音楽療法のセッションを行う際は、事前の準備が必要です。

いざセッションを始めてはみたものの、思いのほか盛り上がらなかったり、ハプニングが起こったりすることもよくあります。
でも、できれば素敵なセッションの時間を過ごしたいですよね。

予想外の事態にも対応できる事前準備とはどのようなものなのかをご紹介します。

まずはアセスメントをとる

アセスメントとはクライエントがこれまでどのような生活をしてきたか、現在どのような暮らしをされているのか、身体の健康や、心の健康状態を知り、今必要としていることは何なのかを探るプロセスです。

普段から介護に携わっているクライエントに関していうと、アセスメントをすることは、比較的簡単ではありますが、初めて伺う施設などで、多くのクライエントがいる中では、細かいアセスメントをすることは難しいです。

そういった場合は、アセスメント項目を必要最低限に絞って、事前に施設の担当者に確認がとれているといいでしょう。

私が必要な情報だと考え、聞き取りを行っていた項目は、施設で軍歌を普段歌うことはあるか?特に避けなければいけない話題はあるか?特別な配慮が必要なメンバーはいらっしゃるか?といったことです。

軍歌に関しては、多くの方が歌えて、場の空気が盛り上がる曲も多くあるのですが、中にはどうしても当時の記憶が蘇ってしまい受け付けない、という方もいらっしゃいます。

また、戦時中の話同様、どうしても受け入れられない話題があるというクライエントがいらっしゃる場合があります。

認知症の方は特に、行動のスイッチとなるキーワードのようなものがあるという方もいて、普段から避けられている、その施設独特の話題があったりするものです。

そして、音楽療法のセッションを行う上で、特別な配慮が必要なメンバーとは、耳が極端に遠い方、発語が難しい方、楽器演奏が難しいような身体的な障害がある方などです。

それらの情報を確認したうえで、当日のプログラムの作成や、当日の楽器の選択などを考える際に活かせるといいでしょう。

次にプログラムを作成しよう

音楽療法を行うには計画されたプログラムが必要になってきます。
1時間程度のセラピーの間に何曲必要なのか、歌唱、体操、楽器演奏に使う曲はどの曲なのかを考えます。

1時間程のセラピーであれば、私は7~8曲、プラス予備に2~3曲を用意していきます。

もちろん、この7~8曲というのは、1曲の長さによって変化しますし、1曲を歌唱、体操、楽器演奏といったように、何度も使うプログラムを作った場合には、曲数は減ります。

また、プラスの2~3曲というのは、ハプニングへの備えです。
予定していたよりも、話が膨らまず時間が経過しなかった、歌が難しくて歌えなかったなど、想像していなかったことが起こった場合に必要となります。

多くの曲を、楽譜さえ見れば弾きこなせる、という自信がある音楽療法士であれば、その場でクライエントのリクエストにこたえるなどの対応方法があるかと思いますが、残念ながら私はそうではありません。

私にとって何曲か余分に用意しておくというのが、突然のハプニングにも焦らず対応していくための、ひとつの安心材料になっています。

歌詞幕を準備しよう

歌詞幕という言葉は聞きなれない方もいるかもしれませんが、デイサービスではよく使われているものだと思います。

歌詞幕とは、模造紙などの大きな紙に、マジックなどを利用して歌詞を書いたものです。

私は筆を使って書いていましたが、見やすいと評判で、筆で書いたというだけでも話題が生まれたりするのでおすすめです。

プログラムに含まれる全ての曲に、歌詞幕を用意しましょう。

歌詞が簡単な曲に関しては必要がないとも思えることもありますが、中には歌詞がわからないというクライエントがいることもあります。
念のため、用意しておくと安心ですよ。

最後に伴奏や歌の練習をしよう

音楽療法では、クライエントが歌いやすくなるように、キーを調節したり、体操や楽器演奏を行いやすくなるように、テンポを調節したりしながら、伴奏します。

そして、セラピー中は、ただ伴奏するのではなく、クライエントの表情や反応を見る必要があります。

また、自分も伴奏しながら歌ったり、歌詞をクライエントより先に読んでいく、先読みという技法を使うことがあります。

楽器を演奏しながら同時に何かを行うことは、慣れていないとなかなか難しいことです。
事前の練習がしっかりできていると、セッション中に必要なことができるようになりますよ。

まとめ

1.アセスメントはなかなか思うとおりにとれないことも。まずは必要最低限のことからはじめて、徐々に積み重ねていきましょう。
2.プログラムの作成は、ハプニングへの備えのためにも少し多めに
3.歌詞幕は、プログラムの全曲分あると安心です。
4.伴奏や歌の練習もしっかりとできているのがベストです

音楽療法のセッションを行うためには、たくさんの準備があって大変ですよね。
でも、その大変さも、クライエントの良い表情を見ることで報われますよ。