認知症の高齢者に有効とされているセラピーは数多くあります。
音楽療法もそのひとつです。
ではどのような方法で音楽療法を行えば、認知症の方にとって有効なのでしょうか?
1月のプログラムを例にして、その方法とそこで取り上げた歌をご紹介します。

認知症に有効とされる回想法


音楽療法に取り入れられている心理療法のひとつが回想法です。
回想法は昔を思い出すことによって、脳の活性化を促し、認知症の進行予防や、精神の安定に繋がるとされる方法です。

例えば、昔の写真や若い頃に流行った映画、子どもの頃に遊んだおもちゃなどを認知症の高齢者に見てもらいます。
これをきっかけに、昔を思い出してもらうのです。

ただ見てもらうだけではなく、質問をすることも有効です。
おもちゃを見ながら「このおもちゃを使ってだれかと一緒に遊んだのですか?」と聞いてみてもいいでしょう。

流行った映画については「この男優さんかっこいいですね。当時、恋をしてしまったのではないですか?」という風に、まるで若い女性達がするような会話をするのも楽しいです。

懐かしいおもちゃで遊んだ楽しい思い出や、映画が流行った頃の淡い恋心を思い出すことで、脳の血流はアップし、幸せな記憶が精神も安定させてくれるのです。

音楽療法にも取り入れられている回想法

音楽療法にも、回想法は取り入れられています。

音楽療法のセッション中に記憶を呼び起こすきっかけとして使われるアイテムは、流行した音楽です。

セッションに参加している方が、幼い頃や若い頃に聞いたであろう曲を歌ったり、聞いたり、演奏してもらうことで昔を思い出していただきます。

そして音楽以外にも、様々な昔に関する質問を投げかけることによって、また、昔を象徴するアイテムを見てもらうことによって過去を思い出してもらいます。

回想法を使った1月のプログラム例と歌


導入部では、季節を感じられる曲を歌唱します。
1月の前半であれば『一月一日』(唱歌)など、お正月を感じられる曲を歌うのもいいでしょう。



また、お正月の時期が過ぎてしまったというのであれば『雪』(童謡)など、冬を感じられる曲がおすすめです。

次に、セッションを盛り上げてくれるようなプログラムを用意します。
曲に合わせて身体を動かしながら歌唱するのもいいですし、合奏をしてみてもいいでしょう。

体操をしたり、合奏をする際に、初めて聞いた曲に合わせるのは難しいので、多くの方が知っていそうな曲を選んで下さい。

冬は特に、身体を動かすことで全身が温まり、コリなどをほぐしてくれる効果もあり、クライエントに喜ばれます。

盛り上がったところで、回想法の出番です。
1月に発売された曲で、多くの方が知っていて、回想法に使える曲として『リンゴの唄』があります。



この曲は並木路子さんと霧島昇さんのデュエット曲で、『そよかぜ』という映画の挿入歌でもあります。

曲に関する話題や、映画に関する話題、歌手に関する話題で昔を思い出してもらうことができます。

並木路子さんや霧島昇さんの写真や、映画のポスターの写真などを用意するのも話を盛り上げるきっかけになります。

また、映画のストーリーは、並木さんが歌手としてデビューするスター誕生の物語であることから、クライエントの若い頃の夢について話してもらうと盛り上がりますよ。

そして、セッションの最後には、気分を落ち着かせてくれる、ゆったりとした曲を歌唱してくださいね。

まとめ

1.回想法は認知症の方に有効とされている心理療法で、昔に関する物に触れることで、脳の活性化を促し、精神の安定を図るセラピーです。
2.音楽療法にも回想法の考え方は取り入れられており、若い頃に聞いた歌や、その歌にまつわるエピソードなどから、昔を思い出してもらうよう工夫されたプログラムが利用されます。
3.1月のプログラム例としては、導入部にはお正月を感じさせる曲や、冬を感じられる曲を使い、その後、体操や楽器演奏でその場を盛り上げていきます。
そして、1月にまつわる曲で回想法を取り入れたら、最後はゆったりとした雰囲気に持っていって終わるという流れがスムーズです。

認知症に有効とされる回想法は、音楽療法のプログラムの多くの場面で取り入れられています。
脳を活性化させて、精神を安定させてくれる回想法のメリットを十分に活かしたプログラムを用意できると、クライエントにより喜んでいただけるセッションになりますよ。