フルートに限らず、楽器の練習をするときって、「ロングトーンの練習が大事」とよく言われますよね。
でも、ロングトーンって、音をひたすら伸ばしていくだけで、あまり面白みがなく、「早く曲の練習に移りたいな」と思うことってありませんか?私はかつてそう思っていました。
しかし、フルート奏者などの話を聞くと、「これ以上に大事な練習はないよ」というくらい、ロングトーンは重要と言われます。
■ 目次
なぜ、ロングトーンの練習が必要なのか。
安定した音色を出す基礎を作るため
なんとなく想像がつく理由ですね。初心者のうちは、フルートを吹いている間に楽器の位置が下がってしまい、それにより息の吹き込み方がずれて、音の強さにムラが出てくることがあります。
また、「長くのばさないと」と思うあまりに唇に力が入り、音がかすれたり硬くなったりします。
フルートが内側を向きすぎたときは、音程が下がって暗い響きになってしまうこともあります。
それらを防ぐための一番基礎的な練習がロングトーンです。
音を長く伸ばせるようになるため
「フルートは出した息の半分は捨てる」と言われるくらい、肺活量がいる楽器です。そのため、出た息を無駄なく楽器に入れて、均一で綺麗な音色を保ちながら長く伸ばす練習が必要です。自分の音を集中して聞けるようにするため
曲の練習を始めると、フレーズ感やリズムなど音質のほかに集中すべきことがたくさんあります。そのため、「音を伸ばす」という基礎的な練習をする間に、太く芯のあるのびやかな音が出ているか、音が響いているか、音程が下がっていないか、気をつけることが大切です。
このように、ロングトーンの練習をコツコツやることによって、初心者にありがちな、フルートを吹いているときに楽器がずれて音質が悪くなることが減ります。すなわち、フルートで綺麗な音色を出すための楽器の構え方やそれをするための基礎体力を身につけることができます。
それと同時に、息を伸ばすための肺活量、自分の音をよく聞きながら理想の音に近づけるための練習をすることができます。
私が行っていた練習方法
社会人である私は、吹奏楽部の学生のように、フルートを練習する時間が長くとれません。そのため、練習手順を省略して行うこともしばしばありました。
よくやる練習法
メトロノームをテンポ60にします。そして、低音シ♭の音から「7拍吹いて、1拍休む」を中音シ♭まで行います。じっくりやりたい時に行う、練習法
同じく、メトロノームをテンポ60にします。次に、何拍伸ばしたいか、目標を決めます。はじめは20拍前後からスタートするのがよいかと思います。そして、低音シ♭の音から中音シ♭の音まで、それぞれ20拍ずつ、全ての音を始めから最後まで同じ強さで吹けるよう練習します。
このとき、途中で息が切れて伸ばせなくなったとしても、自分が決めた目標の拍までは楽器を離したり息を吸ったりせず、きつくてもそのまま耐えることに挑戦してみるとよいかと思います。こうすることで、息を伸ばす感覚や、肺活量が身につきます。
低音部の音を改善したい場合は、低音シ♭から半音ずつ下がっていったり、逆に高音を強化したいときは、中音シ♭から上がっていったりという練習もできます。
ここからは、ロングトーンがうまくいかないときの悩み別に、やり方をみていきましょう。
音がぶれる
その原因はアパチュア(楽器を吹いている時に唇にできる穴)の位置や息のスピードが安定していないからです。息のスピードを安定させるために必要なのが、「たくさん息を吸う」こと。
たくさん息を吸うためにどうしたらいいか、詳しくは、息が続かないの項目で紹介します。
音がかすれる
これは私も結構悩んで、唇の乾燥が原因かな?と思ったりもしました。本来の原因は、リッププレートのエッジに正しく息が当たっていなかったり、息の圧力が弱かったりするからです。息をしっかり吸い、ある程度圧力のある息を吹き込めるようになれば、音がかすれるのが改善されます。
また、息漏れしないように、なるべく多くの息をエッジに当てられるよう、角度を調整していくことも大切です。
息が続かない
なぜ息が続かないのか、原因は主に2つあります。一つ目は、短時間に多くの息を吸えていないこと、二つ目は、吸った息が無駄なく音にできていないこと、です。
短時間で息が吸えるように、腹式呼吸の練習をしましょう。
このとき、仰向けで練習するのをオススメします。だいたいみなさん、寝ているときは腹式呼吸ができているからです。
ロングトーンの練習と同じように、メトロノームをつかいながら60くらいのテンポで7拍息を吐き、8拍目で息を吸う練習をします。
歯磨きのときの「いー」のように、上下の前歯をくっつけ、その間から息を吐きます。
このとき、息を吐きながらお腹が凹むことを意識するとよいです。
寝た状態で練習できたら、立ってやってみましょう。
腰に手をあてて、寝ながらの練習と同じように、7拍息をはいて、8拍目で吸います。
「息をうまく吸うためには、しっかり吐き切ることが大切」とよく言われるので、そこに注意してやってみるといいと思います。
こちらの動画では、音をまっすぐ伸ばすために、腹筋での支えに加えて、息の抵抗感が大切だと述べてあります。
まとめ
1.ロングトーンは、・安定した音色を出す
・音を長く伸ばせるようになる
・自分の音を集中して聞く
という基礎の部分を鍛えるのに役立つ。
2.ロングトーンの練習をするときは、メトロノームをテンポ60にあわせて
「7拍伸ばして1拍休む」
「同じ音質で20拍伸ばす」
など、自分の時間に余裕がある範囲で継続して練習する。
3.音がぶれないように、息のスピードを安定させる。
4.音がかすれないように、圧力のある息をエッジに当てる。
5.息が続くように、腹式呼吸の練習をする。
フルートは、少しでも吹き方が変わると、音質や音程が変わる楽器です。初心者のころは、うまく音の出るポイントがわからないために、なかなか納得いく音が出せないこともあります。
そんなときに役立つのが「ロングトーン」の練習です。
「音を伸ばす」という単純にみえる練習ですが、この中に、「決められた長さの音を一定の音量・音程で出す」という、その後の曲の練習で必要な要素が含まれています。
大切なことは、「自分が納得できる音が出るように練習する」ことだと思います。伸ばしていて心地のいい音色で、リラックスして気持ち良く演奏できるように、ロングトーンを通して基礎を固めて行きましょう。