好きなクラシックの作曲家といえば、真っ先にショパンの名前を挙げる人も多いでしょう。
ポーランド出身、ピアノの詩人とも称される彼の作品の中でも、特に人気の曲があります。
それが、作品10-No.12、「革命」のエチュードです。

疾走感のあるメロディーを、誰もが耳にしたことがあるのではないでしょうか。

実は私も、この曲に心掴まれてショパンが好きになったのですが、難易度が高いこの曲。
やっぱり難しくてなかなか弾けない、、なんて人は多いですよね。

がむしゃらに練習するのもいいですが、雰囲気を作るためのポイントがいくつかあります!

そこで、自分自身が練習をしたり、生徒に指導した経験から、皆さんに、「これは良かった!」と思った練習方法をご紹介したいと思います。


■ 目次

難易度は?

ショパンエチュードはOp.10とOp.25、それぞれに12曲ずつ入った曲集があり、革命のエチュードはOp.10の12曲目です。

よくある練習曲集のように段々と難しくなるわけではないので、12曲の中で一番難しいわけではないのですが、左手の動きにだけ注目すれば、全てのエチュードの中でもなかなかの上位に君臨します。

一般的には、音楽高校の試験や入試問題として使用されることもあり、技巧性が高く、難しいことが分かりますね。

全音のピアノピースではF(上級上)となっています。

これから挑戦しようとしている人の中には「去年、E(上級)に並んでいる曲を弾いたから、今年はFの曲から選んでみよう」と思われる方も多いかと思いますが、正直、EとFの間にもう一段階、級を挟んでいいのではないかと思うほど、Eに並んでいる曲とFに並んでいる曲の難易度には差があり、難しくなります。

人によって得意不得意がありますが、Eの中でも、リストの「ため息」、「ラ・カンパネラ」などを弾くことが出来れば、「革命のエチュード」を練習するテクニックがあると言えるでしょう。

複雑な左手の16分音符を読み解くには?

ショパン「革命のエチュード」Op.10-12ハ短調 ピアノ楽譜1
一小節目から、早速、左手の16分音符!ここが第一関門です。

この掴みの部分で曲の雰囲気が決まると言ってもおおげさではありません。

でも、音が複雑に代わっていくメロディ、正直、音符を読むのが辛いですよね。黙々と譜面とにらみ合いをしていたら、段々と嫌になってきたりすることがあるかも。


そこで試してもらいたいのは、「音の名前を口に出しながら、左手を弾く」ことです。


始めのうちはゆっくりでかまいません。
ゆっくり言いながら弾けるようになったら、段々と速くしていきましょう。

頭の中で思うより、ただ一回弾くだけよりも繰り返しているうちにスムーズに弾けるようになる実感があるはずです。

また、声を出すことで、身体の無駄な力も抜けますよ。

正確な右手のリズムが大事!

ショパン「革命のエチュード」Op.10-12ハ短調 ピアノ楽譜2
次は、右手の大事なポイントについてお話ししましょう。


やっぱりメロディを担う大切なパートの右手こそ、曲のかなめ!
しっかりと掴むように、歯切れよく演奏しなくてはいけません。

しかし、ついつい左手の動きに意識がいってしまい、右手のリズムがおろそかになってしまうこと、よくあるんです。

とても有名な曲なので、なんとなくのリズムで弾いてしまいがちですが、
始めのうちはメトロノームをつけて、しっかりと正確なリズム、お休みの長さを数えられるようにしましょう。

余談ですが、この曲の右手に多いオクターブを含んだ和音は、日本人は手が小さな人が多く、届きにくい人も珍しくありません。

届かないけど弾きたい、そんな思いを抱えているひとも少なくないはず。

その場合はどうしたら良いのかというと…

右手の一番上の音だけを弾いてみるのもいいかもしれません。


良く聞き慣れたメロディのラインは、和音の一番上の音になっています。
和音が弾けなくても、音をたどって弾いてみるとワクワクしますよ!

勿論、譜面通りとはいきませんが、一つの楽しみ方としておすすめできるでしょう。

それでは次に、子供から大人まで誰でも簡単に、芯のあるアクセントが意識できる方法をやってみましょう。

ある場所に力を入れれば、インパクトのある音がでる!

革命のエチュードには、たくさんのアクセントが出てきます。

曲の頭の和音もそうですし、また、アクセントで表記されていなくても、とても迫力のある音量がほしい場所がありますよね。

それが、特に終わりの二小節!

ここでぜひ実践してもらいたいテクニックがあるのです。


それは、「音を出すタイミングで腹筋に力を入れること」です。


ピアノ演奏は指と腕で弾くものだと思われがちですが、ピアノを演奏することは全身運動で、特に腹筋や背筋の力を必要とします。

ぐっと腹筋に力を込めることで、指先のタッチが変わり、より響いて綺麗な大きい音がでるでしょう。

その時、肩はしっかりと下げてくださいね!
肩が上がっていると、体がかたくなってしまいます。



さて、和音、16分音符、アクセントといろいろ紹介してきましたが、
最後に大切な音楽の流れの話をお話ししたいと思います。

大事なのは速さや大きさではない?


有名な曲だからこそ、こんな曲だった、あんなふうに弾きたい!という理想がたくさんあると思います。


その中で陥りがちなのが、「とにかく速く弾いてやろう」と思うことです。
そして、思い通りに弾けないことに、イライラしてきてしまう。

確かにこの曲はその躍動感が大いなる魅力ではありますが、それが全てではないんです!

複雑な音の羅列は、とても美しく、その響きを感じながら弾きましょう。

ショパンが意味を持って一音一音並べたメロディを耳で聞いていますか?

ショパンのメロディは小説の文章のようで、読み飛ばしてしまっては物語がわからなくなってしまいます。
ゆっくりとした速度でも心を込めて読んでいく方が、エチュードはあなたの生活に素晴らしい余韻を与えてくれるでしょう。

まとめ

1.左手の16分音符は、音の名前を言いながら弾いてみる
2.右手の和音は、リズムを正確に刻もう
3.アクセントをしたいときは、腹筋に力を込めるといいかも
4.むやみに速くせず、音を楽しんで♪


以上が、私のおすすめポイントになります。

いつもの練習にプラスしてみると、もっといい演奏になると思いますよ!

本来エチュードとは「練習曲」という意味で、難しく、弾きにくい場所が盛り込まれています。

難しい曲に取り組む時こそ、心の余裕をもって、楽しくピアノに向かいましょう♪



「革命のエチュード」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1934年にアウゲナー社から出版されたパブリックドメインの楽譜です。
  • Mutopia Project(楽譜リンク
    最近整形されたきれいなパブリックドメインの楽譜です。


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