あなたはどんなバイオリンケースがほしいですか?
クラシカルな四角いケース、カラフルでポップなケース、色々な商品がありますよね。

初めてバイオリンを買うけど、ケースの選び方がわからない…
そろそろケースを買い換えたいけど、何にこだわればいいんだろう…

ケース選びに迷っているそんなあなたに、アマチュアで10年以上バイオリンを弾いてきた私が、おすすめの選び方の4つのポイントをお教えします!

■ 目次

ケースの形状

バイオリンケースは、バイオリンの保管と持ち運びのためにあります。

バイオリンは高い温度にさらされるとニスが溶けてしまいますし、高い湿度だと楽器に悪影響です。
反対に乾燥しすぎても、ペグ(糸巻き)が緩んだり木が割れる原因になります。
想像しただけでもおそろしいですね…。

ケースはそんなデリケートなバイオリンを温度・湿度や衝撃から守ってくれる大事なものですので、種類ごとのメリット、デメリットをきちんと知っておきましょう。


まずはケースの形からご紹介します!

バイオリンケースには大きく分けて2つの種類、角型と丸型があります。


丸型

一つ目の丸型は、四角ではないケース全般を指します。
具体的には、三角、シェル、シェイプ、ひょうたん型、だるま型、半月型など、バイオリンの輪郭に沿うようなケースのことです。
曲線的でかわいらしいですよね!

このケースのメリットは、軽いこと、低価格なことです!
次に紹介する角型よりも材料が少なくて済むので、必然的に軽くなりますし、コストも低いんです。

ただしデメリットは、楽譜や小物があまり入らないこと、強度が劣ることです。

内側の収納スペースが限られるので、肩当て、松脂、爪切り、鉛筆などの小物を、ケースとは別に持ち歩かないといけなくなります。
外側にポケットが付いていることもありますが、A4すら入らない小さいものが多いので注意が必要です。

「演奏に出かけるときはどうせ財布やスマホをバッグに入れていくんだから、楽譜と小物もそこに入れればいいじゃん」という方には丸型はオススメです!

ただ、使われている材料が角型より少ないということは、それだけ守ってくれるクッションのスペースが少ないということなので頑丈さでは角型に劣ってしまいます。

でもプロでも丸型を使っている奏者はいますので、危ない目に合わせなければ大丈夫でしょう。
何を重視するかは人それぞれだと思います。

角型


二つ目の角型とは、四角いケース全般を指します。オブロングともいいます。

私は現在、角型を使っているのですが、友達と会った時に背負っていると「何の楽器?かっこいいね!」と言われることが多くて、個人的にお気に入りです。

このケースのメリットは、楽譜や小物が入ることと、安全性が高いことです。

収納スペースが広く、内側にポケットがついています。
演奏に必要な道具を入れるのに最適ですね!
小物類を楽器と別に持ち歩かなくていいので、忘れ物の心配もありません。

でもケースによっては外ポケットにA4がぎりぎり入らないこともあります。
楽譜や教本が入らないと困る!という方は、買う前に確認しましょう。

先ほど、丸型ケースのデメリットで強度が劣ると言いましたが、角型ケースは容積が大きいので比較的頑丈で断熱性も高く、おすすめです。
もちろん材質にもよるので絶対大丈夫とは言い切れませんが、その点では丸型より心配は少ないでしょう。

一方、角型ケースのデメリットは、重いこと、高価なことです。

角型ケースは、肩掛けストラップなしでだいたい2.0〜4.0kgほどです。

ここ数年ではドイツのGEWA社がIdea(イデア)というシリーズで1.8kgのものを発売し、注目を集めていますが、そのように2.0kgを切る角型は多くありません。

比較的軽くてポピュラーなのは、日本で企画され韓国で製造されたSuper Light(スーパーライト)という商品です。
私も以前使っていましたが、角型なのに2.1kgほどだったので背負っていて全然つらくなかったです!

車でレッスンに通っているという方なら重さはあまり気にならないでしょうが、自分で背負ったり手に持ったりして運ぶことが多い方は考えた方がいいかもしれません。
演奏前の移動でヘトヘトになってしまっては元も子もありませんからね!

