「誰でも知っているクラシックを挙げてください。」
といわれたら、皆さんはどんな曲をあげますか?

私たちの生きている今よりはるか昔から、人々の間で親しまれ、奏で続けられてきたクラシックの名曲たち。

昔は主に王族、貴族のあいだで親しまれた曲も、今ではTVなどで使用されたり、はたまた新たに歌詞が付けられて、新しい曲としてヒットを飛ばしたりと、時代を超えて、形をかえて愛されているものが沢山あります。

今回ひきかたを考えるのもそうやってそれぞれの時代の中で愛され続けてきた名曲の1つ。
モーツァルトの「トルコ行進曲」の弾き方を考えていきたいと思います。



難易度はどのくらい?


全音ピアノピースではB(初級上)とされています。
ソナタアルバムや、ツェルニーを弾いた、あるいは弾いている方でしたら、挑戦するにもちょうどいいレベルではないでしょうか。

オクターブがたくさん出てきますので、オクターブが苦手な方には、ちょっと難しいかもしれません。
ですが、決まった動きも多いので、パターンを身に着けてしまえば、早く弾き終えることができると思います。

トルコ行進曲の思い出。トルコ行進曲って2つあるけど・・・?


私にとってこの曲は、運動会の曲、というイメージです。
旋律がきこえてきたら、「走らなきゃ!」と、思わず急いでしまいます笑

ですが、初めて弾いたトルコ行進曲は、モーツァルトのものではなく、ベートーベンの方でした。
当時は「運動会(で聞く)曲とおんなじタイトルなのに、私の知ってる曲じゃない!」と、とてもショックを受けました。

では何故、同じタイトルだったのか。
今回弾き方を考えるにあたって少し調べてみましたら、まぁ、ざっくり言いますとトルコ風というのが「当時の流行」だったそうです。

ベートーベンは自らトルコ行進曲とタイトルをつけ、モーツァルトは冒頭に提示したAlla Turcaの表記がもとで、「トルコ行進曲」というタイトルが通称となったそうな。

当時の流行。
今と変わらず、多くの人が楽しみ、求めたもの・・・。
昔の人たちも、ものは違えど今の私たちと同じように、流行にのったりしたのだとおもうと、なんだか親近感がわいちゃいました。

トルコ行進曲のリズム

(動画 0:00~)

速度記号はAllegretto(♩=128)での表記がありますね。意味としては「やや快速に」というものです。行進曲なので、歩いていて無理のない速度で良いのではないでしょうか。

最初のキモとなるのは、左手のリズムです。

1-4小節目の左手のリズムの強さ、力の入れ方を以下のようにしてみてください。
(最初の小節が4分音符1個分しかなく、アウフタクト(不完全小節)のため、小節として数えない形をとっています。したがって、2番目の節が1小節目となります。)

重・軽・軽・軽・|重・軽・軽・軽・|重・軽・重・軽・|重・軽・軽・軽
(重=重く。しっかりと指を立てて。あるいは強めに。)
(軽=軽く。力を抜いて。あるいは弱く)

これを把握して弾けば、トルコ風に聞こえるはず。

トルコの軍楽隊の演奏です。


和声でいえば、バスの音が太鼓で強く叩かれ、テノールがシンバルや小太鼓などで軽く叩かれていると言えると思います。
ですが、ここではトルコ風の感覚のほうを大事にしてください♪


(動画 0:15~)

8小節目から16小節目までの強弱は、プロの方の演奏などを聴いておりますと、8-10は大きく、10-12は小さく。12-14は大きく、14-16は小さく。という風に弾く演奏が多いように思います。
曲にメリハリをつけるうえでの、1つの参考にしてみてはどうでしょう。

(動画 0:46~)

24小節目からは、やってきました、オクターブ!
ここの部分は、いわゆる曲の「サビ」です。左手のトルコのリズムを感じながら、気持ちよく歌ってください。

歯切れよく、右手のオクターブで奏でるメロディがベタッとした印象にならないように。
軽やかにリズムを歌ってください。

(動画 1:02~)

