ジャズピアノ界において、山下、と聞けばまず思い浮かぶのは、巨匠、山下洋輔。
その自由で独創性にあふれた演奏スタイルは、一見破天荒にもみえますが、確実な理論と演奏技術に裏付けられた、とても魅了的なものです。

以前、テレビ放送で、「山下洋輔のジャズの掟」って番組があったのですが、すごく勉強になりましたねー。ベーシストやドラマーもそうそうたるメンバーで、ジャズ入門者にもわかりやすく、理論やフィーリングといったものを紹介する番組でした。

ジャズの音楽は、自由だけど、理論に裏付けられたもの。演奏の考え方として、緊張感にあふれているんだけど、本質的にはリラックスが必要で、なんて内容が飛び出したりして…そんな、相反するものたちをミックスさせて、消化して作られたものが、プロの音楽なんだなぁ、なんて、当時、学生だった私は一生懸命テレビにかじりついていました。

ここでは、巨匠山下洋輔さんが歩んできた軌跡をたどりながら、その魅力にせまることができたら、と思っています。



■ 目次

山下洋輔氏プロフィール

東京生まれで、父親の仕事の関係で、小学生の頃には、福岡県田川市にもいらっしゃったようです。小学生の頃にピアノを覚え始め、中学生の頃からは東京に居住。きょうだいの影響でジャズに傾倒し始め、高校生の頃には、プロ演奏家としてのキャリアを開始された方です。国立音楽大学では、作曲を学んだとのことで、クラシックの基礎もしっかり基盤としてあり、さすがです。

と、氏の生い立ちをご紹介させていただいたところで、ここからは、氏の衝撃的な演奏のご紹介をさせて頂きます。

衝撃的な演奏 その1

昭和48年に、グラフィックデザイナーの栗津潔氏と共同で、燃えるピアノを演奏する、といった映像作品を残しています。これは、ピアノ炎上と題され、芸術作品として残されています。そして、30数年を経て、平成20年3月に、再び、ピアノ炎上を再現。防火服に身をくるみ、海辺で燃え盛るピアノに対峙して果敢に演奏する、といった作品を残しています。

楽器を燃やすって、ジミ・ヘンドリックス(世界的に有名なギタリスト)もしていましたね。楽器に対する考え方は様々であるので、そのパフォーマンスに対しても賛否両論あるようではありますが、私は、一つの表現方法として、燃え上がるピアノに果敢に立ち向かい、音が絞り出される様は、生き物の生命力、やがては朽ち果てるその運命、なんてものを感じました。

衝撃的な演奏 その2

ジャズはアドリブが命。基本的には、アドリブ部分では何をしてもオッケー。むしろ、そこで、どれだけ目立つ演奏ができ、自分自身を表現できるか、が演奏者の腕の見せ所。

山下洋輔さんの場合、アドリブが白熱してくると、肘で鍵盤をガンガン、88鍵のピアノの鍵盤の世界を、所せましと暴れまくります。一見めちゃくちゃ、でも、音階やリズムを超越したその自由さは、見ているだけで、むしろうらやましさを感じる程。

私も、ジャズセッションにピアノとして参加させていただくことがありますが、さすがに、肘でガンガン弾いたことはありません…でも、でも、いつか、白熱して、我を忘れるほどにアドリブが盛り上がったら、肘や足や、頭?で、鍵盤をガンガン弾いてるかも。

因みに、山下洋輔さんのお話の一つで、ピアノは打楽器だ、といった旨の話をされていたことがあります。ピアノは分類的には、鍵盤楽器といったカテゴリーではあるのですが、その演奏方法や、ハンマーでピアノ弦を打つ、といった構造を考えると、確かに打楽器的な要素が満載。

ピアノで美しい旋律を織りなすことはもちろんできますが、打楽器、と考えて、アグレッシブな、攻撃的な演奏ができるのもピアノの素晴らしい魅力の一つ。そして、それを十二分に発揮することへの挑戦をし続けるのが山下洋輔、という人物なのかもしれません。


以上、山下洋輔さんの経歴やその演奏スタイルについての紹介と、私なりの感想を書かせていただきました。改めて、ジャズ、といった音楽スタイルを超越したその探求心にあふれた演奏スタイルに脱帽。もはや、山下洋輔、という一つの音楽ジャンルなのでは、なんでことまで考えてしまいます。

さぁ、私もジャズセッションのアドリブの練習練習。肘でアドリブする!位の気概で♪


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