ホルン吹きのみなさん!演奏で悩んでいることはありませんか?
音量が出ない、音が暗いといわれる、低音が響かない、音程が合わない、などといったものを抱えている方は多いでしょう。。
私も同じような悩みを抱えていました。

どうしても息の入れ方やアンブシュア、アパチュアなどといったような事柄にとらわれがちですが、右手の入れ方や使い方を見直してみませんか?
実は、右手の使い方によって音色も音程も音量も大きく自分の理想に近づけることができるのです!

ホルン演奏の鍵でありホルンの音作りの本質でもある「右手」について考えていきましょう。

■ 目次

なぜ右手が大事なのか?

まず、フレンチホルンは元をたどれば昔はナチュラルホルンというバルブのついていない楽器で、唇による倍音のコントロールと右手による音程の調節で音を作っていました。このことはご存じの方も多いと思います。

つまり、本来ホルン吹きの右手というのは音によって形や入れ方を変えていたわけです。したがって、昔のホルン奏者というのは右手が大忙しだったのです。

そんなナチュラルホルンが先祖のフレンチホルンですので、バルブがついているとはいえ、右手で多くの表現ができますし、右手によってベルをふさぐゲシュトップという特有の奏法まで存在します。右手をうまく使えるかどうかが実力の大きな部分を占めるといっても過言ではありません。

スタンダードな右手の入れ方


さて、スタンダードな右手の入れ方ですが、右手の入れ方や形は演奏に大きな影響を与えるため、いろいろな流派や表現の仕方があるのが現状です。また、目的に応じて変形や移動があるので、一般的に「絶対にコレ」といったような入れ方はありません。

しかし、平均すると以下のような入れ方が一般的と言えます。

・右手を握手するような形にする
・楽器を構えた時に指の甲側をベルにくっつけて支える
・なるべく手の形はまっすぐにしてベルをふさがないようにする

親指の位置やベルのどの辺りに手の甲を付けるのかは奏者によって誤差があるようです。
また、楽器の形状や重さによってはベルを膝に置いたり、支えにくかったりなどといったこともあるので注意が必要です。

右手と音質、音量

ホルンの音質や音量を調整するのは意外と大変な作業です。小さい音でのハイトーンなどは本当に難しいものです。
唇や息の強さで調節するとどうしても音が外れたりなどという事故が起きます。
そんなときに強い味方になってくれるのが右手なのです。

ベルを開けるように右手を開けば音量が大きく、逆に、閉じれば小さくなります。
また、右手を曲げるようにベルを少しだけふさぐと音質は柔らかくなります。音を明るくはっきりさせたい場合は右手を開けると効果的です。

基準として入れている右手の位置にもよりますが、右手の効果は意外にも大きいものなのでぜひ試行錯誤して感覚を自分のものにしてみてください。

右手と音程


音質や音量だけでなく音程も右手でかなり変えることができます。
もちろんチューニング管を使ってしっかりと音程をとることが先ですが、ハーモニーの関係でとっさに音程を調節しなければいけない時には右手を使います。

よく考えるとトランペットにはトリガー、トロンボーンはスライドがあり音程をその都度調節できます。チューバも実は使っていないほうの手を使って音程を調節できるのです。

しかし、ホルンは右手がベルの中に固定されているため演奏しながらチューニング管や抜差し管を調節することはできません。したがって、ホルンは必然的に右手をベルの中で変形させることで音程をコントロールしなければいけない楽器なのです。

右手の使い方

ここで、私がよく使う右手の使い方を紹介します。

まずよく使うのは「音程を下げるために少し右手を閉じる」です。
楽器の特性上、1・2番を同時に押す音(Gなど)、2・3番を同時に押して出す音(F♯など)は音程が高くなってします傾向があります。したがって、こういった音のときは少し右手を閉じて暗く、低めに聞こえるように調節します。

また「疲れてきたら右手を開ける」というのもよく使います。
これは交響曲や演奏会の後半で吹き続けることで疲労がたまり音量が出にくくなったときに使います。自分では音量が小さくなっていないつもりでも、疲労によって無意識に小さくなるものなので意識的に終盤戦はベルを開けるようにしています。

このほかにも「低い音のときこそ右手を開ける」、「主旋律のときは明るくよくとおる音にするために右手を開ける」、「全体の音量を考えて基準の手の位置を曲によって変化させる」「ハーモニーの第三音のときは少し右手を閉じる」

などというように自分の中でセオリーを決めて一音一音こだわって右手を使うと楽しくやりがいのある演奏ができるようになります。

もちろん闇雲に右手を変形させればよいというはずもなく、右手が変われば音量音質音程すべて変わってしまいます。ケースバイケースでどういったときにどう右手を変形させればよいかは普段の練習で培っていくものです。いつも右手のことを考えながら練習することが大切です。

まとめ

ここまでをまとめてみましょう

・右手はホルンのテクニックの本質である
・右手で解決できる問題は多い
・音量音質音程すべてに対して右手は影響を持っている
・一音一音に対して右手の形を考えるのも大切
・普段から右手を意識して練習

右手の変形はほかの人からは見えない地味なテクニックですが、右手をうまく使うことができれば演奏は劇的に変わります。みなさんも右手に集中して右手ありきのホルンライフを満喫してください。きっと次元の違う技術と表現が手に入ります!


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