ホルンが世界一難しい金管楽器と言われているのはご存知ですか?
「音のコントロールや音色が気に入らない!」、「使える音域が狭い!」、「すぐにバテるのをどうにかしたい!」
なんて悩みを持つ人は多いことでしょう。

だからと言って、ホルンは決して安いものではありません。
むしろ金管楽器ではチューバと並び最も高価な部類の楽器です。
そこそこ良いモデルの楽器を手に入れようと思ったら値段は自動車レベルの桁になってしまいます。

そんな悩みをリーズナブルに解決に導いてくれるのがマウスピースなのです。
価格はだいたい10,000円前後で音程音質が良くなったり、音域が広がったり、バテなくなったり、買い替えればいろいろな効果をもたらしてくれる強い味方です。

自分の演奏の可能性を大きく広げてくれる……
そんなマウスピースの選び方を考えてみましょう!

そもそもマウスピースって?


金管楽器は唇を振動させて音を出す楽器なのですが、
その唇の振動を楽器にうまく伝達してくれるのがマウスピースです。
いわゆる「歌口」というやつです。

つまり、最初に音を作り出す根本にあるのがマウスピースなのです。
極端な話、楽器がいくら良くてもマウスピースが合わなければ良い演奏は難しいけど、楽器があまり良いものでなくても自分に合ったマウスピースであれば、それなりの演奏が可能だとも言えます。

まずは今のマウスピースを見直そう!

まず、今のマウスピースの問題点を考えましょう。
主な着眼点としては、

「低音域から高音域までムラなく無理なく吹けるか?」
「フォルテからピアノまで音量のコントロールはできるか?」
「曲を吹いていて疲れないか?」
「変なノイズはないか?」
「楽器にしっかりと取り付けられているか?」

といったことが考えられます。
しかし、「これだ!」と選んだマウスピースも一週間二週間ほど使うと自分の筋肉が微妙に変化して、試奏した時とは違った感触になり、結果的に選択に失敗するということがよくあります。

もちろんマウスピースは楽器店で試奏が必須だけど手探り状態はやっぱり危険!
どういうマウスピースがどういう特性を持つか?
という点を頭に入れておくとスムーズに、適切にマウスピースを選ぶことができるのです!

見てわかる!マウスピースの特性


それでは、どういうマウスピースがどういう特性を持つのか?
について、少々専門的ですが見ていきましょう。
マウスピースにはいわゆる「部位」があります

ざっくりわけると
リム、カップ、ボア、そしてシャンクの四つが演奏に大きく関わる部位だといえます。
それ以外の部位も重要ですが、マウスピースを選ぶにあたって特に重要なのがこの四つの部分なのです!

それぞれの特徴を知ればマウスピース選びがより楽しくなりますし、今後の指標にもなるので少々長くて専門的ですがしっかり見ていきましょう。

最初に考えるリムの特性

マウスピースの「リム」とはいわゆる口をつける部分です。
唇に直接触れるこの部分の形が演奏に大きな影響を与えます。

まずはリムの内径の大きさ
・大きい内径のリムは低音域が出しやすく、小さい内径のリムは高音域が出しやすい

音域の広いホルンにとって、一般にこの「リムの大きさ」がマウスピース選びの一番の基本となります。
メーカーによって大きさの表示は異なりますが、自分がよく使う大きさの表示は記憶しておくと安心です。


次はリムの厚さについて
・リムの輪郭が肉厚だと疲れにくいが音がはっきりしなくなり、繊細な表現がむずかしい
・リムの輪郭が薄いと、繊細さと正確さを手に入れることができるが、バテやすい

というセオリーも忘れてはいけません。

特に後者の薄いリムに関しては注意が必要です。
試奏の時はコントロールしやすくて気に入っても、実際に曲を吹いてみたらバテてしまうというのがよくあります……
リムが薄いと唇にかかる圧力が強くなって疲れやすくなってしまうのです。
これに関しては本当に注意してくださいね。


少々マニアックですがこの際リムの内側についても説明しちゃいます!
・リムの内側が丸いならスラーがスムーズに吹けるが発音がぼやける
・リムの内側に角度がついていると発音は明るくはっきりするがスラーがかけにくい

すこし専門的ですが「曲によって最適なマウスピースを使い分けたい!」なんて時にこのセオリーは覚えておくと便利です。


音質を左右するカップの形状と大きさ

マウスピースの広がっている部分の中がいわゆるカップと言われる部分です。
ここの形状や大きさは音域や音質に関わってきます。

・丸みのあるカップは音がよく響く
・カップが浅ければ音が明るく、硬くなり、高音域が吹きやすい
・カップが深ければ音が暗くなるが豊かな音になり、低音域が出しやすくなる

カップは外からはなかなかその形状がわかりづらく、唇と直接触れないので違いがつかみにくい部分なのです。
でも、音質や音域におおきく関わってくるので気に入ったモデルはマークしておくと安心です!

