幼少の頃にこの曲を弾いた時
「タイトルも曲調もたのしいけれど、弾いていて楽しくないっ!」
と思っておりました。

当時は「弾きにくいから楽しくない」と思っておりましたが、今になって「なぜ弾きにくいのか」を考えてみると、左手がメロディであったりと、それまで弾いてきた曲とは指の使い方や曲の構成が全く違ったからなのですよね。

もしかしたら、皆様の中にも同じような思いをしている方がいるのでは・・・?

たのしき農夫の「楽しさ」を知らないままでいるなんてもったいない!
そして私のように、苦手意識を持ったまま数十年を過ごすことになったとしたら・・・恐ろしい!

たのしき農夫の楽しいところ。
探っていきたいと思います。



難易度はどのくらい??


初級~初級上、全音ピアノピースなどでは難易度B、あたりで出版されている楽譜が多いでしょうか。

難しいオクターブや和音、ペダルの必要はありませんが、冒頭でも少しお話させて頂いた通り、この曲は「主旋律を左手が担当し、伴奏を右手が演奏する曲」です。
人によっては(以前の私のように)今までとまったく異なる動きを求められるので、難易度以上に難しいと感じることもあるかもしれません。

個人的には、バイエル後半~あるいは、ソナチネアルバムを何曲か弾いている方が、挑戦しやすいと思います。

シューマンってどんな人?


まずは、作曲者シューマンがどんな人生を送ったのか、簡単にひもといてみたいと思います。

ロベルト・アレクサンダー・シューマン(1810-1856)
彼はドイツ・ロマン派を代表する作曲家の1人で、交響曲から合唱曲まで幅広く作品を作りました。

最初はピアニストになるつもりが、指の故障により断念。作曲家へと転向することに。
のちに女性ピアニスト、クララと大恋愛ののち結婚。
その年には、100曲をこえるほどの歌曲を作り、彼女との間にも8人の子供が誕生しました。
しかしながら、どちらも個性の強い芸術家。二人の結婚生活には行き違いも多かったようです。

また父親が書籍商だったこともあり、幼いころから文学書に慣れ親しんで育ったシューマンは、1834年に「新音楽時報」の創刊に携わり、音楽評論活動を行っていた事もありました。

作曲家として、評論家として、指揮者として。
さまざまな分野で手腕を発揮したシューマンですが、晩年は精神障害に悩まされており、1854年にはライン川に身を投げて自殺をはかります。
救助されたシューマンは、療養所にて2年後の1856年、46歳で亡くなりました。


うーん。人生山あり谷ありとは言いますが、シューマンの生涯も、なかなか大変なものですね・・・。
ですが、奥様と大恋愛をへて、一年で100曲以上の歌曲を作ってしまうなんて、すごいパワー!
いったいどこからそんな力が湧いて・・・・・・愛かなぁ。愛ってすごいなぁ。

また、奥様のことも気になったので少し気になって調べてみましたら、彼の死後、妻クララはシューマンの名誉を守るために、不名誉な資料を廃棄し、また自身の演奏活動の中でシューマンの曲を演奏して世に広め、シューマン全集の編纂をされたそうです。
現代の世の中でも、彼の曲が広く知れ渡っているのは、彼女の努力のおかげでしょうか。

結婚生活の中には難しい問題も多かったのだと思いますが、それでも失われない相手を思いやる気持ちが見えた気がして、ちょっとうれしくなると同時に、切なさもこみあげてしまいました。

仕事終わり。あなたの楽しみは何ですか

さて、それでは「楽しい」弾き方を考えていきましょう。
結論から言ってしまうと、楽しい弾き方の秘訣は、「楽しく弾くこと」です!

すました顔、無表情。そんなものは、いりません。
これは経験からですが、「演奏者が楽しく弾いている演奏」は、多少のミスなどがあっても、気になりません。
弾き終わった後、聞き終わった後。「楽しかったな!あの演奏者、良かったな!」と思うものです。
間違いを恐れず、わくわくした気持ちを思い出して弾いてください。

さて、原題は「仕事を終えて帰る楽しげな農夫」と訳される楽しき農夫。
仕事終わり・・・素敵な響きですねぇ。私も仕事を終えて一杯としゃれこみたい・・・。

全体的に楽譜を見てみますと、書かれている強弱記号が、fしかありません。
ですのであまり気を使って音を小さくしたり、柔らかく弾くことはなさそうですね。
楽しさを第一に、気楽に弾いていきましょう♪


曲の始まりはアウフタクト。
一拍目からはじまらず、先行してメロディを歌うような形となっています。

最初の8小節間は、左手はメインメロディ、右手は伴奏に徹して弾ききりましょう♪
(アウフタクトの小節は、「不完全小節」といい、小節数には含みません)

あいつもこいつも寄っといで♪

(動画 00:18~)

9小節目からは、右手もメロディに参加します。
つまり、左手→メインメロディ(+ハモリ、和音的な役割)。
右手→メインメロディ(+ハモリ、和音的な役割)、伴奏。

これは、一人が歌っていたらふらりともう一人やってきて、一緒に歌っている光景なのでしょうか。

私の場合、仕事帰りに一杯ひっかけようと歩いていたら、気心の知れた友達が声をかけてきて、一緒に飲みに行くことになった感じですね♪

右手が伴奏に加えてメロディも担当するので、それぞれの旋律を見失わないように注意してください。

また練習方法として、メインの旋律(ドシ♭―ラソー、ドシ♭ラソファソ・・・)と、伴奏をわけて演奏するのもよいと思います。

どの指がメインを歌っているのか。メインの旋律はどうつながっているのか。
ハモリを担当しているのはどのパートか。
伴奏はどこか。
この3点、しっかり確認してください。

まとめ

1. 難易度は、初級~初級上くらい。(バイエル後半、ソナチネ前半程度)。
2. シューマンは、ロマン派を代表する作曲家の一人。
3. アウフタクトに気を付ける。
4. メイン、ハモリ、伴奏をしっかり認識。

難しいところは多々あれど、繰り返しも多いので、一つ苦手な所をクリアしてしまえば、あとは難なく弾けるのではないでしょうか。

「楽しく愉快に」
仕事終わりの、わくわくした気持ち。
よしっ!かるく一杯としゃれこ――みたいのは私個人の楽しみですが、まだお仕事に触れていない小さなお子様などに教えられるときは、今から「楽しいところへ向かう最中」などと伝えてあげるとわかりやすいでしょうか。
小さいころに楽しみにしていた場所・・・私はデパートが好きだったなぁ。(お菓子を買ってもらえるので)。


皆様の持つ楽しい気持ち、なによりもそれを大事に。
すまし顔とはひと時おさらばです。
気張らず、気楽に弾いてみてください♪


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