「技術的にもまだまだだし指も短いし、リストの曲ってやっぱり私なんかには到底無理ですよね…?」

ピアノを習い始めて早数年。
「ある程度の曲は、頑張れば自力で何とか形になるようになってきた」
「もう少しランクアップした曲に挑戦してみたいけどやっぱり難しいかな…。」
「そもそも私、指が短いし…オクターブがやっとだ。」
「私がリストを弾きたいなんて言ったら先生、困らないかな…。」

恐れ多くてなかなか先生に切り出せない一言だというと、「うんうん」と首を縦に振る方も多いはず。

「あぁ大丈夫ですよ、よくぞ聞いてくださいました!これがまたオクターブ圏内で弾けて譜読みもそんなに面倒くさくなくて(口癖)いい曲あるんですって~♪」

ルンルンな私を見て拍子抜けした生徒さんの顔を見るのが毎回楽しみだったり…(笑)

ということで、私がお勧めしますのがこの曲

リスト「コンソレーション第3番」

そろそろ「ワンステップ上の曲に挑戦したい!」

「でも難しいことはしたくない!!」
(だって面倒くさいんだもん、わかる~!!!)

「指短いけどリスト弾きたいもん!」
(私もオクターブがやっとやっとなのにピアニストやってますんで、大丈夫大丈夫!)

そんなお悩みを持つ皆様、今回も「ずぼらピアニスト&楽曲アレンジャー」の私と一緒にこの曲をワンランクアップさせる弾き方を研究していきましょう!

難易度は?



あぁぁぁ!何と美しい響き!

暗い部屋で暖色系のスポットライトを全身に浴びながら弾いている自分が…

…と、思わず妄想してしまいたくなるほどの甘美さ。

こんなに美しい曲なのに、そんなに技術的にはゴテゴテしておらず、なんと中級上クラス程度の曲です!

自力で楽譜を読んである程度形になるまで練習できるという方にお勧めです。

メロディを口ずさめるくらいに覚えてしまおう


例えば、3小節目の4拍目から7小節目の1拍目。(動画~00:25)


ほら、もう覚えてしまったでしょう?
心を洗われるような、印象的な素敵なメロディですよね~!
何度も何度も、このテーマがオクターブになったり、単音になったりして登場します。

「あぁ、この曲いいな!」
と感じた曲には、必ず印象に残るメロディラインがありますよね!
そして何度も何度も口ずさんで、鼻歌を歌ったりしてだんだん好き度が上がっていく(笑)

実はこの作業はピアノを弾く作業と並行してとても大事な練習なんです。

「自分のやりたい曲はすぐに弾けるのに、そうでもない曲はあまり上達しない」

その違いはその曲をその場でサッと歌えるかどうか。

どんどん音源を聞いて歌って目から(楽譜から)だけでなく耳から覚えてしまいましょう!

三連符に惑わされない力をつけよう


「よし、気合入れて譜読みやるぞ~!」

と意気込んでいたのに、楽譜を見た途端に戦意喪失、意気消沈…

よくあるパターンです。楽譜を見た途端に固まり、目が泳ぎだす生徒さん(笑)
めちゃくちゃ可哀想…。
(本人にとっては笑い事ではないのでしょうが…。)

その意気消沈の大きな原因が、「連符」ではないでしょうか。

「だって先生、右手は連符じゃないのに左手は連符…イジメでしかない!できない。」

わかります、その気持ち。
左手8分音符3つに右手8分音符2つ。3割2。1.5。

「1.5?どこよ(怒)」

そう思い込んでいた若かりしあの頃…
あまりにもそこに固執して当時習っていた先生を困らせたことがあります。

吹っ切れることができず、その箇所に来るたびに弾けず事故にあう(笑)

そして「もう止めようかな」と自己嫌悪の繰り返し。


先に言っておきます、「割らなくていいです(笑)」!
きれいに割ろうとするから混乱します。
「大体」でいいです。
真面目さんは、音楽の道は大抵途中で挫折します。

音楽に、「1+1=2」は通用しません。


視覚的にイメージが湧かないときは、書き込んでみましょう。

例えば、4小節目(動画00:12~)


「な…何と大雑把な!!!」
という声が聞こえてきそうですね(笑)
大丈夫です。大雑把でいいんです。

ゆっくり弾くと少し滑稽に聞こえてくるかもしれませんが、ある程度の速さをもって弾けるようになる頃には全く気にならなくなりますから!

「ここにこう入る!」と書き込むことで弾きやすくなります。
まずは「弾けること」が先決ですのでどんどん書き込んでいきましょう!

そして、6小節目。(動画00:19~)


…もう大雑把とは言わないで(笑)!

この書き込みだけで格段に弾きやすくなるので、ぜひ試してみてください!

左手を和音(コード)化してしまおう!


「先生、左手難しいです!だって一小節に音が12個あるんですよ!?それがなん十小節あって、掛けると…覚えられる先生って、天才ですね!」

「1つずつ覚えてるの!?相当面倒くさいことしますね!すごーい、努力家~!!」

本気で1音1音覚えてしまう生徒さんがいらっしゃるから心底感心します。

ものすごく無駄な労力。私には耐えられません(何度も言いますが、私は超ずぼらピアニスト&楽曲アレンジャー(笑))!


