皆さんの中に、ペットを飼っていらっしゃる方はいますか?中には、ペットと呼ばず、家族として接している方も多いのではないでしょうか。
犬、猫、ウサギ、鳥・・・。人間とは形の違う、生き物たち。
彼ら、彼女らも喜んだり、悲しんだり、眠ったり、遊んでほしいと駄々をこねたりします。

ちなみに私は、金魚を飼っているのですが、なぜか早朝にとても激しく水面を叩きます。
元気が有り余っているのでしょうか・・・?

今回は、そんな「生き物」を題材にした曲。
ショパンの子犬のワルツの弾き方を、考えていきたいと思います。



難易度はどのくらい?


全音ピアノピースではC、またほかの出版社などでも中級くらいで紹介されています。

プロが弾くのと同じような速さで弾くとなると、難易度は格段に跳ね上がりますが、そうでないのなら繰り返しも多いので、ソナチネを弾いている方でしたら、ちょうど良いレベルだと思います。
またブルグミュラーを練習中の方でも、弾けないことはないと思います。

子猫のワルツじゃいけないの?


ところでこの曲、どうして「子犬」なのでしょうか。
生き物というのなら、子猫でも、なんなら子豚でもいいんじゃないの?
なんて思ったので、少し調べてみますと、これにもちゃんと理由がありました。

どんな理由かといいますと、当時ショパンとお付き合いをされていた方が、子犬を飼っていて、この犬には自分のしっぽを追いかけてぐるぐると回る癖があったとか。
この様子を音楽で表してほしい、と彼女さんがショパンに言った結果、このような曲ができたそうです。

つまり、彼女さんが飼っていたのが猫やウサギだったら、この曲はまた違ったタイトルになっていたかも?

私の知り合いの犬にもいます、こういう子。
その子のおうちにお邪魔すると、全速力でかけてきてずっとグルグルグルグル回っているのですよね~。

それまで犬には縁がなかった私ですが、その様子を見た瞬間「あ、子犬のワルツってこういうこと!?」と納得した覚えがあります。

楽譜を見る、その前に!


それでは、弾き方を考えていきたいところですが、その前に一つ大切なお話を・・・。

この曲はトゥリルなどが多く、それがまた曲の魅力になっています。
トゥリルなくしてこの曲は語れない、というほど曲にとって大きな成分だと思います。
しかし、今回はあくまで、「比較的簡単に、最後まで弾ききること」ですので敢えてトゥリルなどの説明は致しません。

というのも、これは私自身の経験なのですが、トゥリルなどの装飾があると、そちらに気をとられてしまい、本来の音の長さや動き、土台の響きを見失ってしまうからです。
練習には個人差がありますが、その経験から今回はトゥリルなどの装飾音の説明は省かせていただきますね。

犬のきもち、しっぽのきもち。

(動画 00:01~)

それでは、弾き方を考えていきましょう。

速度記にはmolto vivace.(=モルト ヴィヴァーチェ。非常に速く)の指示がありますが、今回は、「最後まで弾ききること」が目標なので、特に意識しないことにします。無理のない速さで進めてください。

Leggiero(=レッジェーロ。軽く)の指示は、小型犬の、軽やかな足音、俊敏な様子をイメージしてみましょうか。

さて。ずっと自分のしっぽを追いかけて回っていれば、速くなる時もあれば遅くなる時もあります。
なので、演奏もそのように・・・といいたいところですが、「犬の気持ちなんてわからないよ!」ということもあると思いますので、ここでは一例として「こんな風に弾くと、それっぽく聞こえるよ!」という所をあげてみますね。

(動画 00:07~)

まずは、9小節目のシ♭。ここはクレッシェンドの頂点ということもあり、たっぷり伸ばして、音に酔いながら弾いちゃいましょう。
17小節目も同様に。19小節目も、少しためておきましょう。

(動画 00:18~)

25小節目からは、一目散に駆け降りるような音となっています。
クレシェンドの頂点からの下降でもありますので、音量も遠慮せず、25-27小節目は、ジェットコースターが降りるような、そんなイメージで弾いてみても良いのではないでしょうか。

(動画 00:24~)

32小節目には、24小節目のレ♭よりも2音高い、ファの音があります。
ここも、さっきと同様ジェットコースターで駆け降りていきましょう。

まわり疲れちゃった、少し休憩、少し休憩。

(動画 00:38~)

52小節目からは、優雅に余裕をもって弾いていきましょう。
Sostenuto(=ソステヌート。音の長さを十分保って)の指示もあります。

先ほどまでが、興奮して飛び跳ねながらグルグル回っているイメージだとしたら、ここから先は少しばかり落ち着いたイメージですね。

とはいえ、まだまだ遊びたい様子。
優雅さの中にも、楽しさが見えたらベストですね♪

(動画 01:10~)

85小節目からは、またワンちゃんが我慢できずぐるぐる回りだそうとしております。
その予兆を感じながら弾いてみてください。

最後のくだりはジェットコースター!?

(動画 01:48~)

そして、冒頭と同じパターンを繰り返したのち、なんといっても大切にしたいのは、最後の見せ場!最後の5小節です。

ファの音からの急降下!ここはジェットコースター?!急流すべり!?いや、もうフリーフォールでしょうか。
「ファ」の音は、頂点まで登り切ったときの、あのふわっと体が浮く瞬間です。
音楽としても、たっぷりとタメを作って大丈夫です。


そして最後から2小節目の「ラドシファソド」は、滑り落ちた後の間です。
急降下を終えたあとに来る、なだらかな滑りのところです。最後に向けて、ここでテンポを調整してしまいましょう。

そして終点。
お疲れ様です。「ご乗車、ありがとうございました~。」
ワンちゃんも、回りすぎて目をまわしたのでしょうか。それとも遊び疲れたのでしょうか。たっぷりと、ゆっくりと、演奏を終わらせましょう。

まとめ


1. 難易度は中級。ソナチネ、あるいはブルグミュラーでも挑戦できるレベル。
2. 曲ができたキッカケは、作曲者ショパンの彼女が犬を飼っていたから。
3. 装飾音を省いて知る、曲が本来持っている響きや長さ、その狙い。
4. 溜めるところはたっぷり溜めて、情感豊かに弾きましょう。
5. 落ち着いたように見えて、実はまだまだ遊び足りないワンちゃんです。
6. 最後のくだりはジェットコースターのような勢いで。


さて、これで子犬のワルツの基本は弾けるようになりました。
ここから先、装飾音をつけることによって、さらに曲に彩りが加わります。

テンポの維持も大事ですが、割とフリーに、好きな所で溜め、好きな所で加速してしまっても、弾き映え、聴き映えのする曲です。

ここから先は、好きなワンちゃんを思い浮かべながら・・・あるいは自分が犬になりきって弾いてみてください♪


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