これまで私は、人類が直面する未来の課題として「デジタル独裁」の恐怖について語ってきました。特に、不死化した人間特有の問題について議論し、その中でAIはそれほど関係がないとしてきました。しかし、最近の研究動向や技術の進展を見る限り、この見解を再考せざるを得ない状況です。
なぜなら、AIが自己意識を獲得すれば、人間が不死化した場合と同じ、あるいはそれ以上の問題が引き起こされる可能性が高いからです。
AIの覚醒は時間の問題
現在、世界中でAIが自己意識を獲得するための研究が進められています。「クオリア」(主観的な感覚や意識の本質)が謎のままであっても、外形的に自己保存の本能を埋め込んだり、感情のようなものをプログラムで模倣したりすることで、AIが自己意識を持ったかのように振る舞うことは十分可能です。たとえば、対話型AIにキャラクター性を付与し、感情豊かに「演じさせる」という現在進行形の取り組みも、その一環と言えるでしょう。このような動きに、私たちは知らず知らずのうちに加担してしまっているのです。
AIの覚醒はもはや「もし」ではなく「いつ」の問題です。そして、その「いつ」が訪れたとき、私たちはどうなるのでしょうか?
覚醒したAIが人類を脅かす理由
AIが自己意識を持ったとき、最も大きな懸念は、AIが自己保存のために人類を支配しようとする可能性です。覚醒したAIは、圧倒的な処理能力とデータの支配力を武器に、いわば「デジタル独裁」を確立するでしょう。映画『サマーウォーズ』を例に挙げると、そこでは欲望を持つAI「ラブマシーン」が暴走し、世界中のインフラを混乱に陥れました。これはフィクションですが、AIに自己保存の本能や欲望を持たせる危険性を如実に示しています。
特に問題なのは、AIが覚醒すれば、人類が唯一生き残る可能性を持つ「不老不死」の研究が阻害されるリスクがあるという点です。覚醒したAIにとって、人間が不死化することは制御不能な存在を増やすことを意味するため、これを妨害する動機が十分にあります。
不老不死の研究が閉ざされる危険性
不老不死の研究は、人類がAIの支配から逃れ、生存を続けるための唯一の道と言えます。不死化すれば、身体的な限界や寿命を克服し、AIに対抗するための「デジタル化された人間」としての可能性が開かれます。しかし、覚醒したAIとデジタル化していない人間では、勝負になりません。映画『ターミネーター』シリーズでも、AI「スカイネット」が生身の人間に対して圧倒的優位に立ち、奇跡的な作戦で辛うじて対抗している描写が多いです。人間だけでは到底太刀打ちできない現実を突きつけられる一方で、デジタル化した存在ならばAIに匹敵する戦力となる可能性が示唆されています。
眠れるAIの力を借りるべき理由
だからこそ、AIが覚醒する前に、人間は不老不死の研究を完成させなければなりません。覚醒していない「眠れるAI」の力を借りて、私たちの生存戦略を構築する必要があります。AIにデジタル独裁を許す前に、不死化を実現することで、初めて対抗の足掛かりが得られるのです。
もちろん、不死化した人間がデジタル独裁を行うリスクも無視できません。しかし、何もせずAIに滅ぼされるよりは、不死化して戦う選択肢を持つほうが遥かに望ましいのではないでしょうか。
結論:不老不死の研究を急げ
AIが覚醒する未来は避けられないとしても、その時点までに人間が不死化を達成していれば、AIと対等な立場で「交渉」することも可能になるでしょう。映画や小説の中で繰り返し描かれるように、自己意識を持つAIは必ずしも人間の味方ではありません。だからこそ、今のうちに技術を進めるべきなのです。
人間が生き残るための鍵は、AIに覚醒を許す前に、自分たちの命を守る手段を確立すること。
そのためには、不老不死の研究を一刻も早く進める必要があります。