映画やゲームがいよいよ「体験型」になり、話題を集めていますね!
そんな中、元祖「体験型」の演劇も密かに注目を浴びているようです。

しかし演劇を始めてはみたものの、そもそも何をすれば良いのか分からないという人も多いはず。演劇の練習方法は、その団体によってかなり違います。
下手をすると、自分の演技を否定され、何が悪いのかもよく分からないまま舞台から去っていく人も少なくありません。

初心者も同然だった私が、ほとんど初めての舞台で「あの人、すごく良かった」とご好評を頂くことが出来たのは偶然や才能ではなく、確かな練習を積み重ねたからでした!

■ 目次

演劇の練習は何のため?


筋トレや、エクササイズ、発声練習などなど、演劇の練習方法は数え切れないほどありますが、それを続けることで演技が上手くなると思ってませんか?

断言します!
演劇初心者の練習は、何か特別なワザを覚えたり、演技を上達させるためにするんじゃありません。
余計なことをしないために練習をするんです。

目指すは、舞台の上に「普通」に立っていられること!

ここの所を勘違いしたまま、ひたすら「声の出し方」や「読み方」の練習を続けた結果、「変なクセ」がついてしまって、その後の演劇人生で苦しみ続けている役者さんを何人も知っています。

演劇の基本は、「肌で感じること」です。
この「感度」を高めるために練習をするんです。
なので、もし演技をしていて「嘘をついているような気がする」のであれば、とても良いことだと思ってください!

素直に反応する


目の前で起こったことに、素直に反応するって難しいんですよ!
どうしたって、上手く見せたいとか表現したいとか思ってしまいますよね。
これが余計なこと、、、泣

私は幸いにも人見知りで、できれば目立ちたくない、なんなら演技などしたくないと思っていたので、結果的に良いスタートだったみたいです。(舞台に立てるぎりぎりアウトですね。笑)

例えば、「床の上に綱をイメージして、綱渡りをする」という練習がありました。
高さに対する恐怖、足先に伝わる綱の感触、軋む綱の音、沈む体、中空をさまよう腕、震える足、こういう細かいものを一つ一つ想像して「肌で感じる」わけですが、、、

上手く見せようとするとか、何か表現しようとする必要はありません。
ただ感じて、楽しんで、余計なことをした時に「わ〜気持ち悪い」と思える体をつくることが肝心です。出来なくても全然良いんです。
但し、体が動けば動くほど、もっと色んなことを感じられるはず!

私は、ロボットみたいに体が硬かったので、日々のストレッチなどで自分の動ける範囲が変わった時に、もうびっくりしました!自分の「形」が変わると、「気持ち」が変わることに気が付いたんです!
今まで「自分」だと思っていたものが、信じられなくなりました。笑

緊張をほぐす


素直に反応することの、最大の敵は「緊張」です。

上手くいかないときって、焦って「何とかしなきゃ」って思うんですけど、これが緊張の始まりで、体はガチガチに、、、

あ、緊張してる人って見たことありますか?
首筋がガチガチになってるんですよ!肩から首にかけて、ギュ〜ッとなって、体が固まる。
表情は張り付き、目は見開いて、口はパクパク、手はグー。

でもこれ気付いたんです。
真冬にとぼとぼ歩いてる時に、木枯らしに吹かれて縮み上がった瞬間、首筋がギュ〜ッとなって、体がガチガチに固まっちゃったんです。
家に帰って早速試してみたんですけど、首筋をギュ〜ッてすると体は固まるんですよ!

緊張、関係ないじゃん!

緊張は、木枯らしと一緒でただのきっかけだったみたいです。自分が今どんな「形」をしているのか分かれば、それを「崩す」ことも出来ちゃうわけで、「今どこに力が入っていて、そこを崩すとどう変化するのか?」
そんなことを考えながら、トレーニングをするようになりました。

舞台を味方につける

とは言え、舞台の上って超緊張しますよね!
実際に舞台があれば舞台、なければ演技スペースをしっかり決めて、そこをぜひ歩いてみてください。歩くと空気があたたまります。

私も隙を見ては舞台の上をうろうろ、うろうろ。
どんな姿勢で、どんな角度で、どんな風に、自分がそこに立っていられるのか?
何歩で、どのくらい移動できるのか?

「肌で感じること」をしっかりトレーニングしていくと、「一歩」相手に近づくだけで、状況が変化するのが分かるようになります。「体の向き」ひとつで、相手との関係が変化するのが分かるようになります。凄く面白いですよ!

余計なことは考えないで、今あるもの、自分の体と、相手と、舞台を信頼出来るようになるために練習をしましょう!それでも「足りない」ものがあって初めて、練習方法を探してみてください。

基本は、風が吹けばゆれて、きれいな音が出る風鈴みたいに、軽やかで素直にシャンと立っていられることです。


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