値段については、丸型に比べてコストがかかるのでこれは仕方がありません。
同じメーカーの同じ商品で丸型と角型が出ている場合、必ず丸型の方が安いです。

角型でも安いものならば数千円〜2万円以下のものもありますが、安い分安全性が低くないかどうか、確かめましょうね。
中にはちょっと押されただけでぐにゃっと歪んでしまうものもあるので注意です!

趣味で演奏する方の角型は、2〜10万円ほどのものが多いと思います。
こればっかりはお財布との相談ですね(笑)

ケースの外装

ケースの外装には布張りのものとそうではないもの(ファイバー、カーボンなど)大きく分けて2種類あります。
(木製・革製の外装もないわけではないのですがかなり珍しい例ですので、ここでは割愛させていただきます。)

布張り


布張りのケースには、布、ナイロン、ポリエステルなどの生地が使われています。

メリットは、多くの場合楽譜ポケットがついていることです!
材質によるので一概には言えませんが、比較的軽いものも多いですよ。

デメリットは、雨や衝撃が心配なことですね。
でも雨については、ケースに防水スプレーをかけて、バイオリンケース専用のレインカバーで守ればほぼ問題ないでしょう。

私が以前使っていたSuper Lightはポリエステル生地のケースでした。
生地が撥水性だったので安心でしたし、ポケットがついていてかなり使いやすかったです!

頑丈さについては、人混みなどに行くことがなくて、ケースの材質がしっかりしたものであれば布張りでも大丈夫だと言われています。

ただし、使い方や使用年数によってはストラップがちぎれてしまうことがあります。

以前私の友達がいつもと違うケースを背負っていたのでどうしたのと訊いたら、いつものように布張りケースを背負おうとしたらストラップが切れてしまったんだそうです。
幸い楽器は無事だったようですが、その話を聞いたときは私もぞっとしました…。
背負う前にちゃんと確認して、古くなったと思ったら修理するか買い換えましょうね。

いわゆる「ハードケース」


一方、表面が布ではなくツルツルしているものは「ハードケース」と呼ばれます。
フランスのメーカーBAMやアメリカのメーカーEastmanが出しているカラフルなケースが特に人気です。

実は、厳密には、布で包んでファスナーを閉めるだけのケースをソフトケース、それ以外の木製やカーボン製の枠や蓋があるものをハードケースと言います。
チェロとコントラバス用にはソフトケースもありますが、バイオリン(とビオラ)はほぼすべてハードケースです。

ですが、バイオリンの布張りのケースとそれ以外を区別するため、前者を「セミハードケース」、後者を便宜上「ハードケース」と呼ぶことが多いです。
ですので、お店で「ハードケースを見せてください」と言えば布張りではない、表面が硬いものが出てくると思います。


さて、このケースのメリットは、比較的強度があり頑丈なこと、もし雨に濡れてもすぐ拭けることです!
ただし安物だと衝撃や圧力に弱いことがあるので、自分の手でチェックしたり、口コミを検索してみましょう。

一方のデメリットは重いことと、楽譜入れがないことです。

例えば3.0kgもあるケースをしょっちゅう背負うとなったら、特に女性の方は大変ですよね。
車移動などで持ち運びが少ない方なら、重さは気にしなくてもいいかもしれませんが。

ところがこのデメリット、最近では1.5kg以下の丸型ケースが開発されるようになり、改善されつつあります。
重さが原因でハードケース購入を諦めていた方にはまさに朗報ですね!

ただ、もう一つデメリットがあります。
布製には大抵付いている楽譜ポケットが、このタイプのケースにはあまりないんです。
あったとしてもドイツのメーカーGEWAのIdeaシリーズのように外付けなので、人によっては不便だと感じるでしょう。

ケースの材質

ここでは3種類の材質についてご紹介します!
材質とは、表面ではなくて枠・天板・底板の素材のことを指します。

樹脂素材


一つ目は、丈夫だと言われている樹脂素材。
強化プラスチック、グラスファイバー、カーボンファイバー、ポリカーボンなどがこれに該当します。
特にカーボンはゴルフクラブや航空機に使われるくらい強靭な素材です!