32小節目からは、右手のメロディを転がしていきましょう。
一音一音、粒立てて。
速い!と思って焦らずに、できるテンポからゆっくり練習していきましょう。

(動画2:02~)

64小節目からは、また冒頭の繰り返しですね。
先ほどと同じように弾いてみるのもよし、ちょっと違う風に演奏してみるのもよし。
まずは先ほどと同じように弾くのを目標にして、余裕がでてきたら、違う弾き方を試してみてはどうでしょう。

(動画 2:48~)

しかし88小節目からは、先ほど弾いたもの(24小節目~)とまったく同じではありません。

私などは、「うわっ!黒い玉(音符)が増えた!沢山動いてややこしいヤツじゃないの・・・」と気おくれしてしまうのですが(笑)
これは先ほどオクターブで弾いたメロディをバラしただけのもの。

先ほどは2つの音を同時に弾かなければなりませんでしたが、今回は1つずつ弾くので、次の音までの余裕ができる・・・!24小節目からのフレーズを弾ききったあなたにとっては、さっきより簡単かもしれません。

速く弾きすぎて装飾音にならないように、16分音符のリズムをカッチリとあてはめていきましょう。

(動画 3:03~)

97小節目のCodaからは、よりいっそう華やかに、にぎやかに。

(動画 3:15~)

110小節目ではpの指示がありますので、派手さよりも軽やかさを重視してみましょう。

(動画 3:27~)

123小節目からは、エンディングですので、遠慮せず堂々と弾いてください。

「これが私のトルコ行進曲だ~~!」「ひとまず間違いなく弾けたぞ~~!」「いっぱいミスしたけれど、最後までいったぞ~~!!」
なんでもいいです。
終わりだ~~~!という感情を、悔いなくぶつけてください。

最後までトルコ風のリズムを感じながら弾けましたか。
左手は基本的にトルコ風のリズムをくずしていません。
音の高低、動きに惑わされてしまいますがリズムのパターンとしてはずっと単調なものです。

効果的なペダルのつかいかた


また、ここから先は私個人の意見ですが、この曲はあまりペダルを使いすぎると、全体的にべったり、のっぺりとした印象になりがちです。

楽譜によっては、ペダルを使う指示がありますが、あまりペダルは使用しない方が良いかな?と思います。

なぜなら、ペダルを使わなくとも十分に曲として成立し、聴きごたえも弾きごたえもたっぷりあると思うからです。
まずは楽譜通りに弾くことが出来て、そのあと曲のエッセンスとして部分的にペダルを使用するのは有りかと思います。

コロコロと音が変わる曲、音数の多い曲は、ペダルをいれようとすると、かえって難しいことがありますが、余裕があれば是非、効果的なペダルの使い方を探してみてください。

まとめ

1. 難易度はB(初級上)。オクターブが求められる。
2. 「トルコ行進曲」という名前の有名な曲は2つある。
3. トルコのリズムを感じながら弾いてみよう。
4. ペダルは使う?使わない?


ところで、今回弾き方を紹介いたしましたモーツァルトの作曲したトルコ行進曲は、ピアノソナタ第11番K.331の第3楽章の事で、「トルコ行進曲」として単独で発表された曲ではありません。

つまり、前に第1楽章と、第2楽章があります。
そちらも素敵な曲なので、興味があったら、是非併せて挑戦してみてください♪

第1楽章から続けて弾くと、第3楽章単独で弾く時とはまた違った印象をうけるかもしれません。

当時の流行をとりいれた音楽が、時をこえて今もこうして愛されていると思うと・・・なんだか感慨深いですね。
今、私たちが触れている音楽、流行している音楽は、これから先どんなふうに受け継がれてゆくのでしょう。


「トルコ行進曲(K.331第3楽章)」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1893年にシャーマー社から出版された楽譜です。K.331全楽章が収録されており、「トルコ行進曲」は13ページからになります。
  • Mutopia Project(楽譜リンク
    最近整形されたきれいな楽譜です。「トルコ行進曲」のみ収録されています。

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