三拍子のゆったりとした曲調、独特の雰囲気を漂わせる「ジムノペディ第1番」は、エリック・サティが作曲した曲の中でもひと際、知名度の高い曲です。実は第1番から第3番の3曲で構成されており、第1番がとても有名になりました。

「ジムノペディ」とは、古代ギリシアの神々を讃える「ジムノペディア」という祭りに由来しており、サティはこの祭りの様子を描いたツボを見てインスピレーションを受けたと言われてします。

私はその話を聞いたとき、「祭りというわりには静かな曲だな…」と思ったのですが。。笑

そう思って調べていくうちに、古代ギリシアのディオニソス祭での弔いの舞踏で、戦死の冥福の踊りを表現した曲らしい事が分かりました。曲の頭に‘Lent et douloureux(ゆっくりと(レント)そして痛ましく)’と指示されているくらいですからね。そういわれるとしっくりきます。

明るくもなく、暗くもなく、しかしその中にも小さな波が潜んでいる。いい意味で激しい主張がなく、穏やかな曲。よく映画などでも使われ、私が知っている作品の中には、雨のシーンやアンニュイな心情を描く場面、ほっと息をついたリラックスの時間、などで使われていて、ゆっくりと静かな情景を表現するのに素晴らしく似合っていました。

人が感じる痛ましさを理解し包む音楽だからこそ、安堵した気持ちを抱かせてくれるのかもしれません。

今日は、「ジムノペディ第1番」の演奏ポイントについて、お話ししましょう。

難易度は?



難易度としては、ブルグミュラー後半程度でしょうか。ゆっくりな曲ですが、左手の跳躍、和音を暗譜する点が少し難しいです。しかし、曲としては同じことを2回繰り返して、最後2段程度が違うのみなので、半分弾けてしまえば、というところもあります。

しかし、発表会の選曲としては、先生によっては渋い顔をされることがあるかもしれません。
一般的にはゆったりとした曲調が発表会向きではないとされるからです。そして実際、眠くなる。。笑

お勧めなのは、もう一つ、明るく軽快な曲と合わせて二曲演奏することです。

例えば、ジムノペティの後、少し簡単なハイドン「アレグロ」、シュピンドラー「ラッパ吹きのセレナーデ」、同程度の難易度のドビュッシー「小さな黒人」、ギロック「雨の日のふんすい」など、動きがあり、自分が弾きこなせるレベルのものと組み合わせましょう。

そうすると、「ジムノペディ第1番」の良さがより際立ちます。

伴奏部分は弾き方を工夫しよう!

「ジムノペディ第1番」の攻略ポイントは、跳躍する左手です。しかし、最初から最後までずっと気が張り詰めたままは苦しい!ということで、右手、左手を分けずに、右手のメロディが休みの時には、左手に手伝ってもらいましょう。


まず最初の4小節は、両手で弾くのをお勧めします!一拍目のヘ音記号(ソ、レ、ソ、レ)が左手、二拍目の二分音符の和音が右手です。その後の右手は、四分音符のメロディ部分を演奏し、左手は跳躍しながら伴奏を弾いていきましょう。


また、上の画像の部分も和音は右手で演奏します。右手のファのタイは和音を弾こうとするとタイに出来ないので、実際はペダルを頼りにして、切れることはあまり気にせず弾いて大丈夫です。


このように、伴奏の和音が一オクターブを超えるところもたまに出てきます。女性の小さな手では届かないことも珍しくありません。

楽譜によっては、画像の楽譜とは違い、全てヘ音記号で書かれている場合もあるのですが、和音の一番上の音は右手の親指で弾くようにすると、手に負担もなく弾きやすいので良いでしょう。

強弱はやりすぎないようにしよう!


ジムノペディには、クレッシェンド(だんだん大きく)とデクレッシェンド(だんだん小さく)の記号が多く書かれています。

出来る人は意識して大きくしたり小さくしたりしたらいいのですが、それにはかなりのテクニックを要します。右手だけなら簡単なのですが、左手は決して右手の音量につられないように、極力淡々と、和音を刻まなければならないからです。

デクレッシェンド、クレッシェンドを意識するあまり、躍動感のあるジムノペディに仕上がってる方がたまにいらっしゃいますが。。笑 
それは避けたいところ。

ではどうしたらいいのでしょう。

おすすめは、「何もしない」です!

あ、ちょっと言いすぎましたかね。笑
でもあながち大げさでもありません。強くしよう、弱くしようという意識で演奏しないということです。ジムノペディにおいてやりすぎの強弱は絶対NG!ピアノかピアニッシモしか存在しない世界感を守りましょう。

そのために、やりすぎない、クレッシェンド、デクレッシェンドの方法を伝授します。

① 右手のメロディの音階が言えたら音の名前を、難しければハミングでいいので一度歌ってみてください。
② それが出来たら、右手だけ弾きながら歌います。
③ そして両手で弾きながら右手を歌います。

これだけです。大きくしよう、小さくしよう、と考える必要はありません。
サティが意図したほんの僅かながら自然な流れのダイナミック(強弱)が表現出来るでしょう。

最後の和音を大切に。


さて、最後までたどり着いた先にあるラスト二小節の和音。特にゆっくりする記号もなく、やっとたどり着けた!と弾き終えてしまいがちですが、終わり良ければ総て良し?
曲の終わりを締める和音には、より沢山の愛情を込めましょう。

鍵盤の上に、音を出さずに指を置いてみてください。それからゆっくりと押さえます。
最初のうちは音が出たり出なかったりすると思いますが、何度か繰り返しているうちに、この速度でこれくらい押さえれば音が出る、という打点が分かってくると思います。

音の粒を繊細に揃えて、曲の最後に添えましょう。ひと際、心地よい余韻が残りますよ。


まとめ

1.伴奏部分は両手で弾く部分を作るのがおすすめ
2.強弱は自然に!
3.最後の和音は、耳と指先で愛情をこめて♪


以上が、「ジムノペディ第1番」の練習ポイントです。

この曲に触れると、理由は分からないけれど何か落ち着いたり、日々の忙しさの中でつかの間、喧噪から切り離してくれるような不思議な心地を味わえます。

飽きの来ない心地よい曲、ぜひ演奏してみてください♪