よく通る声は素敵です。
良い声だというだけで、その人の話を聞くのが嬉しくなりますよね!

声は、出せば出すほど磨かれるんです。
私はこれまで様々な舞台に出演してきましたが、特にベテランの役者さんが放つセリフって、凄いですよ!厚みがあるのに軽やかで、どこまでだって届いちゃいそうです。

なので「呼吸法」や「発声練習」などなど、いたる所で行われていると思いますが、意識し過ぎるせいなのか実際に舞台で使える声となると、なかなか難しいんです。

演技の基本はリラックスです。ちゃんと舞台で使える声を手に入れられるように、頑張り過ぎないための、寝ながらできる腹式呼吸と、簡単な発声方法をご紹介します!

■ 目次

練習をし過ぎない!


腹式呼吸は、ただの呼吸法です。
私はあんまり、演技の練習としてはやらない方が良いと思ってます。
呼吸や発声の練習って、気持ちが高まるし手応えがあるから、凄く何かやった気になっちゃうんですよね!

実際は、自分が楽に喋れる、相手が楽に聞けるためだけのものです。
演技に限らず、あらゆる場面で使える「生活の知恵」ぐらいに思って、気楽に練習しましょう!

発声練習の様な喋り方が、そのまま演技する時の喋り方になってしまってる人も見かけますので、意外と深刻な問題だったりするんです。

例えば、「何年も朗読を学んできて、呼吸も発声もズバ抜けて居るのに、いざ演技をしようとするとセリフが喋れない」という役者さんがいました。

恐らくなんですが、誰か「理想とする声」があったり、過去に人から褒められた「お気に入りの声」があったりして、声の出し方がガチガチに固まってしまったのではないでしょうか?
それが舞台の上では、わざとらしい声に聞こえちゃうんです!
「普通に喋りなさい!」そう注意された瞬間から、声が出なくなってしまう、、、

つらいところですが、セリフは「自分の声」で「すこーん」と出すんです!
呼吸の練習は、あくまでもその土台作りです。

実際にやってみる!


腹式呼吸は、寝ながらやるのが一番簡単ですね。

「呼吸」って言うぐらいですから、先に吸っちゃダメ。(漢字を考えた人はえらいな〜)
先にしっかり吐ければ、無理に吸わなくても自然と息が入ってくるので、とっても楽ちんです。

まっすぐ仰向けに寝て、手はお腹の上。

1. まずは、口からスーっと息を吐きます。10秒とか20秒かけても良いです。
(吸うときの2~3倍の時間でゆっくりと)

2. 全て吐いたかな?というところから、さらに吐いて空っぽにします。

3. あとは体に任せて、鼻からスーっと息を吸います。

この繰り返しになります。

手で触ってみて、吐いたときにお腹がへこみ、吸ったときにお腹がふくらんでればOK!
お腹の前だけでペコペコやらず、お腹の横や、背中側にも、いっぱいに空気が入ってくるのを、触って確かめてみてください。

慣れてきたら、最初に吐くときの息を、コントロールしてみるのも良い練習になると思います。
ゆっくり吐きながら、段々強くするとか、また弱めるとか、強弱を変えてみるのも楽しいですよ!

吐いた息を声にしてみる


吐いた息をしっかり声にする練習もしておきましょう。
私も最初のうちは、腹式呼吸から発声につなげるのが良く分からず、息を吐きながら無理に声を出そうとして、のどが閉まり、、、「あ゛ーーー」、、、ゴホゴホ。

これにはコツがありまして、息を吐くときに口を軽く閉じて、「んーーー」とハミングで声を出してみてください。
そして途中から、「あ」の口の形にします。「あ」と言おうとしなくても、自然と「あーーー」の声に切り替わります。

「んーーーあーーーーーーー」です。

息が声になるというのが体感できると思いますし、
このときの声が「自分の声」なんですって。

声は舞台の上に!

なぜ腹式呼吸が良いと言われるのでしょう?
ここは役者として考えたいところ!
「胸式はバツ、腹式はマル」では、体がかわいそうです。

腹式は、息を腹筋で押し出せるので、息の量が多く、強弱のコントロールがし易い「安定した大きな声」が出せます。重心がお腹にくるので、上半身はリラックス。

胸式は、緊張状態で酸素が足りないときに、肩を上下させて胸周りの筋肉で呼吸しますので、息は上がりますが、覚醒(目覚め)につながります。

どちらも「人」の呼吸です。
必要な時に、必要な呼吸を、意識せずにできるようになりたいですね。
でも安心してください!
舞台上では、胸式だとか、腹式だとか、それだけじゃないんです!

今、自分の立っている場所が、「天井がうんと高くて、声が響き渡るような教会」だと想像するだけで、声の出し方は変わってきます。
自分の体が、「2メートルを超えた巨人」になったのを思い浮かべるだけで、声が変わります。
お腹の中に、輝く火の玉を想像すれば、体の重心だって変わるんです。

あらゆるものに影響されるのが、役者の体なんですね。


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