ジャズピアノのスタンダード本をパラパラとめくると、様々な曲が載っています。ジャズピアノをこれから始めようと思うけど、何の曲から挑戦したらいいのか…そんな時はコードがシンプルで取り組みやすい曲から挑戦されることと思います。

ここでは、曲の難易度順にスタンダード曲を私の独断と偏見によりご紹介させていただこうと思うのですが…

一概に、難易度、といっても、極端な話、「カエルの歌」は難易度が低いか?と言われれば、その弾き方や表現の仕方によっては、難しい、と言える場合もあります。そこが、音楽の面白いところであり、奥深いところであるのです。

ということで、ここでは、私が学生時代に、ジャズバーのマスターから、この曲からやってみて、とアドバイスをもらい、今でも、ジャズセッションなどで演奏する、そんな曲たちをご紹介させていただきたいと思います。

■ 目次

ブルース進行の曲

キー(曲の調)は、F(♭が一つ)やB♭(♭が二つ)などがよく演奏されます。これは、サックスの楽器の特性によるもので、サックスやトランペットなどの楽器にとって、これらのキーは指使いが比較的簡単で、吹きやすいからです。

余談になりますが、ギターのブルース、といえばEやAのキーが多いのは、ギターの調弦の関係で、ギターにとっては、キーがE(シャープが四つ)やA(シャープが三つ)が弾きやすい、といった具合。

ジャズにおけるブルース進行の曲といった場合、テーマのメロディとして有名なものには、「ビリーズ・バウンス」「ストレート・ノー・チェイサー」「ナウズ・ザ・タイム」等々様々。

この12小節のブルース進行、音楽のエッセンスがてんこ盛り。当時学生の私にもジャズバーのマスターが教えてくれた最初の曲はブルース進行の曲でした。当時は、ブルース進行がこんなにも役立つなんてことは分からなかったのですが、後々、どんな曲にも応用の利く進行なんだな、と改めて痛感。ぜひ、初めて挑戦する一曲にブルースはオススメです。

ジャズセッションでも、最後にブルースで皆で盛り上がって終わり、みたいなことも多いので、世界の共通語(曲)、ブルースに挑戦してみてください。言葉が通じない人とでも、すぐに音楽で会話ができますよ!

まずは私が最初に弾いたブルース進行のこの曲をご紹介!

「ナウズ・ザ・タイム」チャーリー・パーカー(サックス)


簡単で聴き馴染みのある曲

ブルース進行の曲と並んでおすすめなのが、最初から取り組んでもいい、コード進行がシンプルな「オータム・リーブス」(邦題は「枯葉」)

ジャズセッションでよく演奏される定番曲で、コード進行もシンプルです。ありとあらゆるミュージシャンが演奏しています。いろんなアイデアが浮かんできそうな美しいコード進行が今も愛されている理由の一つではないかと思います。

ジャズって、テーマ(主となるメロディー)は一緒なのに、演奏者によって全く違った楽曲に仕上がります。なんて楽しいのでしょう!特に私の好きなピアノ演奏が収録されているアルバム2つを以下にご紹介。

アルバム「枯葉」ウィントン・ケリー(ピアノ)


力強くも繊細さも兼ね備えたピアニストによる演奏。そのきらびやかさに、秋の淋しさも忘れさせてくれるような雰囲気を私は感じます。

アルバム「ポートレイト・イン・ジャズ」ビルエバンス(ピアノ)


ジャケットの七三分けが素敵すぎます。あ、あと、黒縁の眼鏡も。理知的だけど内なる情熱を感じるこの盤も、大好きな枯葉の演奏収録アルバムの一つです。

と、ここまでは、どストライクすぎるほどの、定番曲で、最初に挑戦するにはもってこいの曲ばかり。

難しいけれどやりがいのある曲

これからは、難易度がぐっと上がりますが、難しい曲ほどやりがいがあり、やりきった時の喜びもひとしお。

まずは、「スペイン」

チックコリアの演奏が有名。スタンダードの本にも載っている有名な曲ですが、冒頭、テーマを複数の演奏者で一緒に弾く(ユニゾン)ので、寸分の違いも許されません…って、そこまではありませんが、皆で演奏してぴしゃり音が揃うと楽しいです。

アルバム「スペイン~ベスト・オブ・チックコリア」チックコリア(ピアノ)


次に、「ジャイアント・ステップス」

これ、めまぐるしくコードが変わって、かつ、めちゃ速い…私には、まだまだ練習が必要な楽曲の一つです…←おいおい、ひけんのかーい

サックスプレイヤーのジョン・コルトレーンの代表曲の一つ。さすが、と言わざるを得ないその圧巻のプレイがこちら。

アルバム「ジャイアント・ステップス」ジョン・コルトレーン(サックス)
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ワーナーミュージックジャパン


すごっ何考えて吹いてるんだろ、ってか、ここまでレベルが高いと、雲の上の存在…


最後に…個人的にノリが難しい、と思う楽曲。これ、ほんと個人的意見ですが…「ザ・サイドワインダー」

メロディが複雑、とか、超絶技巧、とかでは無いのですが、初めて聞いた時に、これはスウィングの少し跳ねたリズムでのるべきか…しかし、テーマのトランペットやサックスはわりと、タイトな跳ねないリズムで吹いてるし…

どっちやねーん、って、実は今でも思ってます。

ドラムのシンバルの音をよーく聞くと、スウィングしているんですよね。でも、演奏する時は割とタイトなリズムの方がしっくりくるんですよねぇ…

一体どうなっているのやら?

演奏する上で、どんなノリで演奏するのか、フォービートのスウィングなのか、ボサノバなのか、はたまた、16ビートなのか、などなど、演者の一体感を出すためには、演奏前に、ノリの確認は欠かせません。

そういった意味でも、 サイドワインダーは、独特のノリを出す必要があるので、私の中での、難易度の高い曲なのです。

ザ・サイドワインダー
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ユニバーサル ミュージック (e)


以上、数多あるジャズスタンダードの中から、独断と偏見で、始めやすい曲から、難易度高めの曲まで、ご紹介させていただきました。素敵な楽曲に出会って、ジャズライフを満喫しましょう!


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