音量を左右するボア

カップとマウスピースの下の方の細くなっている部分の間が「ボア」
ここの大きさによって音量が変化します

・ボアの直径が大きいと音量が大きく、小さいと音量が小さくなります。
・響きはボアが小さいほうが密度の高い音になります。

ボアはカップよりもさらに外からわかりにくい部分ですが、楽器との相性などにもかかわる重要な部分なので、頭の片隅にボアの存在を入れておくと安心です。

また、ボアはある程度の長さがあると音が安定することも覚えておいてくださいね!

要注意!!!シャンクの話


最後に、マウスピースの部位で最も大切な部分の話をします!
それがシャンク。楽器との連結部分です。
ホルンのマウスピースには「アメリカンシャンク」「ヨーロピアンシャンク」の二つがあります!

ホルンは基本的に楽器によってどちらか一方のシャンクにしか対応していません!
アメリカンタイプの楽器にはアメリカンシャンクのマウスピース
ヨーロピアンタイプの楽器にはヨーロピアンシャンクのマウスピース

というように楽器とマウスピースを対応させないといけません。
特に輸入物の楽器、海外メーカーの楽器には十分な注意が必要です。

大手のメーカーのマウスピースなら同じ型で両タイプのマウスピースを用意してあることがほとんどですので必ず自分の楽器のタイプを確認してください。

また、国内のメーカーには両方のマウスピースが使える楽器、あるいは両方の楽器に取り付けることができるマウスピースを販売しているメーカーもあるのでチェックしてみてください。

このシャンクの問題……実は中高生で深刻で、楽器とマウスピースのタイプを間違ったまま使い続けている人も多いのだとか……

シャンクは本当に大事です!必ず確認を!

具体的な選び方は?


ここまでのマウスピースの特徴を見ると解ること
それは、どのマウスピースも一長一短だということです。

高い音が出しやすければ低い音が苦手に
大きい音が出しやすければ小さい音が苦手に
明るくはっきりした音になれば豊かに響かせるのが難しい
スラーが得意なら発音が苦手に


例えば、「どうしても吹けないある曲のある部分のため」に特化したマウスピース選びならば一点に特化したマウスピースを選ぶのも悪くはないです。
例えば超低音が求められたり、超高音を吹き続けなければいけなかったり、なんて時はそれに特化したマウスピースを選ぶのは妥当でしょう。
しかし、結局のところ普通に吹けるマウスピースが一番なのです!

低音域から高音域までムラなく鳴らせ、吹きやすく、疲れにくい、様々な目的に使える、一般的なもの、良い意味で無難な選択をするのが確実です!

一つの指針としては、
「現在使っているマウスピースと比べて一つでも、少しでも劣っていると感じる点があれば却下」
というのが最も大事なセオリーです。

マウスピース選びはとても楽しい作業で、あれもこれも手を出したくなるのが人間の性というもの……ただし、マウスピースが変われば唇やその近辺の筋肉も変わりますし、吹き心地も変わります。

確かに音質や音量、表現の幅のキャパシティが大きいマウスピース、吹きやすいマウスピースは魅力的ですが、今あるマウスピースを使い続けるという選択肢もあることを忘れないでくださいね!

マウスピース購入までの流れ

それでは、マウスピースを買うまでの準備や流れを見ていきましょう
基本的には
・楽器店で選ぶこと
・知り合いのプロの奏者などに相談をしてお店に話を通してもらうこと
・試奏ができる環境で選ぶこと

という条件が必要です。
また、予算も多めに用意しておくと安心です。
かなり多めに見積もって20,000~30,000円ほどもっておくと安心です。
プロの奏者に相談しておけば購入の時にアドバイスがもらえますし、お店側も事前に在庫を豊富に用意してくれるので、必ずお願いしてください。
お願いするのとしないのとでは場合によってはラインナップが何倍も変わってきてしまいますからね!

まとめ


1. マウスピースは手軽に演奏を改善することができる奏者の強い味方である
2. マウスピースの形によって様々な特徴がある
3. 「今使っているマウスピースより劣っている点が無い」マウスピースを選ぶべきである
4. 必ずプロの先生に相談をしておくこと
5. シャンクのタイプに要注意
6. 今のマウスピースを使い続けるという選択肢もある

といった点を念頭にマウスピースを選んでみましょう。
まずは、身近な奏者や先生に相談してみましょう。
何人かで先生とお店にお願いして試奏大会などをしてみるのがおすすめです。
「この人はこのマウスピースを使っているのか」ということを知るだけでも勉強になります。

ちなみに、私は一つのマウスピースをもう長い年月使っています!
皆さんもそんなマウスピースに出会えることを祈っております!