私が左手の練習に際して必ずやる作業は、「和音(コード)に直す」こと。

この作業、少し時間がかかりますが、実際に練習に取り掛かったときにものすごくスムーズに事が進むので欠かせない作業です!

例えば、1~7小節目(動画~00:25)


1~3小節目は、左手は左手の音を拾って和音に直すと、レ♭、ファ、ラ♭(D♭)になります。

4小節目はレ♭、ファ、ソ、シ♭(B♭m6/D♭)
5小節目はレ♭、ラ♭、ド、ミ♭、ソ♭(A♭7/D♭)

6、7小節目は1~3小節目と同じくレ♭、ファ、ラ♭(D♭)

に直すことができます。どの小節も、この和音(コード)を分散させてできている形になると解釈すると、格段に音を取る作業が早くなりますね!

運指は絶対に死守しよう!


「先生、このパッセージ全然指が回りません!絡まる!」

「その都度運指を自分で作って弾いているの!?あぁ、何て面倒くさい作業…ものすごく努力家なんですね!すごーい、尊敬する!」

私にとっては尊敬に値するこの「運指を無視する」やり方。

「運指を守りましょう」
と言うとめちゃくちゃ嫌な顔をされることが多く(楽にしてあげようとしてあげているのに~(汗))、不思議に思う重要なポイントです。

文字に例えると、
「演奏する」ことは「文字を書く」こと。
「運指」は、「書き順」のようなものです。

書き順がめちゃくちゃでも確かに文字は書けますけど、やはり美しい字体には到底及ばない。

「運指」がめちゃくちゃだと、滑らかな演奏には程遠くなってしまうということになります。

私は楽譜を書く仕事の時も演奏の時も、この「運指」にはかなりの時間を費やします。
場合によっては本番まで3日しかない曲でも、3時間くらいかけて運指を決定することもあります。

絶対に、無駄なことはしたくないので「面倒くさがり」の私だからこそ、ここで手抜きはしません。

「やり方を一通り」にしておかないと、例え運指のやり方が2通りだけだったとしても本番の緊張する場面に「どちらかをその場で選ぶ」勇気は私にはありませんからね。

だから私にとって「運指」が指示してあることが、どんなにありがたいことか…

「運指」は、いかに今後を弾きやすくするかをわかりやすく解説してある数字ですので、ありがたく使わせてもらいましょう!


例えば、この曲の最大の難所の56小節(動画03:17~)

「音符細かい~!」「混乱する~!」「…やっぱり諦めます(えっ!?)」の声を多く聞く、リスト特有のこの小さく記譜された音符。

待ってください、まだ諦めないで!

もちろん運指を守ることは大切ですが、一つ一つを覚えようとしても難しいですよね!
ですので、ここでも先ほどの項目と同じように運指を「パターン化できないか」考えていきます。

赤い四角で囲んだ部分の①と②は、全く同じ音形になっているのがわかりますか?
①の運指を、右手を2513 2414 2313(←最後のここだけ違うので注意)と考えると、②の青の四角と重なるところよりも前までの箇所も同じ運指を使うことができますね。

そして、②の赤の四角と青の四角が重なっている部分の音形は、後の青の四角の中の音形と同じなので同じ運指の、右手の2425を繰り返して使うことができます。

意外とリストのこの細かい音符のパッセージ、パターン化されていることが多いのでチェックして「しっかり書き込んで」みてくださいね!

言葉の持つ意味に、自分なりの解釈を持とう!


「コンソレーション」とは、「慰め」を意味します。

他にこの曲に記載されている用語を記してみますと、

速度表記
Lento placido(レント プラーチド)…ゆったりと落ち着いて

速度標語
smorzando(スモルツァンド)…だんだん遅く弱く、消えゆくように
perdendosi(ペルデンドシ)…完全に消えていくまでだんだん弱く

発想標語
ppp(ピアノピアニッシモ)…極めて弱く 
sempre legatissimo(センプレレガーティッシモ)…常に、きわめて滑らかに
cantando(カンタンド)…歌うように
espressivo(エスプレシーヴォ)…表情豊かに
dolcissimo(ドルツィッシモ)…極めて甘く


この曲では強くてもmf(メゾフォルテ)…少し強くが最大というところでしょうか。



何も言わなくても、「美しく儚い、美人短命というような(言い過ぎ?)、ひと時の夢のような…」
そんな感じがしませんか?

恥ずかしがらずに自分なりの解釈をもって思い切り表現してみましょう。
そうすることで、「自分らしい演奏」へつながっていきますよ!

まとめ

1.難易度は中級上程度。
2.メロディを口ずさめるくらいに覚えると完成までが早い。
3.三連符に惑わされない力をつける。
4.左手は和音(コード)化し、音を取りやすくする。
5.運指は死守する。
6.言葉の持つ意味に自分なりの解釈をもつ

楽譜の見やすさは上達へのカギです。
今よりもワンランク上の演奏を目指してぜひ試してみてくださいね!