ただ、時々高価なケースもあります。

Bamのハイテックというシリーズは5~15万円、GEWAのAir(エアー)とIdea(イデア)というシリーズは、だいたい6~17万円という価格帯です。
耐久性・強度・軽さには優れている分、ちょっと値は張りますね。

趣味で弾くのにそれは高すぎるよ…という方には以下の商品などがおすすめです。

Fiumebianca(フューメビアンカ)のSV-01などはシェイプ型のグラスファイバーケースで1.9kg、3万円ほど。
CarloGiordano(カルロジョルダーノ)のCFVシリーズ、通称カーボンマックは、その名の通りカーボン製で丸型、重さは1.6kgと軽めで、お値段は4~6万円前後のようです。

発泡素材

二つ目の発泡素材は、軽さと安さを兼ね備えていること、断熱性に優れていることがメリットです!

重さは、最軽量クラスの1.2kgから、重い角型でも2.0kgを少し上回るくらいまでです。
上記の樹脂素材だと軽ければ軽いほど値段が上がるシリーズもありますが、発泡素材は軽くても比較的お手頃な価格帯ですよ。

例えば東洋楽器の国産ケース、スーパーシェルⅠは重さ1.2kg、価格は2万円ほどです。
韓国製のSuper Light(スーパーライト)は1.6~2.1kgほどで、2.5〜4.5万円前後で手に入ります。

デメリットは頑丈さに劣る場合があることですね。
そのケースが温度・湿度・衝撃に耐えられるか考えてから買いましょう。


木製というとなんだか古臭〜い感じもしますが、実際のところどうなのでしょうか?

確かに、重いからといって敬遠する方も中にはいますが、木製ケースは弾力があって頑丈です。
それに、断熱性もあり湿気を吸ってくれるので楽器を温度・湿度の面でも守ってくれます!
個人的には木製が一番おすすめです。

例えばアルファ社の日本製ケース、Alpha Violin Case #230, 280 は特に木製にこだわりを持って作られていて安心です。
重さは丸型で2.0kgほど、お値段は3万円前後のようです。
なかなかお手頃ですね!

一方、Musafia(ムサフィア)というイタリアのメーカーも木製にこだわってケースを製作していますが、こちらはだいたい2.5〜3.5kgほどで重量感があり、お値段も12〜25万円というかなり高めの価格帯です。
にも関わらず、内装・外装のデザイン性が高いこともあって人気です!

4. その他のこだわり

他にも購入前にチェックしたい点がいくつかありますのでご紹介します。


(1)楽器本体の周辺
・ネックを固定する紐・ベルトは付いているか
・楽器を包む布・防湿袋は付いているか
・楽器用ブランケットは付いているか
・本体を囲んでいるクッションは十分か
・布地の質は粗くないか
・肩当てが楽器に当たらない場所に収納できるか
・湿度計はあるかどうか
(湿度計はない方がいいという意見があります。もしはずれたら楽器を傷つけるし、湿度もあまりあてにならないと言われます。心配であればバイオリンの先生に相談してみましょう。)

(2)弓について
・弓が何本入るか(通常2〜4本)
・弓のホルダーはゆるくないか

(3)外装について
・ケースの蓋の開き具合は90°か180°か
・どうやって閉めるのか(ファスナー、金具、ボタンなど)
・金具はしっかり留まるか
・ストラップが2本ついているか(1本だと不便で切れやすいかも)
・ゴム足はついているか(電車内などで直立させるため)
・機内持ち込みできるサイズか(2017年3月現在、115cm以内が目安)
・どんな色や柄か


絶対こうしないといけないという決まりはありませんが、本体を傷つけないというのが一番大事なポイントです。
大事な楽器のために、よく考えて選んであげてくださいね!

バイオリンケース選びのポイントまとめ


1. ケースの形状
(1)丸型は軽くて安いが強度が劣る
(2)角型は重くて高いが頑丈で安心

2. ケースの外装
(1)布張りはポケットがあって軽いことが多いが、雨が心配
(2)「ハードケース」は比較的重いが雨に強い

3. ケースの材質
(1)樹脂素材は重すぎなくて丈夫
(2)発泡素材は軽いが強度が劣る
(3)木は頑丈で温度・湿度にも対応している

4. その他のこだわり
・楽器本体を傷つけない構造かどうか確認すること
・移動手段など、自分の条件に合ったケースを選ぶこと


私が小さいころ習っていたバイオリンの先生は「楽器は赤ちゃんのように大切にあつかいましょうね」とよく言っていました。
そんな繊細なバイオリンを守るのに、バイオリンケースはなくてはならないものです。
よく考えて選んで、ぜひ自分のお気に入りのケースを見つけてくださいね!


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