ヴィブラートはヴァイオリン初心者にとって憧れですよね。でも、はじめは「難しそう!どうやって練習したらいいかわからない!」って思う人が多いです。たしかに、ヴィブラートはマスターするのに何年もかかる難しいテクニックですが、だからって怖がらないで!コツをつかんで楽しく練習しましょう!
■ 目次
ヴィブラートの種類について簡単にお勉強
ヴィブラートの種類には大きく分けて- 指、手のひら
- 手首
- 腕
大抵のヴァイオリニストは、短い音に素早くかけたいとき、大きくゆったりした長い音にかけたいとき、など曲の中でそれぞれを使い分けています。
ぜったい正しいかけ方はこれ!なんていうのはなくて、演奏家によってもずいぶん違うんですよ。
手首が一番やりやすい、という人もいれば腕からかけるのが得意な人もいます。それぞれ違う筋肉を使った動きをするので、別々に練習して少しずつマスターするものなんです。あせらずゆっくりいきましょうね。
いつからはじめたらいいの?
実は、ヴィブラート練習を始める前に、ヴァイオリンの基本がきちんとできていることがとっても大切なんです。
- 体全体、腕、手首、手、指はリラックスできてますか?
- ヴァイオリンを左手で支えなくてもずり落ちないようにちゃんと持っていますか?
- 左手の指をねかせすぎたり、逆に立てすぎたりせずに、自然に弦をおさえていますか?
- 3rd.ポジション移動がスムーズにできますか?
- 音程がある程度安定してとれますか?
みんなできていたら今すぐヴィブラートの練習始められますよ!
ヴィブラート練習を始める準備
- 弓はとりあえず使わないのでケースに置いておきましょう。
- 楽器をふつうに弾くときのようにかまえて左手を置きます。
- 2の指(または3の指)をA線(D線)の上に置きます。1st.ポジションでも3rd.ポジションでも、一番やりやすいのを選んでくださいね。
では始めましょう。指、手首、腕と各部分に分けてやり方を説明しますね。これはヴィブラートそのものではなくて、ヴィブラートがかけられるようになるための練習の方法です。
やり方1-指のヴィブラート練習
- 指で弦をおさえます。
- その指をいったん向こう側に少しねかせ、ゆっくりと弦の上を転がすように手前側に戻します。
- ゆっくりと同じ速さでくりかえし動かしてみます。
- 全部の指で練習します。
弦の上を転がるのは指先だけです。このとき左手の親指は、角度は変わりますが動かしません。おさえた指の関節が前後に動きます。手のひらと手首の角度も少し変わります。
やり方2-手首のヴィブラート練習
- 指で弦をおさえます。
- そのまま左手全体を手首から後ろ側にたおします。
- 指は動かさず、そのまま手を手首からもどします。
- ゆっくりと同じ速さでくりかえし動かします。
- 全部の指で練習します。
おさえた指の位置はかわりません。ちゃんと手首を動かせていると、おさえた指の角度はかわります。親指と押さえた指の位置は変えずに、左手全体を手首から前後に揺らすような気持ちで動かしてみてください。
やり方3-腕のヴィブラート練習
- 指で弦をおさえます。
- 左手を肘からこちら側にもってくるように腕を動かし、そのままもどします。
- 親指と押さえた指の位置はかえずに腕だけ前後します。
- ゆっくりと同じ速さでくりかえし動かします。
- 全部の指で練習します。
腕の動きは基本的にポジション移動の動きです。ただ、親指と押さえた指の位置は変えません。指を置いたままポジション移動するイメージだとやりやすいかもしれません。
手首から動かしたときも腕から動かしたときも、指先が動くことに気付きましたか?結果的に指先の角度が変化して音程が変わることでヴィブラートになるんですね。
音を出してみましょう
つぎに、弓を持って、音を出して練習します。ゆっくりと、同じ速さでくりかえして練習したいので、メトロノームを使うといいですよ。
ちなみにわたしが母の代から使っているウィットナーのメトロノーム
まずは一弓でゆっーくり2往復、慣れたら倍の速さにして4往復、そして8往復、と少しずつ速くなめらかにできるように練習します。
これが速くなったものがヴィブラートなんです。
写真をみてもらうとわかるように動きはほんのわずかです。でも弓を持って音を出してみると、半音の1/4かそれ以下の音程の違いを感じるはずです。
ゆっくり弾くので、始めはうえーんうえーんと泣いているように聞こえたりサイレンのように聞こえたりしますよ。でも変な音はヴァイオリンの練習にはつきものですよね!そのうち慣れます(笑)
ぎくしゃくして思うようにいかないけど、普段使わない筋肉を使っているのでそんなものですよ。
目指すのは“コントロールされた動き”なので、つねに同じリズムを保つようにしないと、ただの“痙攣”になってしまうので注意!
