昔、コンクールで弾いた曲でした。
精神的にとても苦労したのを覚えています。

元々この曲が好きでしたので、複数あったコンクールの課題曲の中にベートーヴェンのこの曲が入っていたとき、真っ先にこの曲を選びました。

当時の私は反抗期真っただ中で、この曲も、そんな気持ちをぶつけるように弾いていたような気がします。
しかし、そんな乱暴な気持ちでピアノを弾いたってうまく弾けるわけがありませんよね。

練習しても練習してもうまく弾けない。
先生の言うことが技術的にも精神的にも難しくなってくるにつれ、それをピアノで表現できない。

私は雁字搦めになり、コンクールも自分の望んでいた結果を出すことはできませんでした。

周りのみんなは遊んでいるのに、どうして私はいつまでもピアノを弾いているんだろう。
今頃、ピアノを弾いていなければ・・・そう考えるようになり、私は先生から指導をしてもらうことを止めました。

今でも後悔はしていません。潮時だったのかなと思っています。

ピアノに限らずとも、スランプは誰にでもありますよね。
もし、技術に伸び悩んでいたり、ピアノを弾いているのが辛い。と思っている方がいたら、一度ピアノから離れてみることをお勧めします。

私の場合は、それでもピアノは弾くことを止めたくなかったので、技術を要しないけれど好きな曲だけをさらっと弾く程度にしました。

そうして気づいたのが、いつの間にかピアノは楽しいもの、という大切なことを忘れていた。ということです。

スランプの時には、背伸びした曲を選んで上手に弾けない!とストレスを溜めるよりは、弾きやすい曲を楽しく弾いた方がよいと思います。
すると、少しずつ新しい曲に挑戦しよう!という前向きな気持ちになってきます!

技術を磨きたいというのはピアノを弾く者として当然のことですが、いつまでもピアノを弾き続けるためには、たまのブレイクタイムもとっても大事ですよ!



難易度は?

全音ピースの難易度はE(上級)になっていますが、ゆっくりと練習していけば、譜読みはあまり苦戦しないかと思います。
しかし、「テンペスト」と言う名前の通り、まるで嵐のように進んでいく曲ですので、スピード感がとても大事です。

また、少々長めの曲ですので、最初から最後まで緊張感と持久力を維持できるかが重要になってきます。
腕が疲れてくると後半のフォルテッシモを十分に表現できませんので、基礎練習をきちんとして臨みましょう!

荒々しい感情や、荒れる海のイメージを持って弾くとよいかと思いますが、以前の私のような気持ちのままで向かってはただただ乱暴になってしまいますので、あくまでイメージを持つだけにしましょう(笑)

強弱の指定も瞬発的に変わっていきますので、気を付けましょう。

荒々しい嵐と心の葛藤を表現


速度の指定はアレグレットです。やや速くという意味で、大体♩=108程度の速さです。

16分音符に8分音符という形のメロディが続きます。
2つ目の16分音符が頂点になりますので、2つ目の16分音符に向かうように弾き、最後の8分音符はスタッカートになっていますが、主張しすぎず、スッと消えるように弾きます。

また、8分の3拍子のリズムですので、弾き始めるときは3拍子のリズムでカウントし、曲に入ります。
また、最初は右手メロディのみですが、左手は休符で休んでいる間に、弾き始めるための手の形と最適な伴奏の歌い方を準備し弾きましょう。

右手伴奏の16分休符もしっかりと聞きます。


23小節目から半音階を2度繰り返します。
2、3拍目についているスフォルツァンドは、そこだけ強く弾くという意味です。
直前でフォルテがついているのですが、さらに際立つように弾きましょう。

また、2度繰り返す半音階はまるで自問自答をしているかのようなイメージで弾きます。


35小節目はこの曲の中では貴重な明るい場面です。
張りのある、自信に満ちたように弾きましょう。


43小節目のプラルトリラーは「ファソファ」と弾きます。
憂愁な雰囲気を持って弾きます。
ここは1拍ごとにペダルを踏みかえるとよいと思います。

また、51小節目にはオクターブ奏法になって同じメロディが始まります。
ここは複雑な心のせめぎあいを表現するように弾きましょう。


79小節目はメロディのレガートを大切に。
その後の83小節目のオクターブでのメロディも伴奏との響きに1つずつ耳を傾けましょう。

瞬発的に変わる強弱に注意


95小節目からはまた瞬発的に強弱の指定が変わっていきます。
ピアノの部分はまだある望みにすがるように、フォルテの部分はどん底に突き落とされたかのように。
よく音を聞かないと急いでしまいますので、メロディも伴奏も、そして休符も良く聴きます。

150小節目から最初と似たメロディに戻ります。
伴奏の1拍目をよく響かせるように弾きましょう。


199小節目の右手の16分音符はよく聴き入り、スフォルツァンドで瞬発的に強調する場所に集中します。
心の葛藤を表現するかのように弾きましょう。


243小節目からはまた前半部分と似た展開になりますが、こちらの方が重くて深いイメージで弾きましょう。
音がかなり低くなりますので、ペダルは浅めに細かく踏みかえましょう。


323小節目から349小節目までは宙に浮いているようなふわふわした感覚です。
非現実の世界で宙に浮いているように、夢を見ているようなイメージです。
しかし、350小節目から目の前の現実を突きつけられるように最初のメロディが始まります。

ここはフォルテッシモになっていますので、先ほどの場面とはっきり差をつけるようにして弾きましょう。


381小節目からの16分音符はとどめを刺すかのように。
最後までフォルテッシモで弾きましょう。

その後のラストにかけては次第に遠ざかる嵐のように弾くとよいと思います。

まとめ

1、最初から最後まで緊張感と持久力を保ったまま弾く!
2、瞬発的に変わる強弱記号に気を付ける!
3、嵐のような荒々しさと心の葛藤を表現して弾く!


いかがでしたでしょうか?集中力も必要ですが、長い曲ですので腕もかなり疲れます。なので弾き終わると思わず疲労感を感じてしまうかもしれません(笑)
しかし、自己の成長に繋がる1曲だと思いますので、ぜひ挑戦してみてくださいね。


「テンペスト」の無料楽譜
  • IMSLP(楽譜リンク
    本記事はこの楽譜を用いて作成しました。1862年にブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版された楽譜(全楽章)です。第3楽章は11ページ目からになります。