。
軽やかで優雅な踊りを楽しめます。
・ギゴーニュ(ジゴーニュ)おばさんと子供たち
ボンボンの子供たちが、ギゴーニュおばさんのふくらんだスカートから出てきます!
・花のワルツ
これはお菓子の国の住人たちがクララを歓迎する踊りです。
一糸乱れぬ華麗な群舞にぜひご注目ください。
バレエを習っていた頃、私もミルリトン(葦笛)の踊りを踊りました。
クララの歓迎パーティーに華を添えるような明るく軽やかな雰囲気を出すために、仲間と猛練習したのはいい思い出です♪
さて、ここまで色々ご紹介してきました。
が、第2幕の一番の見どころは、お菓子の精たちの踊りの後にある王子と金平糖の精のグラン・パ・ド・ドゥでしょう!
物語の主役はクララですが、踊りの主役は金平糖の精と言っても過言ではないと思います。
優雅な女性らしさをまとった金平糖の精は、バレリーナの憧れの的です!
演出によってはクララと金平糖の精が同じ人物であることもありますよ。
グラン・パ・ド・ドゥとは、男女による踊りで4部構成になっています。
金平糖と王子の場合はこのような構成です。
(1)2人で踊るアダージョ
(2)王子のソロ
(3)金平糖のソロ
(4)2人で踊るコーダ
王子のソロでは最後のカブリオールというジャンプにご注目ください。
金平糖のソロは、チェレスタのポロリロリン♪という音色に乗って踊ることで有名ですね。
砂糖菓子がキラキラと輝くような繊細な踊りにうっとりしてしまいます…。
まとめ
あらすじ
第1幕クララはクリスマスイブにくるみ割り人形をプレゼントされ、その夜、襲ってきたねずみの王様たちを一緒に退治すると、人形は王子に変身する。くるみ割り人形はねずみに呪いをかけられた王子だったのだ。
第2幕
王子からお礼に、お菓子の国へ招待されたクララ。そこでは様々なお菓子の精が踊りを披露する。しかし目が覚めるとクララはいつもの家にいることに気づき「あれは夢だったのかしら、それとも…」と、くるみ割り人形を抱きしめ、余韻に浸りながらまどろむ。
見どころ
第1幕ドロッセルマイヤーが手品や人形で子供たちを驚かせるシーン。
人形たちのコミカルな踊りに注目!
第2幕
個性豊かな色々な国の踊りを楽しめます。
そして金平糖の精と王子の、華麗なグラン・パ・ド・ドゥは必見です。
チャイコフスキー「『くるみ割り人形』Op.71」の記事一覧
- 知ったら100倍楽しめる!バレエ『くるみ割り人形』のあらすじと見どころ 2017年5月9日 ←閲覧中の記事
- チャイコフスキーバレエ音楽「くるみ割り人形」op71名曲解説と名盤ランキング。バレエの魅力と最高のクリスマス 2019年12月25日