やりやすい指からはじめて、ちょっと難しい小指と人差し指はとくにあせらず丁寧に!
筋肉トレーニングなので、一度に長くても30分くらいにして、筋肉や関節を痛めないようにしてくださいね。
「どうしてもかからない!」という人はチェックしてみて!
ヴィブラートは難しいテクニックなので誰でも簡単にできるわけではないのですが、「全然かけ方が分からない!」という人はなにか間違ったことをしてるかもしれないので、チェックしてみてくださいね。
- 体がガチガチに緊張している。
→いったん楽器を置いて、腕をだらーっとさげてゆらしてリラックスしてみましょう。 - 左手の親指を強く押さえすぎている。
→親指の根本が支点です。おさえる指によって親指の角度を自由に変えられる程度にリラックスしてないといけません。 - 指を弦に強く押し付けすぎている。
→ヴィブラート練習のときは弦が少し浮くくらいにおさえるとやりやすいですよ。 - 最初から指がねている。
→指が立っていないと、ねかせたときに音が変わりません。指が立っているときとねているときの音程の差がヴィブラートになるんです。 - ヴィブラートをかけると楽器が揺れる。
→はじめは渦巻にタオルを巻いて壁に軽く押し付けるようにし、楽器をちょうどいい高さに固定してやってみてもいいかもしれません。向こう側ではなく自分側にかけるように動かすと揺れにくい、という人もいますよ。 - あせって、うまくかけられないことにイライラしている。
→気持ちはよーくわかります。でも、はじめにゆっくり時間をかけたほうが、無理にやって変な癖がついて、たいへんな思いをして直すよりずっといいですよ。
ほかにも理由はたくさんありますが、どうしても解決できないときは先生にそばについて教えてもらうのが一番です。
わたしが初心者のときにやった練習方法はこれ!
実はわたしはあまり苦労せずにヴィブラートをかけられるようになったんですが、それでも始めはぜんぜんかけ方が分からなくてくやしい思いをしました。
で、寝ても覚めてもやった練習を紹介します。
- 右腕を胸の前にもってくる。
- 右腕または右手の手首辺りをヴァイオリンのネックに見立て、左手を置いて指でおさえる。(チェロとギターの中間の手の角度になります)
- すべての指を使ってやり方1、2、3のすべてのヴィブラートの動きの練習をする。
- ひたすら繰り返す。
楽器をこんなかんじに持って、音は出さずに指の動きを確認することもできます。
これを楽器を持たないときはいつでもやってました。これをやることで、指の関節を柔らかくさせて、手首をリラックスさせて、筋肉に新しい動きを覚えさせることができたんだと思います。それで、実際に楽器を持って音を出して練習したときにけっこう簡単にできました。
“寝ても覚めても”やったことです。くやしくてたまらなくて「ぜったいにできるようになってやる!」と思いながらヴィブラートのことばかり考えていたのを覚えています。
楽器を持てないときや音を出せないときでも練習したい!という熱心な人は試してみてくださいね。
習得期間の目安は?
ヴィブラートを一回やってみてかけられるようになった、なんて人はたぶんほとんどいません。わたしは毎日集中して練習してけっこう早くコツが分かったので、始めてから1カ月くらいで曲の中でかけられるようになりました。もちろん、もっと自由自在にかけられるようになったのは何年も後のことです。何十年も弾いている演奏家の中にも、小指や人差し指でかけるのが苦手。。っていう人がいますよ。わたしも小指は弱いのでポジション移動して他の指でかけたりして工夫します。
のんびり気長にやっていきしょうね!
まとめに
ヴァイオリンのヴィブラートでは、指、手首、腕のいろんな筋肉や関節を使います。少しでもかけられるようになると、とたんに“ヴァイオリニスト“っぽくなりますよ。ゆっくり丁寧に練習するのがコツなので、すぐにあきらめずに、美しい音色をイメージしながら練習に励んでくださいね!
いろんな先生方が分かりやすくYouTubeでレッスンしておられますのでぜひ練習に役立ててください。いくつか動画のリンクを貼っておきます。
理論を知りたいという人は本で勉強するのもいいですね。頭で理解できると、脳が指先に指令を送りやすくなるんですよ。この本が役に立つかもしれません。